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第492回 環境浄化植物サンパチェンスと緑のカーテン

2014年8月1日更新

掛川市図書館長 村松 武

サンパチェンスは、夏の強い日差しや風雨に強く、大気汚染に対する浄化能力の高い植物として、掛川市吉岡に総合研究センターがある株式会社サカタのタネが開発した植物です。サカタのタネ掛川総合研究センターでは、子どもたちがサンパチェンスを栽培し、理科の学習と環境教育に役立ててもらおうと、2010年から毎年市内の小中学校に苗を寄贈していただいています。

曽我小学校の玄関に飾ってある鉢植えの白・ピンク・紫のサンパチェンスとプランターに植えられた花と緑のカーテン
曽我小学校のサンパチェンスと緑のカーテン

体育館で生徒を代表してサンパチェンスの苗を受け取る女子生徒と男子生徒
生徒を代表して苗を受け取った
西尾さん(左手前)と大原さん(左奥)

 

サンパチェンスはインパチェンスの園芸品種で、一株で草丈が60センチメートル以上、横にも60センチメートル以上に広がり、花の大きさも6センチメートルぐらいと大きく、夏の暑さにも強く丈夫で育てやすい花です。
花の色が豊富で、葉に斑入りの品種もあります。2006年から販売され、2013年には世界30カ国で2,000万鉢以上販売されたそうです。
サンパチェンスは従来の植物と比べて、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素の吸収量が4から6倍、排気ガスに含まれている二酸化窒素の吸収量が5から8倍、シックハウスの原因となるホルムアルデヒドの吸収量が3から4倍高いなど、環境浄化能力が高い植物として注目されています。また、水分の蒸散能力も高いので、植えておくと結果として周囲の温度が下がるという「打ち水効果」もあります。

サンパチェンスの特徴(株式会社サカタのタネホームページより)

  • 環境浄化植物として各種有害物質の高い吸収分解効果を発揮する。大気のみならず、水中に溶けた窒素やリンといった栄養塩類の高い浄化能力を発揮
  • 1株で鉢植えの場合は約60センチメートル、露地植えでは約1メートルもの大株になる。生育も従来のインパチェンスより早く、栽培が容易
  • 従来のインパチェンスの課題を克服し、暑さや強い日ざしに耐え、真夏でも株が大きくなりたくさんの花を次々に咲かせる。
  • 生命力が強く根張りが抜群によいため、強い風で倒れてもすぐに回復する。また、花弁が厚いため、風雨にあたっても花が長もちする。
  • 春から晩秋まで長期間にわたりトロピカルな美しい花を楽しめる。また、花が株の表に出て覆うように咲く「オーバーフラワリング」や、枯れた花を覆い隠すように次々と新しい花が開花する「セルフクリーニング」の性質がある。
  • ほかの花壇材料に比べ単位面積あたりの植えつけ株数が少なく済む(マリーゴールドやサルビアは1平方メートルあたり25から36株、『サンパチェンス(登録商標)』は1平方メートルあたり5から9株程度)。

浜松フラワーパーク内にある水上通路の横に植えられている赤や白のサンパチェンス
浜松フラワーパークの水上花壇

掛川城公園の円形の花壇に植えられているサンパチェンス
掛川城公園のサンパチェンスの花壇

 

次に、サンパチェンス育て方を紹介します。ぜひ、来年挑戦してみてください。

  • 植え付け時期
    4月下旬になると、ホームセンターなどで苗が販売されます。なるべく早く苗を植えると株も大きくなり、早くから花を楽しむことができます。わが家では、5月に15鉢ほど植えました。
  • 植え付け場所
    植える場所は、屋外の日当たりのよい場所か、半日陰になる場所を選びます。一日中日陰になるところは、株が伸びて花が付きにくくなります。
    鉢植えの場合は、30センチメートルくらいの大きめの鉢に1株を目安に、園芸用土または赤玉土5、腐葉土3、完熟堆肥2の割合で、水はけよく植え付けます。株が大きくなるので、なるべく大きな鉢に植えるのがコツです。
    庭へ植える場合も、水はけと風通しのよい場所に堆肥や腐葉土を混ぜて、60センチメートル以上の間隔で植え付けます。
  • 水やり
    水やりは、苗がまだ小さいうちは少なめに、成長に応じて水の量を多くしていきます。
    夏は水切れがしやすいので毎日たっぷり水をやります。
  • 肥料は切らさないこと
    水やりと同様、株の成長に応じて、はじめは少なめに徐々に多くしていきます。大きく育つので春から秋まで定期的に追肥をします。1か月に1回程度化成肥料など追肥します。夏の成長期には液肥(1,000~2,000倍)を10日おきに水やりの代わりに与えます。
  • 花がら摘みはこまめに
    咲き終わった花はこまめにつみとります。次々と花が咲いてきます。
  • 病害虫について
    ハダニやアブラムシに注意します。乾燥するとハダニがつきやすくなりますので、定期的な防除に努めます。
  • 切り戻しをしてさらに美しく
    伸びすぎてバランスが悪くなったら、枝先から3分の1から2分の1を目安に切り戻すと株の姿がよくなり、再び花が咲きます。5月植えの場合、7月中旬ごろが切り戻しの目安です。

掛川市図書館長の自宅に植えてあるゴーヤの緑のカーテンと鉢植えのサンパチェンス
自宅のサンパチェンスと緑のカーテン

中央図書館の玄関に飾られてある鉢植えのサンパチェンス
中央図書館のサンパチェンス

 

わが家でも、数年前からサンパチェンスを栽培して花を楽しんでいます。今年の夏は、打ち水効果の高いサンパチェンスとゴーヤによる緑のカーテンと組合せ、自然のエアコンで省エネとCO2削減、そして、ゴーヤの実は食卓へ。植物を育て、見て、食べて、節約して、暑い夏を乗り切ろうと思っています。
そして、中央図書館でも、毎年行っている緑のカーテンに加え、今年はサンパチェンスの花が玄関で来館者を迎えています。ぜひ、図書館にお出掛けいただき、本を借りるついでにサンパチェンスの花と緑のカーテンをご覧ください。また、大東図書館、大須賀図書館でも緑のカーテンによる省エネに取り組んでいます。

大東図書館の窓を隠すように植えられた緑のカーテン
中央図書館の緑のカーテン

中央図書館に植えられた緑のカーテン
中央図書館の緑のカーテン

 

建物と植物
大東図書館の緑のカーテン

 

大須賀図書館の花壇に植えられた緑のカーテン
大須賀図書館の緑のカーテン

大須賀支所前に植えられた緑のカーテンと鉢植えの白・赤・紫の花が咲くサンパチェンス
大須賀支所のサンパチェンスと
緑のカーテン

 

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