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第427回 お蕎麦をおいしく食べるための努力は

2013年6月14日更新

掛川市生涯学習協働推進課長 高川 佳都夫

さて、今回、寸感ホットページへの寄稿は2回目となります。前回は掛川市役所には職員で作る蕎麦研究会があり、その活動の様子をお知らせしました。今回は、蕎麦ネタの第2弾として、いかにおいしくお蕎麦を食べるか、を考えてみたいと思います。考えてみるというより、普段の蕎麦研の活動の中で行っている、おいしいお蕎麦を皆さんに食べていただく努力をちょっとだけご披露したいと思います。

バンダナをまいた男性がそば粉を練っている画像

バンダナをまいた男性がのし棒を使ってそばの生地を伸ばしている画像

発泡スチロールに入った生蕎麦の画像

一般的には、お蕎麦をおいしく食べるためには、「三たて」ということをいいます。この「三たて」っていうのは、「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のことです。
まず「挽きたて」とは。お蕎麦は玄蕎麦を石臼で挽いて蕎麦粉にしますが、玄蕎麦を挽いて蕎麦粉にするタイミングをできるだけ蕎麦を打つ間際で行う、というものです。ようは、蕎麦粉の状態で長く置くと、粉の酸化が進み、味が落ちてしまいます。だから、蕎麦を粉にしたらできるだけ早く打ってしまうようにします。
次の「打ちたて」は、蕎麦粉を打って蕎麦にしたら、できるだけ早く食べてしまおう、ということです。手打ち蕎麦は、蕎麦の状態にしたら、時間が経てば経つほど、どんどん味も風味も落ちていきます。生蕎麦は、もってもせいぜい1日半が限度。今日打ったら、冷蔵庫に入れておいたとしても、次の日の夕方までには食べてしまわないと、もういけません。できれば打ったその日のうちに食べてしまうのがベターです。
3つ目の「茹でたて」は、もうお分かりの通り、文字通り「茹でたて」を食べましょう、ということです。茹でたお蕎麦はどんどん乾燥し、やっぱり味も風味も落ちていきます。「蕎麦が風邪をひく」という言い方をしますが、これは茹でたお蕎麦をそのままにしておいたために、水分が飛んでしまって、ぼそぼそとしたお蕎麦になってしまい、せっかくのお蕎麦がおいしくなくなってしまった状態のことを言います。お箸を突っ込んで持ち上げると、お蕎麦が全部持ち上がっちゃった、なんてことになったら最悪ですね。そうならないように、茹であがったお蕎麦はすぐに食べちゃうにかぎります。

 

三枚のざるそばの画像

さて蕎麦研では、蕎麦会や各種イベントで蕎麦の振る舞いを行う際、皆さんにおいしくお蕎麦をたべていただくため、日夜努力を重ねています。
蕎麦打ちの技術を磨くことは言うまでもありませんが、それ以外には、まずおいしい蕎麦粉を使うと言うこと。まあ、これは当たり前過ぎることではありますが、蕎麦研が普段使っている定番の蕎麦粉は、長野県大町市にある製粉所の「スーパーあずみ野」という蕎麦粉を使っています。以前、産地を聞いてみたら、北海道から玄蕎麦を取り寄せているそうです。この蕎麦粉は、玄蕎麦から鬼皮(外側の黒くて硬い皮)を取り除いた「むき実」を、石臼一回転挽きで蕎麦粉にしたもので、鬼皮が挽き込まれないため、蕎麦粉としては全体に白く、味がとても上品なものです。しかも、打ち手にとっては、とても打ちやすい蕎麦粉です。(実は蕎麦粉によって、打ちやすい、打ちにくいという差があるんですよ。どのように差があるのかを説明するのはちょっと難しいのですが。などということを言っているようでは、蕎麦打ちの腕がまだまだ未熟、ということなのかもしれませんが。)
さて、次に蕎麦ツユです。蕎麦研の蕎麦ツユは、どんなときでも必ず自分たちで作ったツユを使っています。蕎麦研オリジナルの蕎麦ツユです。蕎麦研のお蕎麦は、蕎麦だけでなく、この蕎麦ツユも人気があるんですよ。お蕎麦をおいしく食べるためには、この蕎麦ツユが非常に重要な要素になります。それではちょっとだけ蕎麦研のオリジナル蕎麦ツユの作り方をご紹介しましょう。
蕎麦ツユは、事前に作っておいた「返し」と「ダシ」を合わせて作ります。
まずは、「返し」づくり。「返し」の材料は、醤油、みりん、砂糖。これだけです。割合は、醤油5:みりん1:砂糖1。初めに鍋にみりんと砂糖を入れ、ゆっくり加熱しながら砂糖を全部溶かします。さらに加熱を続け、みりんのアルコール分をすべて煮きったところへ醤油を加えます。沸騰しないように加熱して、鍋全体が細かい泡で覆われるようになったら火を止めてそのままさまします。
その次が大事な工程です。冷暗所へ1週間から10日間保管し、3つの材料の味がしっかりと馴染むのを待ちます。この返しは、かなり長期間保存がききますので、蕎麦ツユだけでなく、他の料理への使い回しもOKです。ちなみに我が家では、残った返しを冷蔵庫に入れておくと、知らないうちに何かの料理に使われてしまいます。

