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第380回 伝統芸能の継承と保存会

2012年8月10日更新

掛川市学務課長 中根 純一

遠州地方の屋台の引き回しは、早いところでは 1,700年代初期に始まったと伝えられています。そして、その形態は江戸の影響を受けているともいわれ、この屋台の引き回しで奏でられていた「遠州祭り囃子」が現在でも継承されております。
遠州地方には、この祭り囃子を継承する保存会が幾つかありますが、今回は私が所属している遠州祭り囃子保存会中遠竹友会、通称「竹友会」をご紹介します。

長い歴史の中、昭和の時代に入っても各地区でのお祭りは行われていたようですが、昭和16年に太平洋戦争が始まり若者たちが戦地に赴くことにより、お祭りそのものが寂しくなっていった様です。
昭和20年には終戦を迎え、日本再建も目覚ましく、祭典神事においても戦前に増して盛大に行われるようになりましたが、お囃子方である横笛を吹く多くの人たちは戦地に散り、故郷へ帰って来た者は少なかったと聞いております。
このような状況のなか、昭和23年8月24日、各地区で横笛を吹いていた同志21名が一同に集まり、結成されたのが「竹友会」の始まりであります。
その後現在に至るまで多くの師弟関係が築かれ、本年8月をもって竹友会は創立満64年、会員数は220名余となりました。

竹友会は、単なる趣味の会や同好会などと違って芸事の会であることから、上下関係は大変厳しく、年齢や技量に関係なく全ては芸事を習得し厳しい入会審査を経て入会した者の順番(いわゆる芸歴)が序列となります。弟子は師匠からの教えを忠実に継承し、会則である「和楽・錬磨・研究」を守りながら日々稽古に精進しております。

会員の多くは各地の祭典やイベント、施設慰問などのボランティア活動に参加しておりますが、本年は3年に一度の掛川大祭に当たることや11月には全国獅子舞フェスティバルが掛川の地で開催されるなど、会員総出で盛り上げたいと意気込んでおります。

新茶マラソン開会式で、太鼓や三味線を演奏する遠州祭り囃子保存会中遠竹友会のメンバーら
新茶マラソン開会式参加

施設に慰問して、獅子舞を披露する様子
施設の慰問風景

 

イベントで大きな体の獅子舞を操る遠州祭り囃子保存会中遠竹友会のメンバーら
街中でのイベント参加

"てんてこてんてん"てんてこてんてん"
そろそろ各町内から太鼓の音色が聞こえてくる時節となりました。
黒色の法被、背中に赤文字で「竹友」の大紋が会員の証です。
今年のお祭りでは、会員たちが奏でる調子の良い遠州祭り囃子をお楽しみ下さい。

遠州祭り囃子保存会中遠竹友会の法被と、上に置かれた愛用の笛
法被と愛用の笛

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