総合トップ記事第434回 掛川おでんのこと

第434回 掛川おでんのこと

2013年8月2日更新

掛川市財政課長 山本 博史

私、生来の食いしん坊。ややメタボ。掛川のおでん大好き。

掛川には食文化がない?

以前、他市から越されてきた町内の方に、「掛川には食文化がない」と言われたことがあります。そのことを、職場の先輩に話したら、「掛川は報徳のまちだから、外食することが少ないだよ。始末するだよ掛川の衆は。」と解説をいただきました。なるほどなあ、全否定はできないなあ。

グルメ観光地

ある土曜日、よく行く浜松の餃子屋でお昼でも・・と出掛けると、すごい行列。どうやら最近テレビで取り上げられたらしく、駐車場は、名古屋、豊橋、三重、岐阜ナンバーばかり。
静岡市でも同じ現象。静岡おでんが全国的な人気を博し、メディアに度々登場。青葉のおでん横町は観光地化、商品化されたおでんがあらゆる処で販売されるようになりました。
今、浜松・静岡は地元グルメを目当てに観光客が訪れています。そして、それらの走りとなったのが富士宮焼きそばでしょう。

焼きそば屋が多いのはなぜ

以前、静岡未来人づくり塾でお世話になったM先生が、富士宮の街を歩いていた時、「なぜ、焼きそば屋がこんなに多いのだろう」と感じたそうです。このことが、富士宮焼きそば大成功のきっかけになりました(富士宮やきそば学会刊:ミッション麺ポッシブルより)。M先生は、静岡市の住民なので、富士宮の人にとって日常的な風景であっても、ヨソ者は、非日常的なものを感じたそうです。よく、まちおこしのキーマンは、ヨソ者、若者、ばか者といわれますが、ヨソ者の感性が働いたことで439億円と言われる経済効果が生み出されたのでした。

おでんデビューは駄菓子屋

白いお皿に盛られたおでんの画像

今から40年以上前、コンビニやファーストフードもなかった時代、いろんな駄菓子屋でおでんをいただきました。ベッコヤ、マツウラ、ベンチャー、コマキヤ、ウメサーなど。どの店にも、それぞれのおでんの味(ツユ)と具材がありました。当時の旨さは未だに鮮明です。その後、20代後半には、新発売のスーパードライの傍らに、ほぼ毎日、一推しのトリカワ、そして、ジャガイモ、厚揚げ、こんにゃくなど、いつも美味しくいただいてました。そして、太りました。

 

掛川おでんの名店

今も通っているおでん屋さんは、大手町のすいのやさんと、中央一丁目の青野さん。以前より回数は減りましたが、年に数回、晩酌用にお持ち帰り。女将さんから「カツブシは?」と聞かれると、てんこ盛りでお願いしています。いつまでも続けてほしい掛川の名店だと思っています。

掛川おでんは静岡おでんとは違う?!

弟夫婦が掛川に来ると、掛川おでんを食べてもらうのですが、どうも静岡おでんと同じだと思っているようです。世間巷でも、そういうカテゴリーで見ています。(個人的見解なのでお許しを・・)静岡おでんは、牛すじや豚モツでダシをとって具材を煮込みますが、掛川おでんは、鶏ガラ。このダシの旨さ、独特の甘みが、掛川おでんの真骨頂であり、万人受けする理由だと思います。だから、掛川おでんのオリジナリティ・クオリティは高いのです。

直木賞作家が驚いた?!

白いお皿に盛られたおでんと蒼龍の本

直木賞作家の山本一力さんが、以前、図書館フェスティバルで講演されたときのお話です。執筆の取材で掛川を訪れた際、おでんを串に刺してあることに驚かれたそうです。氏は、高知のお生まれ、今から410年前に、山内一豊公が掛川から赴いた地です。山本氏は、おでんに串を刺すのは、高知特有の文化だと思っていたそうで、掛川の串刺しスタイルは一種のカルチャーショックだったようです。氏が指摘する掛川と土佐のおでんの同一性が、氏の著書『蒼龍』中の「長い串」に描かれています。掛川おでんの由緒、由来、来歴にポテンシャルを感じませんか。

お城の画像

馬と人の銅像の画像

掛川おでんはB級グルメ?

昨今、全国では、B級グルメでまちおこしを仕掛けています。何の根拠もないところから、そのまちのグルメを作ろうとする行為には疑問を感じますが、そのまちで、長い間、ずっと食されてきた食べ物が、まちの活性化に繋がっていくことは素晴らしいことだと思います。
さて、掛川には、観光客を呼び込むグルメがあるでしょうか?芋汁?お茶?あまり知られていないけど、掛川のおでんはその可能性があるのでは。だってヨソのおでんより美味いからね。

ということで

何か、アピールできるような食べ物がないかなあと、あちこち出没・吟味しています。きっと、地元民が気づいていない食が、どこかにあるんじゃないかと思います。私、ヨソ者の眼力を持っていませんし、すぐにビールを飲んでしまうので成果は上がってません。掛川のためになる、研ぎ澄まされた感性が欲しいなあと思っています。
ということで、掛川は、おでんに限らず、きっとどこかにまちおこしの食材・逸品が隠れていると信じています。誰かがほんのちょっとしたきっかけに気付いてくれることを期待しつつ、まだまだ暴飲暴食が続きます。

次回

さて、次回は、街なかにあった名店のお話し=コロッケ、ラーメン、中華丼

このページと
関連性の高いページ