鰹節が入った3つのボウルと、IHクッキングヒーターの上にある鍋の画像

次に、「ダシ」をとります。ダシは、蕎麦ツユを使う前の日にとり、返しと合わせて蕎麦ツユにして、冷蔵庫で冷やしておきます。
実はダシのとり方で、蕎麦ツユの味が大きく変わりますので、どんなダシを使うのかということは、蕎麦ツユづくりにはとっても重要なコトなのです。蕎麦研のメンバーは、それぞれ自分のツユの味を持っています。それは、ダシのとり方(ようするに「好み」なんですが)の違いによるものです。基本は何と言っても鰹ダシです。これに昆布ダシを加えるのか、鯖や鯵などの合わせダシを加えるのか、はたまたそれ以外の何かのダシを入れるのか、いやいや他のものは何も加えず、スキッと鰹ダシだけでいくのか。それぞれに味わいが異なり、蕎麦会で食べ比べをするのも楽しみの一つになっています。

ダシが入ったボウルと、計量カップに入った返しの画像

ちなみに、私の場合は、鰹ダシ+(プラス)ちょっとだけ合わせダシ、の組合せです。スッキリとした鰹ダシに鯖、鯵のちょっとだけ甘みが加わって、とっても味わい深い蕎麦ツユになっていると思います。

 

ダシが入ったボウルに返しを入れている画像

次に大事なのは、返しとダシを合わせる割合です。
蕎麦研では、基本的に冷たいお蕎麦(ざる蕎麦、冷やがけ蕎麦)を提供していますが、季節によっては温蕎麦を提供することもあります。冷たいお蕎麦の方が、お蕎麦本来の味を楽しんでいただけるからです。そしてこのざる蕎麦、冷やがけ蕎麦、温蕎麦の違いにより、蕎麦ツユの返しとダシを合わせる割合が異なります。そして、蕎麦研の蕎麦ツユは、基本的に辛ツユと言われる、ちょっと辛め(しょっぱめ)のツユにしています。いわゆる江戸風です。

 

ペットボトルに入ったツユの画像

さて、まずはざる蕎麦。返し1:(対)ダシ3~3.5。冷やがけ蕎麦は、返し1:(対)ダシ3.5~4。温蕎麦は、返し1:(対)ダシ5~6。
多少幅があるのは、ツユを作ったときの感覚で、ちょびちょびとなめながら味を確めつつ、「まあ、ここらへんかなあ。」という感じで決めてます。

 

石臼ひいてそば粉を作っている人たちの画像

さて、以前蕎麦研では、本当の「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のお蕎麦を食べようと、自分たちで蕎麦を栽培して、できた蕎麦を石臼で挽いて蕎麦粉にして、それをみんなで打って食べる、ということもやってみました。3年ほど続けたんですが、3年目に台風の影響で塩害を受けて、全滅してからやめてしまいましたが、そのときに畑を提供してくれた、上内田のキウィフルーツカントリーJAPAN(ジャパン)の平野正俊園長から、最近また「お蕎麦、やらないの?」と蕎麦の栽培のお誘いをいただいているので、どうしようかなと、迷っているところです。写真はそのときにみんなで石臼を挽いて、蕎麦粉を作り、蕎麦にして味わっているものです。

 

石臼をひいている画像

テーブルを囲みざる蕎麦を食べる人たちの画像

さて、そうこうしているうちに、蕎麦ツユも出来上がり、3たての三拍子揃ったおいしいお蕎麦も出来上がったようなので、さあ、みなさんも蕎麦研のおいしい手打ち蕎麦をお楽しみ下さい!
んーー、まだまだ蕎麦ネタは尽きそうもありませんので、第3弾、第4弾も蕎麦ネタでいこうかな。

ざるそばの画像

かけそばの画像

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