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第475回 ぴのほーぷ

2014年4月18日更新

掛川市健康福祉部長 齋藤 善久

平成26年3月26日水曜日、「希望の丘」整備事業のトップを切って、社会福祉法人和松会の生活介護事業所「ぴのほーぷ」(重症心身障がい児(重症心身障がい者)通所施設)の竣工式が行われました。
「希望の丘」整備事業は、平成25年4月末をもって閉院した旧掛川市立総合病院の跡地8ヘクタールに医療、保健、福祉、介護、教育に関する施設を官公庁・民間企業の力を活用した「健康医療日本一のまちづくり」の中核ゾーンとして総合的に整備するもので、26年度中に掛川東病院、介護老人保健施設「桔梗の丘」、県立特別支援学校、特別養護老人ホーム、認可保育所、障害児学童保育所、急患診療所、中部ふくしあなどを整備していく計画となっています。「ぴのほーぷ」は、これらの施設に先駆けて今年4月1日から運営が始まりました。
今から5年前、私が福祉課長になって間もない平成21年11月、重症心身障がい児(重症心身障がい者)通所施設の建設要望が3市1町(掛川市・菊川市・御前崎市、森町)と東遠学園宛てに、重度障がいの方の家族会(手をつなぐ育成会、東遠地域肢体不自由児親の会)から提出されました。重度重複障がいの方には手厚い介護が必要なのですが、施設数は少ないのが実情で、東遠地域にはまだ設置されておらず課題となっていました。掛川市では松井市長が、平成21年の就任以来「手をつなぐ育成会」との定期的な意見交換会を実施している他、障がいを持つ皆さんからの要望には常に真摯に対応するよう心掛けてきましたが、施設建設は短期間に出来るものではありません。特に3市1町の共同作業となると、単独事業より時間も手続きもかかることはやむを得ないことでもありました。
しかし、家族会の皆さんは、建設場所、各自治体の負担方法、運営主体の決定等々、幾つもの課題が一刻も早く解決されるよう、その間に重度重複障がいへの理解の呼び掛けをはじめ、先進施設の視察、資金集めのためのトイレットペーパーの販売など、出来ることを積極的かつ精一杯実行され、施設の必要性を訴え続けてこられました。その結果、菊川市の社会福祉法人和松会が運営主体となり、「希望の丘」に建設することが決まったのです。
私は、この事業が推進されていく過程で福祉課を離れましたが、今回の竣工式典で、「東遠地域肢体不自由児・者親の会」の代表者が挨拶されるのを見て、家族会の皆さんの頑張りに、皆が力を合わせたのだと改めて感じました。また、式典には3市(地理的な関係もあり最終的に3市の補助による建設となりました)の首長も出席され、改めて各市の御理解と、障がい者福祉に関する関心の高さを感じました。
先日、開所後の「ぴのほーぷ」を訪問したところ、利用者と職員の方が協働で和気あいあいと制作活動をされており、皆さんの顔からは笑みがこぼれていました。
施設名の「ぴのほーぷ」は造語で、「ぴの」はイタリア語で、法人名の一部である「松」を意味し、「ほーぷ」は英語で、希望の丘の「希望」を意味しています。重度心身障がい児・重度心身障がい者の希望の施設として、今後更に発展していくことを期待しています。

生活介護事業所ぴのほーぷの写真。平屋建てで前にロータリーがある
生活介護事業所「ぴのほーぷ」