総合トップ記事第394回 最先端医療に希望の光が!!

第394回 最先端医療に希望の光が!!

2012年11月2日更新

掛川市市税課長 石田 壽美

10月8日(祝日)夜、今年のノーベル医学生理学賞に、京都大学の山中伸弥教授(50歳)が選ばれたとの報道がありました。人体のどんな部位の組織にも成り得るiPS(アイ・ピー・エス)細胞を作り出したという、正に夢の実現の画期的なことに対する受賞で、思わず興奮しました。
山中教授は、6年前、マウスのしっぽから様々な細胞になりうる能力をもつiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り、翌年にはヒトの皮膚の細胞でも成功したと発表していました。今回の受賞は、すでに特定の役割を持った体細胞を再び受精卵のような万能の細胞に戻すという、その常識破りの成果に対する異例な早さ、若さでのノーベル賞となりました。
山中教授が開発したiPS細胞をめぐっては、世界中の研究者が医療への応用を目指して研究を進めていますが、そのうち細胞を使った治療で最も早く実現すると期待されているのがiPS細胞から作った目の網膜の移植だそうです。
また、iPS細胞は新薬開発への応用も期待されています。様々な病気の患者の細胞からiPS細胞を作り、神経や肝臓などの細胞に分化させ、薬の候補になる薬剤を振りかければ、効果があるのか、毒性がないのか、調べることができます。
山中教授のところには、遺伝子異常が原因で8歳のころ発症し治療薬がない、200万人に1人といわれる超難病患者の子どもから、自分の皮膚組織を提供するのでという申し出があり、山中教授は今その研究に取り組んでいるそうです。
「患者では何十年もかかって現れる症状を短期間で調べられる」
すでに、脳の神経細胞が死滅して起きるアルツハイマー病患者の細胞からiPS細胞を作り、神経細胞に変えて、病気の特徴を確認することに米欧の研究チームが成功したと、今年の1月26日に英国科学誌ネイチャー(電子版)で発表がありました。(~新聞等の関係記事から)
万能細胞(iPS細胞)は、臓器や組織をつくって人体に移植する「再生医療」への応用だけでなく、新薬開発のスピード化で、難病患者などから希望の光として大きな期待がかけられています。

そこで市内に目を遣ると、私たち掛川市民の健康医療日本一づくりの期待の星として、着々と建設が進められている『中東遠総合医療センター』があり、いよいよ年内に建物が完成します。
この新病院は、その名のとおり中東遠地域の核となる基幹病院です。その最大の特徴は、救急医療体制の強化と脳・心臓血管内治療センターの開設です。
脳卒中は6時間以内に治療できないと脳が死んでしまいます。また、心筋梗塞や大動脈解離などの循環器系疾患は1分1秒をあらそう生命に関わるものです。新病院には、最新のコンピュータ断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像診断装置(MRI)などが導入され、これらにより迅速な解析ができ、鮮明な画像が得られます。そして、隣接の集中治療室(ICU・CCU)には救急専門医が配置され、24時間365日いつでも対応できる体制が整備されます。
また、中東遠地区で初めてペット(PET/CT)センターが設置されます。ペットCTは、ごく小さながん細胞も見つけることができ、その位置や形態もつかめる、高性能な最新の検査機器です。がんは、早期発見でその後の治療に大きく影響します。その治療体制も外科手術のほか、設置されるリニアック室での放射線治療や抗がん剤治療などの最適な組み合わせにより、全ての患者さんに対応できる体制づくりが進められています。
この様な素晴らしい新病院が、来年5月1日のオープンには、希望の光で包まれることを願っているものです。

建設中の中東遠総合医療センターの様子

ちなみに、ノーベル賞の賞金について、
今回から経済危機の影響で2割減額された賞金800万スウェーデンクローナ(約9,400万円)は、今度のノーベル医学生理学賞は2人で分けられるようですが、日本ではノーベル賞(注 経済学賞を除く)やオリンピックでのメダルを取ったときにもらう賞金には、税金がかかりません。
注 ノーベル賞6分野(物理学・化学・平和・文学・医学生理学・経済学各賞)のうち経済学賞のみ課税対象。その正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学銀行賞」といい、賞の創設経緯も他の5分野と異なる。

このページと
関連性の高いページ