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第450回 地元で植樹祭 ~白砂青松の海岸に

2013年11月1日更新

掛川市市税課長 石田 壽美

大勢の人が苗木を植えている様子

10月19日の土曜日、午前10時から千浜海岸防災林の植樹祭が行われました。当日は、台風の影響でかなりの雨が降る悪天候でしたが、市の内外から大勢のボランティアが集まり、クロマツやシラカシ、タブノキ、ユズリハ、イマメ、ヤマモモの木など約20種類の苗木3,000本が、松枯れですっかり禿げ山となってしまった防災林に植え付けられました。
私も、海岸線の一住人であることから、昨年当初の浜野海岸防災林を皮切りに、沖之須海岸防災林や他地区で行われた本事業「いのちを守る希望の森プロジェクト」に参加してきました。今回は、その第6弾として私の地元である千浜での開催であり、大勢の方が遠方よりお越しいただき、汗水流し御尽力、御支援をいただきました。大変に感慨深く、感謝申し上げます。

 

奥に伸びた砂浜。風力発電の姿が見える

さて、私の子どもの頃、もう半世紀程も前になってしまいましたが、この千浜海岸は砂と風が織りなす風紋の白い砂浜と雄大な砂丘が素晴らしく、友達と砂丘のてっぺんから思い切りジャンプして飛び降り遊んだことが思い起こされます。そして、遊び疲れて海を見ると、遠州灘の荒波が広大な白い砂浜に打ち寄せ、反転して家の方を見れば松林の青さが目に沁みて又、何か安心感を覚えた気がします。子ども心に、海岸防災林が私たちの暮らしを護ってくれていると感じていたのかも知れません。
遠州灘沿岸の一帯では、冬から春先にかけて西南西の風が強く、古くから飛砂の害を防ぐため潮風に強い松の森林を造る出役が、今で言うボランティア作業が先祖代々延々と営まれてきました。その作業の第1歩が「堆砂垣(たいさがき)」の設置作業で、今年も千浜地区では11月17日(日曜日)に各世帯1人が出役して行われます。海岸の砂浜に竹で編んだ柵を立て、周りに葉の付いた「粗朶(そだ)」と言われる枝を配して、海から上がる砂を垣根の裏側に堆積させ、これを毎年繰り返して砂丘を形成させるものです。そして、10メートル程の高さになると松を植えて、飛砂防備の森林を造成させてきました。
このような人工的な砂丘の造成作業は、明治の中頃に確立されたものと言われていますが、近年は河川整備の影響等から天竜川から流れ出る砂が減少して堆積する砂が無く、逆に台風等の荒波に砂がさらわれる状況となっています。先の台風の爪跡は見るも無残なもので、海岸に達するなだらかな砂浜は跡形も無く、5から6メートルの高さの砂の崖が続いて海岸には容易に降りられない有り様となっています。また、海岸から第2線、第3線の防災林では、松くい虫による松枯れにより大部分の松の木が無くなって、飛砂の防止ができない状態となり、現在騒がれている津波の影響を軽減する役割も低下しています。
これからの対策については、地元として「堆砂垣と粗朶立て」も困難となってきた有り様から、人工的に土砂を盛土して津波や高潮に備える必要がありますが、何とかして、子どもの頃の思い出である白砂青松の千浜海岸を取り戻したいと願っています。

 

風車が並ぶ海岸の様子

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