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第491回 お役所の財政に質問をいただいてます

2014年7月25日更新

掛川市財政課長 山本博史

時々、市民の皆様から市の財政状況に関するご質問をいただくことがあります。

財政状況のことをお尋ねになる方は、市政への関心と見識の高い方で、ご質問をいただく度に、お役所の発想とは別の角度からご意見を頂戴し、勉強させていただいております。ありがとうございます。

さて、ご質問の多くは市の借金に関すること、財政の持続性に関することです。
最も多いご質問は、「掛川市は借金が多いって聞くけど本当?平成24年度決算の将来負担比率は県内市町の中で、一番悪かったと聞いたけど大丈夫?」というような内容です。

現在、地方公共団体の債務の多寡を表す指標として、将来負担比率という指標があります。
将来負担比率を一般家庭に例えると、将来にわたり支払わなければならないローン(借金)の総額が、年収の何倍にあたるかというイメージになります。

掛川市の場合、平成24年度決算の将来負担比率は123.5%でしたので、市には年収の1.2倍ほどの負債があるということになります。
昨年度、将来負担比率が県内市町の中で最も高くなったのは、新しい病院の中東遠総合医療センターを建設したためです。袋井市とともに206億円の借入れを行いました。

借金に関するご質問には、「新病院の建設や地震津波対策のために債務が増えましたが、一時的なことです。債務の返済計画に無理はありません。大丈夫です。」とお答えしています。

次に多いご質問は、財政の持続性に関することです。
「少子高齢化は進むし、社会保障関係経費がどんどん増えるでしょ。市税は増えないですよね。でも、市民のために新しい病院を建てたり、市町合併のとき決めた事業を実施したり、事業をやれば借金が出来るし、これから先やっていけるの?」とのご質問です。

持続性に関するご質問には、次のようにお答えしています。
「掛川市では平成21年度から重点的に行財政改革を推進し、債務総額を減らす努力を続けています。また、経常的経費17億円の削減にも取り組んでいますし、今後は、市民との協働により行政運営から行政経営への転換を進めています。様々な取り組みにより、身軽な歳出構造への転換を目指しています。」と説明しています。

さらに、制度上の仕組みについても説明しています。
「地方自治体の地方債は、借入れに際して一定の制約があります。市がお金を借りるためには、市議会の議決が必要ですし、県知事の同意も必要です。また、借り入れたお金の使い道は、法律で決められていて、学校や道路などの建設にしか使えません。国が発行する赤字国債のように、お金が足りないからといって借金することはできません。」

このような説明により、ご理解いただけるよう努力しておりますが、市民の皆様からは、「お役所の財政は、民間の企業会計とは異質で分かりにくい。」とご指摘をいただくことがあります。
まったく仰せのとおりでありますので、これからも工夫して、分かやりくお知らせできる方法を研究してまいります。
その言い訳ではありませんが、下の表は、全国及び県内における、掛川市の財政運営上のポジションを表す資料です。主要な財政指標を全国都市、さらには県内都市と比較することによって、掛川市の位置がお分かりいただけるのかと思います。
これによると、掛川市は、財政力は上位にあるものの、債務の総額や公債費(借金の返済)の比率が高い傾向が現れています。

主な財政指標 全国・県平均との比較

掛川市と全国及び静岡県の財政指数の比較一覧
項 目 掛川市 全国都市平均 県下都市平均
財政力指数
(単年度)
24年度 0.91 24年度 0.62 24年度 0.85
自治体が通常収入できる税収を通常の行政サービスを行うのに必要な経費で割った率。
指数が高いほど財政的に豊かな自治体 (平成25年 0.91)
自主財源比率 24年度 61.7 24年度 49.5 24年度 59.0
自治体が国などに頼らず自前で確保できる財源(市税、財産収入、使用料等)の歳入に占める割合で、自前の財源の度合いや足腰の強さの目安となり、高い方が望ましい。
経常収支比率 24年度 84.7 24年度 90.2 24年度 85.7
地方税や普通交付税など使途が限定されず毎年収入される財源(経常一般財源)に対する、人件費や借入返済金など毎年支出しなければならない経費に充てた一般財源の割合。比率が高いほど財政が硬直化していることを示す。
投資的経費比率 24年度 15.5 24年度 12.3 24年度 14.5
投資的経費(普通建設事業、災害復旧事業)の歳出総額に占める割合。歳出に占める投資的経費の割合を見ることにより、将来に向けたストック形成にどの程度の経費を充てているかを判断する指標。値が高くなるほど、資本形成が充実し望ましい。
義務的経費比率
(人件費、扶助費、公債費)
24年度 40.8 24年度 48.7 24年度 45.1
義務的経費とは支出がほぼ義務づけられていて、容易に又は任意に削減できない経費で、具体的には人件費、扶助費、公債費をいう。この義務的経費の歳出総額に占める割合をいい、財政的な自由度を高めるためには、比率は低い程よい。
実質公債費比率 24年度 11.8 24年度 9.2 24年度 10.7
毎年の借入金等返済額のうち、一般財源の額が標準財政規模に占める割合。公債費の償還額のほか、公営企業等の元利償還金、一部事務組合の公債費への負担金等の公債費類似経費が算入される。比率が25%(早期健全化基準)を超えると、財政健全化計画の策定が必要になる。また、一定の種類の新規借入れは許可されない。
(平成24年 全国で比率が高い方から 669位/1,742団体中)
将来負担比率 24年度 123.5 24年度 60.0 24年度 60.0
市町村の一般会計等が、将来負担することとなる負債の額の標準財政規模に対する割合を表す指標。地方債残高や、将来の公営企業への繰出、組合への負担見込額、退職手当の支給予定額等、将来において負担が見込まれる額を合算し、基金等の充当可能財源を控除し、算定する。早期健全化基準は350.0%
(平成24年 全国で比率が高い方から 182位/1,742団体)
一人当たりの起債残高
(年度末)
24年度 396,603円   24年度 382,066円
一人当たりの基金残高
(年度末)
24年度 46,905円   24年度 56,310円
一人当たりの自主財源額 24年度 236,001円   24年度 210,791円

(注)全国都市平均数値は、「全国都市財政年報(全国789都市・23特別区 2012年度決算)」より抜粋。ただし、実質公債費比率及び将来負担比率は、総務省公表による全市区町村の平均値
(注)県下都市平均数値は、「平成24年度 市町財政の状況」より抜粋<県下23市の平均数値>

現在、平成25年度決算の将来負担比率を算定しています。改めてお知らせさせていただきます。
「掛川市の財政」に対するご意見、ご質問をお寄せください。

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