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第359回 近江国の宝物

2012年3月23日更新

掛川市消防総務課長 白畑 喜久雄

35年前の春、大学生活のため京都へ出発する時の母親の寂しそうな顔を見て「しっかり勉強しなくては」と肝に銘じました。田舎者の私にとって京都はこの上なく楽しい街で、母の顔は心の奧にしまい込み、酒盛りに河原町へ行き、ビリヤード、ドライブと楽しい毎日を送っていました。京都には海がありませんので、夏には水を求め琵琶湖へ遊びに行っていました。
その琵琶湖は都から近い淡水の海として近淡海、都から遠い淡水の海として浜名湖が遠淡海と呼ばれ、それぞれが「近江国」と「遠江国」の語源になっています。昨年縁あって「近江」を何度か訪ね、滋賀県東近江市五個荘の「近江商人」の「古い町並み」と「きれいな水」に興味を引かれました。

「近江商人発祥の地・てんびんの里」

滋賀県東近江市五個荘は、古くから「近江商人発祥の地」として知られ、近江商人が本宅として暮らした近江商人屋敷が多く残されています。中でも金堂地区の町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定され、美しい白壁と舟板塀の外観が特徴です。近江商人は「売り手よし 買い手よし 世間よし」の「三方よし」の理念に基づき、自らの利益のみを追求せず、進んで社寺や公共のために出資したと言われ、今さらながら見習うべき教えがありました。

近江商人屋敷の外観。白い壁と舟板塀の外観。
近江商人屋敷を改築したCafe&Gallery Hakmokren

交差点の奥に平屋の建物手前に駐車場がある
Hakmokren

建物の中。広いフローリング。木の椅子と机を置いている
Hakmokren

 

近江商人屋敷を改築したCafe&Gallery Hakmokren
落ち着いた雰囲気の中で、陶芸を鑑賞しながらCafeを楽しんでください!!

一方、琵琶湖は「関西の水瓶」ですが、ブラックバスやブルーギルをはじめとする外来種の魚の侵入や、ハスなどの種が各地で繁殖してしまっています。しかし、周辺には湧水が豊富な水路、湧水地が保存されています。その中に清流にしか生息しない魚「ハリヨ」を見つけました。

ハリヨの里の建物。平屋。屋根には煙突がある
ハリヨの里 あれぢ

あれぢの由来を書いている看板
あれぢの由来

 

「ハリヨ」

金堂の町並みより少し離れた宮荘地区では、非常に珍しい「ハリヨ」という魚が近隣住民により守り育てられています。トゲウオ科に分類される淡水魚の一種で、清浄な湧水のある場所でしか生きられないため年々数が減り、現在では滋賀県東部と岐阜県西濃地方の湧水地のみで生息が確認されています。全長5cm前後の小魚で、最大7cm程度で年間の水量が一定した綺麗な湧水地の水草の生い茂った水深20-50cmの浅瀬に生息し、低水温を好み20℃を超える場所では生息できません。寿命は1-2年で、繁殖期が終わるとほとんどが死んでしまうそうです。

我がふるさと掛川の貴重な自然も残さなければ、私の中にある昔の清い心も取り戻さなければ!!

太郎防という勝負の神様。馬の像。その前で男の人が立っている
太郎防(勝負の神様)

追伸 滋賀県には太郎防という勝負の神様があり、ディープインパクトの馬主さんも幸運をあやかったとのことです。私もとお参りをしました…が…残念!!

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