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第371回 いのちを守る「希望の森づくり」プロジェクト

2012年6月8日更新

市内6カ所に山と海をつなぐ50,000本の「希望の森」をつくる

掛川市立総合病院事務局長 松浦 成夫

森林は、あらゆる生物の生命の源泉と言われますが、市民の水源を守る源流部の森林も、また防潮機能を果たす海岸部の保安林も荒れ果てています。昨年の東日本大震災や紀伊半島の大水害では、自然災害の猛威に対する日々の謙虚な姿勢と不断の努力の大切さを、私たちに教えてくれました。
森林面積が半分を占める掛川市としては、今こそ山から海までの市民が手をつなぎ、森林資源を生かした「安心・安全なまちづくり」をする時ではないでしょうか。予想される東海地震の最大津波高が13.7メートルと推計されていることを考えれば、市南部海岸地域における津波エネルギーの減衰効果の高い森づくりは、一刻の猶予もありません。行政が、防災対策を講ずることはもちろんですが、すべての市民が相互に「いのちを守る」という意識を共有し合い、「絆」を要とする地域共同体を構築することが、急務であると思います。

私が代表を務めるNPO法人時ノ寿の森クラブは、今から6年前、未来の子どもたちのために「山と海を繋ぐ豊かな森づくり」をめざし、市内北部山間地の廃村集落を拠点に森林再生活動をスタートさせ、すでに100ヘクタールの荒廃森林を間伐し、12,000本の広葉樹の植樹を実施してきました。しかし、市内の広大な森林を再生していくためには、初心のとおり「山と海をつなぐ」ことが大切です。換言すれば、社会全体が連携することが必要不可欠であると確信しました。廃村のふるさとの森づくりに、市内外からひたむきに参加してくれている100数十名のクラブ会員の真摯な気持ちに、今こそ報いる時でもあると思いました。

このような考えを基本に据えた「いのちを守る「希望の森づくり」プロジェクト」を、本州の真ん中で取り組んでみたいと提案していたところ、毎日新聞社及び公益財団法人日本財団に計画が認められ、この大事業が実現しました。このプロジェクトでは、掛川市民の生命を守る「いのちの森づくり」として、南部海岸地域をはじめ新病院建設地など市内6カ所で、延べ50,000本を超える植樹を実施します。このような大事業ですので、市民と行政が一体となり「協働によるまちづくり」として推進して行きたいと、市にお願いしたところ、市を挙げて「希望の森づくり」に取り組んでいただけることになりました。
いよいよ森林都市掛川で、未来の子どもたちにかけがえのない森づくりが、社会全体の力を結集して始まります。奇しくも今月には、ブラジル・リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオプラス20)」が開催されます。今を生きる私たちは、文明の転換点に立っているということをしっかりと認識していただき、一人でも多くの市民の皆様に「希望の森づくり」へご参加いただきたいと願っています。

第1弾閉幕

森の防波堤づくり植樹祭in掛川 1400人が15500本を植樹

来る6月2日、「いのちを守る「希望の森づくり」プロジェクト」の第1弾として、宮脇昭・横浜国立大学名誉教授の直接指導による「森の防波堤づくり植樹祭」が開催され、市民はじめ国内各地から老若男女が大勢集まりました。5,000平方メートルの防災林に1,400人が広がり、15,500本を植樹する光景は壮観で見事でした。
松枯れにより「はげ山」となった防災林が、1時間後には土地本来の広葉樹の苗木で緑に包まれ、公園のようになりました。1400人のうち、掛川市浜野地区や三浜地区、大坂地区など地元の皆様が400人以上も参加してくださったことが、何よりもうれしかったことです。宮脇先生もおっしゃっていましたが、これから3年間は、赤ちゃんのように苗木の成長をみんなで支えてやる必要があります。
植樹祭にご参加いただいた皆様にも、今秋から始まる草刈り、つる切りなどにご参加いただきたいと思います。

「森の防波堤づくり植樹祭」に訪れた参加者ら

スタッフからの植樹の仕方など聞く参加者

 

参加者全員で植樹を始めたようす

決められた植樹場所に移動する参加者たち

 

老若男女問わず参加したたくさんの参加者ら

参加者たちの手によって「はげ山」だった防災林が緑に包まれたようす

 

第2弾予告

「新病院・いのちの森づくり植樹祭」10月27日開催! 2万2,000本の大植樹祭にぜひ参加してください!

市民の生命を守る新病院に、あなたの植えた木で「いのちの森」をつくりましょう。いつか、心身の健康を崩して病院を訪れたとき、「いのちの森」の木々たちは、きっとあなたに元気をくれると思います。もちろん、植樹は宮脇昭先生が指導してくださいます。写真は、宮脇昭先生が事前調査に来られたときに「必ずやるぞ!」と、証拠写真を撮られたものです。

植樹祭の事前調査来られた宮脇昭先生と現場責任者ら

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