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第482回 音楽で掛川を元気に

2014年6月3日更新

掛川市生涯学習協働推進課長 高川 佳都夫

最近、ちょっとライブにはまっている。
ライブと言っても、ライブハウスでちゃんと聴くと言うものではなく、アマチュアで音楽をやっている(中にはほぼプロ、という人もいますが)ミュージシャンたちがいろいろなイベントなどを盛り上げるために、路上の簡易ステージなどで行うエンターテインメント、いわゆる路上ライブです。

学生時代の挫折

学生時代、もうはるか30年以上も前のことになるけど、友人がフォークソング部に入って、学園祭などでギターを弾きながら当時流行っていたかぐや姫や吉田拓郎などのフォークソングを歌っているのを見て、「かっこいいなあ、ボクもあんな風にギターを弾きながら歌えたらいいなあ」と思ったものです。
そこで友人からギターを借りて、CとかAmとかFとか、いわゆるギターのコードを覚え、ちょこっと練習をしてみたものの…ん~、ダメだ、僕にはムリ!曲の進行に合わせて素早く指の位置を変えたり、弦をしっかり押さえることができなかったり、はたまた指が太いせいか、隣の弦に指が当たっちゃったりと、なんとまあ不器用なことか。
そんなわけで、未だにギターを弾けず、上手にギターを弾ける人を見ると、とってもうらやましく思っています。今のボクにとって音楽というのは、飲み会の二次会でカラオケにいくのが関の山、ってくらいでいたんですが…

僕をライブ好きにした二人(レイニーズ)

掛川国際交流フェスティバルのステージでジャンべを叩くシンくんとギターを弾きながら歌うボーカルのヒロくんの男性ユニット
僕をライブ好きオジサンにしてしまった二人(レイニーズ)
去年の国際交流フェスティバルでも活躍してくれました

2年ほど前、あるイベントで、掛川を中心に活動をしている、レイニーズという男性2人組みのユニットの路上ライブを聴く機会がありました。このユニットは、アコースティックギター&ボーカルのヒロくんとジャンべというアフリカンドラムを叩くシンくんという若者二人のユニットです。
彼らの歌を聴いたとき、ドッカーン!と体の中に稲妻が走ったような衝撃を覚えました。ヒロくんのギターテクニックのすごさと、囁くような甘い歌声、シンくんのリズミカルなジャンべを叩く音。歌っていた曲は彼らのオリジナル曲、「絆」
すごい!掛川にもこんな音楽をやっている若者がいるんだ!この衝撃を受けた後、しばらくはレイニーズが出演するライブ(もちろん、イベントなどでタダで聴くことができるもの)を見つけては聴きに行っていました。その後は、ちゃんとお金を払って聴くライブにも行っていますよ。

 

そんな感じで音楽シーンを見る(聴く)機会が増えてくると、実は彼ら以外にも、掛川や近隣の市町にも実に大勢のミュージシャンたちが活躍していることが、少しずつ分かってきました。彼らのほとんどすべてが、アマチュアミュージシャンたちです。
音楽が好きで、自分の曲をみんなに聴いてもらえるのが楽しくて。純粋にそんな気持ちで音楽をやっている人たちです。自分で作ったオリジナル曲をCDに録音して売っているミュージシャンももちろんいます。でもそれで食べていけるわけではなく、活動資金の一部を賄う程度でしかないようですが。しかし、中には、若いころにプロのミュージシャンを目指して、オーデションを受けたり、いろいろなコンテストに出場し、もうちょっとでプロのミュージシャンになっていたかもしれない、という人もいます。
そして、このミュージシャンたちが実は掛川のまちを元気にするために一役買ってくれていることを、みなさんはご存知でしょうか。

テントの下で歌う女性とギターを弾く男性
「SPOON」の二人、彼らはNHKの音楽番組「UTA TUBE」
の名古屋地区大会で優勝した実力の持ち主!

