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第379回 市立病院の23年度決算は「8年振りの黒字」に

2012年8月3日更新

掛川市経営企画課長 釜下 道治

市立病院の平成23年度の決算がまとまり、経常収支は、16年度以来、8年振りの黒字となりました。
全国自治体病院協議会の決算見込み報告書によると、平成23年度に経常収支が黒字となった病院の割合は55.4%で、22年度の51.4%に比べ4ポイント改善し、2年連続で半数以上となりましたが、自治体病院の経営は相変わらず厳しい状態が続いていることがうかがえます。
市立病院は、昭和59年4月に現在の杉谷地内に移転して以降、「愛、365日」をキャッチフレーズに、地域の医療ニーズにお応えしてまいりましたが、経営面では、建設財源を起債(長期借入)に頼らざるを得なかったことなどで、余裕のない運営が続いてきました。平成16年度には、9,100万円余の赤字決算となり、以来7年間、経常収支の赤字が続き、現金預金も底をつき、20年度からは年度末の資金不足を一時借入金でしのぐ深刻な状態となりました。

(表)最近4年間の経常収支と患者数の状況(百万円、人)
平成20年度平成21年度平成22年度平成23年度
病院事業收益8,8148 ,5777,5208,096
内、一般会計課人5634785201,197
病院事業費用9,6409,0578,2657,838
経常収支マイナス826マイナス480マイナス745258
資金不足額100252739なし
一日平均入院患者数368353275250
一日平均外来患者数918926809763

経営状況が悪化した要因の一つとしては、特に最近の10年間において、病院収入の基本となる診療報酬について、平成14年度にはマイナス改定、その後も16年度は据え置経営状況が悪化した要因の一つとしては、特に最近の10年間において、病院収入の基本となる診療報酬について、平成14年度にはマイナス改定、その後も16年度は据え置き、18年度にもマイナス改定とした医療費抑制策が挙げられます。
さらに、市立病院の経営状況の悪化には、患者さんの減少が大きく影響しています。
一日平均入院患者数の最も多かったのは平成8年度と9年度で、430人でしたが、病床利用率が95%を超える状況は、病床に余裕のない、ベット確保のための「戦争」状態といえるのではないでしょうか。一方、(表)にもありますように、最近の一日平均入院患者数は、平成20年度が368人、22年度は275人、23年度は250人と大幅に減少しました。
患者数減少は、患者さんのニーズに対応できる十分な医師数を確保できなかったことによるもので、特に22、23両年度においては、呼吸器内科医師の不在や、循環器内科と消化器内科医師の欠員が補充できなかったことといった医師不足が主な要因となったと思われます。き18年度にもマイナス改定とした医療費抑制策が挙げられます。
さらに、市立病院の経営状況の悪化には、患者さんの減少が大きく影響しています。
一日平均入院患者数の最も多かったのは平成8年度と9年度で、430人でしたが、病床利用率が95%を超える状況は、病床に余裕のない、ベット確保のための「戦争」状態といえるのではないでしょうか。一方、(表)にもありますように、最近の一日平均入院患者数は、平成20年度が368人、22年度は275人、23年度は250人と大幅に減少しました。
患者数減少は、患者さんのニーズに対応できる十分な医師数を確保できなかったことによるもので、特に22、23両年度においては、呼吸器内科医師の不在や、循環器内科と消化器内科医師の欠員が補充できなかったことといった医師不足が主な要因となったと思われます。

公営企業の経営状態の深刻度を示す指標である「資金不足比率」は、資金不足額が年々膨らむことで、平成20年度は1.2%、21年度は3.1%、22年度は10.6%と悪化しました。県内の自治体病院(25病院)で資金不足比率が算出されたのは、22年度において掛川市立病院と東部の一つの市立病院の2病院だけでした。
資金不足に伴う一時借り入れについては、閉院時までに解消する必要があり、来年4月末に差し迫った閉院にあたり、平成23年度において現病院に係る清算を一部前倒しして、一般会計から市立病院に対する繰り出し金を大幅に増額することにより、年度末の資金不足解消を図っていただきました。これにより、23年度末における市立病院の資金不足率は算定されず、加えて、経常収支は2億5,800万円の黒字となりました。
院内においても、経常収支の改善に向けては、名倉院長の指導の下、経営コンサルからの助言を得ながら様々な取り組みを行いました。患者数の減少が続く中、年度序盤における平成23年度の収支予想は、当初予算の8億1,600万円の赤字に比べさらに悪化し、10億2,000万円程度の赤字に膨らむことが心配されましたが、その後、各部門ごとに作成した業務改善の行動計画に基づき、7対1看護基準の取得やDPC精度向上等の収益確保と、経費や材料費の削減等といった業務改善に取り組むことで経営改善を図った結果、見込まれた赤字額を約6億3,000万円減らし、一般会計からの追加補てん額を除いた年度末の赤字額を、3億9,000万円程度に抑えることができました。

市立病院屋上からの眺め。手前に病院の駐車場、奥に市街地が見える。
市立病院屋上より市街地方面を望む

今後、来年5月の新病院「中東遠総合医療センター」の開設・移行準備を進める中、現病院における閉院までの経営環境は一層厳しくなることが予想されますが、業務改善の取り組みをさらに充実し、継続してまいります。さらに、こうした業務改善の取り組みは、新病院における運営にも活かすことができると思います。
現在、市立病院では、消化器内科における医師の確保や昼間の救急医師体制の充実が行われたほか、袋井市民病院との診療の相互補完、他院との医療連携等を進め、診療体制の確保に取り組んでいます。現病院へのご理解とご支援とともに、どうぞ安心してご利用いただきますようお願い申し上げます。

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