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第443回 我が映画へのオマージュと掛川

2013年9月20日更新

掛川市納税課長 栗田 一吉

9月6日にアニメ界の巨匠宮崎駿監督が、長編映画製作からの引退を正式に表明した。私としては「引退=長嶋」のイメージ(古っ!)なので、スポーツ選手でない宮崎監督の発言には、ある種の違和感を感じつつも、一ファンとしては誠に残念でならなかった。でも、今は心から「お疲れさまでした。」と言いたい。
最近では東京オリンピック招致決定の話題が主で、この狂騒もだいぶ下火になってきた。しかし、いずれ選挙が近くなると、また誰かが「国民栄誉賞を」と言い出すのがこれまでの常套だ。いくら資格等が申し分なくても、政治的利用だけはやめてもらいたいものだ。

掛川城御殿。青い空の下に広い平屋の御殿
掛川城御殿

招致・誘致と言えば、掛川市が、知る人ぞ知る映画ロケ地であることをみなさんはご存じだろうか?時代劇作品では「雨上がる(2000年)」以降、「雷桜(2010年)」、「小川の辺(2011年)」等の映画が本市を舞台に撮影されてきた。特に近年の「雷桜」では加茂花菖蒲園や掛川城御殿が、「小川の辺」でも御殿を使ったシーンがたくさん出てくる。
当地を訪れたことがある方ならば、試しにDVDでも借りて当該シーンを探してみたらきっと楽しいと思う。これは例えるなら、かつて自分が旅した場所が不意にTVに映ったりした時、「あっ、あそこ行ったことがある!」という感覚に近いものだと思う。

最近、アニメの世界では「聖地巡礼」なるものが流行っているようだ。と言っても、神仏に無頓着な若者達が、お遍路さんをするわけでは勿論ない。あくまでも作品の世界観により深く浸るため、その背景や舞台を訪れたいというものだ。かなりマニアックだが、前述の旅の記憶等をより積極的に進展させた形とも言え、実写よりもアニメの方が、よりイマジネーションを刺激するらしい。
また、近頃では、それを逆手に取ってまち興しに役立てている都市まである。有名どころでは、埼玉県秩父市が全面協力したアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(TV版(2011年)、劇場版(2013年夏)、略称「あの花」)」という作品が有名だ。だが、残念ながら、あの日聞いたその作品を僕はまだ観ていない(笑)。
もうちょっとメジャーなところでは、細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪(2012年)」に出てくる古民家が実在し多くの人が訪れていたり、同監督の「サマーウォーズ(2009年)」では長野県上田市が舞台になっていたりしている。
その他にも、マニアック過ぎてついて行けないものも多いが、ASCII(アスキー).JPのホームページに聖地巡礼の紹介記事が載っていた。参考までにどうぞ。

 

前置きが長くなったが、もう皆さんは私が何を言いたいかお判りだろう。そう、「秩父市でやれたなら、掛川市でもできるんじゃないか!」ということである。実は、自分は3月まで、中心市街地のまちづくりに係わる仕事をしていた。昨年度末、掛川出身で東京の映像製作会社に勤務するという若者からの「掛川を舞台にしたアニメ作品が作れないか?」という話を、とあるNPO関係者を通して聞いたことがあった。個人的には大いに面白いと思い、何とか企画を立ち上げたいと思ったが、結局自身の異動もあって、立ち消えとなってしまった。しかし、「またの機会があるならば」という気持ちは今でも持っている。
新しい形のまち興しとして、興味のある者同士が集まる中で、自分も何かに係わってみたいという方は、存外多いのではないか。こういった市民協働もまた面白そうだと思っている今日この頃である。

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