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第484回 「さくら咲く学校」の取り組み

2014年6月13日更新

掛川市教育次長 平出 行良

「さくら咲く学校」って、いい名称だと思いませんか?
平成22年3月に西郷小学校との統合により、廃校となった原泉小学校の跡地の有効活用を目的とし、平成23年4月に開校した交流型施設のことです。

さくら咲く学校のことをお話しする前に、原泉小学校のことに少し触れておきます。
その昔、私が小学生の頃には、原泉地域には2つの小学校があり、1つは、孕石地内にあった「旧三笠北小学校」と、そしてもう1つは居尻地内、ならここ温泉を少し過ぎたところに、私の通った「旧原泉小学校」がありました。
この旧三笠北小学校と旧原泉小学校の統合は、私が小学校を卒業した昭和42年の4月のことでしたが、統合後も孕石教場、居尻教場と別々の場所で授業が行われ、萩間地内に新校舎が完成し、児童たちが初登校したのは、ほぼ1年後の昭和43年3月14日であったことなどが「閉校記念誌」に記されています。
また、同記念誌によると、昭和42年当時の児童数は 188名、8年後の昭和50年度には 100人を切り、平成9年度からは一部複式学級、そして平成17年度からは完全複式学級、統合時の全校児童数は16人という状況の中で、「春は桜の花吹雪」と校歌に唱われ、校庭の見事な桜が自慢の一つであった原泉小学校は、43年の歴史に幕を降ろしたのです。平成22年3月21日に行われた閉校式には、地域住民はもとより、地域を離れていた者も含め多くの卒業生たち、また教鞭を執られた懐かしい先生方など原泉小学校に関わった人たちが、大勢集まったことをよく覚えています。

原泉地域立 森の都 さくら咲く学校のプレート

旧原泉小学校の校舎と校庭の写真

さくら咲く学校に、話を戻します。統合への準備と並行して、地域住民、NPO法人、行政で、「原泉地域創造研究会 森の都・未来を考える会」が組織され、跡地の有効活用についての検討が重ねられ、地域住民のよりどころであった原泉小学校の役割を引き継ぐことを基本に、さくら咲く学校はスタートしました。スタートにあたって、地域住民の理解や協力、また自分たちのこととして原泉小学校の跡地施設と向き合っていくことが必要との思いから、地域全戸に会費1,000円で組合員となることの呼び掛けがあり、後々になって、地域の9割を越える世帯が賛同して組合員になったと聞いています。さくら咲く学校は、このように地域住民みんなが関わっていくという方針で立ち上げた施設であり、正式名称も「原泉地域立 森の都 さくら咲く学校」というものであります。

さくら咲く学校の事業は、自立型学校跡地活用事業として、空き教室等のテナント貸し、特別教室・体育館の時間貸し、地域イベントの開催等をその事業内容とし、運営管理組合が中心となって事業推進をしています。
さくら咲く学校の理念は、地域で暮らす人、ここを訪れる人、この施設で営む人、つまり「暮らす」・「訪れる」・「営む」の三位一体の利活用を図る交流型施設を目指していくことであり、地域で暮らす人にはみんなが集まるコミュニティー施設として、ここを訪れる人には宿泊・滞在・体験・交流施設として、この施設で営む人にはその経済活動の場を提供する施設として、活発な利活用が期待されているものと考えます。

夜、満開の桜を鑑賞する人たち
夜桜

手筒花火から勢いよく噴き出す花火の様子
夏まつり

外国人教師の話を座って聞く小中学生たち
イングリッシュイマージョンキャンプ

リサイクル市と創作品・飲食物の即売会の出店の様子
暮らしごと市&XChange

 

平成25年度の事業報告から具体的な活動事業を紹介すると、空き教室には、

  1. アトリエや絵画教室
  2. 和太鼓の演奏活動
  3. マッサージのケア教室
  4. 雑貨屋&カフェの癒し空間
  5. 雑貨のセレクトショップ&紅茶

等の皆さんがテナントとして入居されています。また、ならここ温泉と連携し、宿泊を伴って、大学のゼミ合宿やフィールドワーク、スポーツ少年団の合宿等にも利用され、また市教育委員会においても、小中学生対象の英語を使った様々な体験活動を行う「イングリッシュイマージョンキャンプ」(宿泊)と「イングリッシュデイトリップ」(日帰り)をさくら咲く学校で開催しています。体育館等では、コスプレ撮影や映画・新曲等のプロモーションビデオの撮影もあり、また地元にある八高山や大尾山を歩き、登山ルートを紹介するトレッキングマップの作成や、農地を利用してのジャガイモ、サツマイモ、そば、タマネギの栽培、棚田の再生も行われています。地域のイベントとしては、4月の夜桜まつりや手筒花火、和太鼓などが登場する夏まつり等の開催により、地域住民の交流も図られています。しかし、最大のイベントは11月中旬に2日間にわたって行われる「暮らしごと市&XChange」で、これは不用となった衣料・雑貨を持ち寄り交換して持ち帰るリサイクル市と創作品・飲食物の即売会の合体イベントですが、市内外から1,200人を超える来校者があります。

限りある予算の中で、これらの事業が精力的、継続的に行われていることについては、運営管理組合の役員である理事、とりわけ鈴木理事長をはじめとする7人の常任理事の皆さんのボランティア精神あふれる働き、活動に負うところが大変大きいと、誰もが感じています。彼らは、設立当初から無償で運営管理組合に関わってくれていますが、常任理事会は毎週1回開催の方針で、平成25年度は実に46回も開催したと過日の総会で報告があり、本当に頭の下がる思いです。
八高山やならここ温泉、キャンプ場など、飛び抜けた観光資源とは言えませんが、それらをうまく利活用し、「暮らす」・「訪れる」・「営む」のさくら咲く学校の事業を継続することを通じて、地域住民が楽しむことができ、また元気でいられて、そのうえ地域の活性化が図られるとなれば、そんな素晴らしいことはないと思います。
掛川市がこの4月に発刊した「KAKEGAWA WAY 2014」という冊子の6ページに、さくら咲く学校の鈴木理事長の紹介と彼の素敵な言葉が載っていますので、是非一読ください。
さらに多くの方が、さくら咲く学校に足を運んでくださることを願っています。

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