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第403回 障がい者雇用の推進を図る

2012年12月28日更新

掛川市健康福祉部長 齋藤 善久

平成24年も押し迫ってきました。1年の活動を総括するとともに、市では新年度に向けて予算編成が進められる時期でもあります。新年度の健康福祉施策で注目を集めるのは新病院の開院と、新病院の後方支援の役割を果たす(仮称)掛川東病院や県立特別支援学校、心身障害児(者)通所施設などを現病院跡地に整備する「希望の丘構想」の推進です。2つの施策の推進は、掛川市が目指す健康医療日本一に大きく貢献するものと思っています。新年度事業について考えているそんな折、岡山県総社市の片岡聡一市長の話を聞く機会を得ました(12月18日浜松市障害者就労支援シンポジウム)。
総社市は現在、市を挙げて障がい者雇用に取り組んでおられる自治体で、雇用人数も5年で1,000人という具体的な数値目標を掲げています。特別支援学校の誘致失敗が障がい者支援施策のきっかけとなったという話も聞いていましたので、その点でも参考になる話が聞けるかもしれないと思っていました。
講演では市長自身のプロフィールについても話されましたが、特別支援学校については、誘致競争の結果倉敷市に敗れ、逆にそのことをきっかけとして、子どもたちの卒業後の支援に力をいれようとしたとのことでした。昔から先進的な障がい者施策を展開させてきたというわけではないようで、この計画が出来た頃の総社市には就労支援施設が1つも無かったといいます。その点、「掛川芙蓉会」や「東遠学園組合」など熱意を持った人たちがずっと以前から活動を展開してくださっていることや、「誰もが住みたくなるまち」を目指していること、特別支援学校の誘致が決定したことなど、掛川市の方が進んでいると思われる点も多々あるように思います。
一方、具体的事例のお話の中で興味を引かれたのは、ガソリンスタンドの従業員に障がい者が混じって勤務していたときは、お客様から代わってほしいとの苦情があったが、全員が障がい者であるガソリンスタンドの運営を始めたところ、他のお店からそのガソリンスタンドに切り替える人が出てきたこと。病院のリハビリテーションのお手伝いを軽度の身体や知的障がいの方にお願いしたところ、急がせることのないゆっくりした対応が好評だったことなどです。法改正により障がい者の法定雇用率が上がるから雇用する、のではなく、雇用主に雇用のメリットを理解して頂き、迎え入れたい、一緒に仕事をしたいと思って頂けるよう努力していくことの必要性を感じました。しかしまた、言うは易く行うに難いのがこの部分ではないかとも思うのです。当事者だけ、行政だけ、保護者だけというのではなく、関係者、関係団体が連携して問題解決を図っていくことが大切だと思います。
今、障がい者施策を大きく区分して、就学前期、学齢期、卒業後、と捉えたとき、就労対策をはじめ、高齢化対策、住宅対策など、卒業後一生を通じた施策のあり方を考えることが大切ではないかと思います。
掛川市が進める「希望がみえるまち、誰もが住みたくなるまち」づくりは、誰もが安心して暮らせるまちづくりでもあります。福祉行政の多様な施策の推進は、今後益々必要となってまいりますが、障がい者雇用は重要課題の一つとして、新年度にはこれまで以上の取り組みをし、「希望がみえるまち、誰もが住みたくなるまち」を目指していきたいと考えています。

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