たとえば、毎月第3土曜日の午前中に、駅前通りで開催されている「けっトラ市」。ここでは、毎回必ず「けっトラ Live」が行われています。毎回4から5組のミュージシャンたちが30分交代で自分のオリジナル曲やカバー曲を披露して、会場を盛り上げてくれています。ぜひみなさんも、けっトラ市を楽しみながら、彼らの音楽もあわせて楽しんでいただきたいと思います。

 

駅前通りの路上でライブをするミュージシャンたち
けっトラ市や友引ストリートカフェを盛り上げる。
ミュージシャンたち

そして、同じく駅前通りで開催される「友引ストリートカフェ」でも、やっぱりミュージシャンたちによる路上ライブが行われています。これらは、まちなかでのイベントですが、これ以外にも、道の駅掛川でも毎月10組ほどのミュージシャンが出演する「道の駅ライブ」が行われていますし、毎月1回土曜日の午後、掛川駅の東側のサンクン広場でも定期的にファインデーパークというストリートライブが開催されています。

 

男性ボーカルと女性ボーカル、カホンを叩く男性とギターを弾く男性のグループ
「道の駅ライブ」が楽しい(道の駅掛川で)
お茶農家やバラ農家のメンバーも

また、つま恋などで、大規模な音楽イベントが開催されるときなど、全国から集まってくるお客さんを、まちなかへいざなうために、サンクン広場で「掛川ミュージックステーション」なるイベントを開催したり。と、こうしてみると、掛川の音楽シーンって、けっこう面白いんですよ。
そして掛川のすごいところは、ここに出演するミュージシャンたちが、掛川市内の人ばかりではなく、西は湖西市から東は静岡市あたりからも出演しているということです。たまに、県外から出演するミュージシャンもいるんです。
市外から来てくれるミュージシャンたちに話を聞いてみると、掛川は他の市町に比べて、とても自由な雰囲気で音楽をやらせてもらえる、懐の深いまちなんだそうです。

 

そう言ってもらえると、なんだかもっと彼らを応援したくなっちゃうのが人情というもので、ついついライブがあるときにはそそくさと聴きに行ってしまう。そんな感じであちこちライブをはしごしてみたりもしています。そこで、ミュージシャンたちの手作りCD買っちゃったりしています。

茶娘姿でギターの弾き語りをする女性

路上で管楽器・吹奏楽器を演奏する茶娘姿の女性5人
新茶シーズンには、こんな演出も
(出演した女性ミュージシャンたちが茶娘姿で)

掛川茶を売る茶娘姿の女性
演奏後には、売り子さんとしてお手伝いしてくれました

路上でギターの弾き語りする茶娘姿の女性

 

東北支援路上ライブ

掛川駅地下の南北連絡道への入り口
掛川駅のほのぼのパス(南北連絡道)

そして、今回どうしても市民のみなさんにご紹介したい、ストリートミュージシャンがいるんです。彼は袋井に住んでいるんですが、毎週土曜日の午後8時ごろから深夜まで、掛川駅のほのぼのパス(南北連絡道)で、東北支援のための路上ライブを行っています。
愛用のKORG(コルグ)のキーボードの横には、透明なアクリル板で作られた、彼手作りの募金箱が置いてあります。

 

掛川駅の南北連絡地下道でキーボードを演奏している男性と聴いている人
掛川駅のほのぼのパス(南北連絡道)

彼は、3年前に起きた東日本大震災の後、何度かチャリティライブを行い、東北支援のための募金を行ってきたそうです。そして昨年の7月からは、毎週土曜日の夜は、ほぼ一日も欠かさず路上ライブを行っています。夏の蒸し暑い夜も、冬の寒風が吹きぬける夜も、雨の日も風の日も、時々酔っ払いに絡まれながらも、毎週やっています。
去年、みなさんからいただいた募金総額は約21万円だったそうです。そして彼はその全額を南三陸町へ送りました。持っていったのは、ボクをライブ好きオジサンにしたミュージシャンのレイニーズです。彼らもまた、東北支援のために現地まで行って被災者の皆さんを励ますためのライブ活動を行っているんです。

 

キーボードを演奏している男性
実はこの彼、若い頃にアマチュアバンドの日本代表として
世界大会へ出場した経験もあるんです。

掛川のまちを元気にし、さらに東北支援まで行う、彼らミュージシャンたちをぼくはこれからも応援していきたと思っていますし、できれば、市民のみなさんも土曜日の夜、8時過ぎに掛川駅周辺へ出掛ける機会があれば、ぜひ一度ほのぼのパスの東北支援路上ライブを聴いて音楽を楽しんでいただき、さらに東北の被災地支援にもご協力いただければ幸いです。

 

路上ライブをしている男性の横に置かれた「全額 東北」と書かれた透明の募金箱
彼の横には募金箱が(東北支援のご協力を)

 

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