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第506回 「ギャラリー 雑感」

2014年10月17日更新

掛川市環境経済部付参与 石川 安宏

「自分の安全は自分で守る。自分と共に仕事をしている人の安全を守る。仕事の仕方、結果が常に安全であること。交通安全の徹底。では、1番を確認します。構えてください。自分の安全は自分で守る。ヨシ!!」。朝礼当番のリードに続き、全員が左手を腰に、右手を前方に、安全原則の指差呼称。「自分の安全は自分で守る。ヨシ!! ご安全に」。環境資源ギャラリーの一日は、毎朝、朝礼でのこのような儀式からスタートします。

日々の業務の中では、かかってくる電話の内容もさまざまです。今年度の一例としては、ごみと一緒に出してしまったという財布、携帯電話、結婚指輪、車と玄関の鍵。過去には中身の入ったボーナス袋まであったと聞きます。
「そちらへ行けば探すことができますか?」との切実な思いにもお気の毒ながら応えられず、「申し訳ないですが、一旦、搬入されてしまうと、ごみの山から探し出すのは難しいので・・・」と、ご理解願っているのが実情です。

かかってくる電話がさまざまであれば、直接搬入されてくる廃棄物もさまざま。家では使いきれないという未使用の食品ギフト、欲しいのはパソコンだけだけど、プリンターとセットで買った方が安いために購入して不要になったという新品のプリンター、購入時のままの未使用のインテリア用品等々、「もったいない」廃棄物自身の嘆きは如何ばかりか。

昨今、あまり聞かなくなったこの「もったいない」という言葉。戦時中の貧しさを経験された世代は、暮らしの中のさまざまな場面で「もったいない精神」が息づいている一方で、戦後の大量生産、大量消費時代に育った、以降の世代においては、現代社会の豊かな恩恵に浸り、日常生活においてこのような言葉をあまり聞くことがないと感じます。

木製の冷蔵庫と炭火アイロン、金属製のゆたんぽが並んでいる様子。
木製冷蔵庫

さて、ギャラリーの管理棟内にある容器包装博物館。ここでは、地球環境の保全や省エネ推進など、各種環境問題に対するPRのお手伝いをさせていただいています。来館者が一様に注目を寄せる展示品が、昭和初期の木製冷蔵庫と炭火アイロン。役割を終えたと判断された排出物も、今となっては懐かしいレトロ感が漂い、電化製品が普及する前の時代でも、立派に家庭生活が営めていたことを想像させてくれています。

 

こうした日々の職場環境に影響を受けてか、安易に棄ててしまうことに少々こだわりを感じるようになったこの頃。
家の片付けで、物置に眠っていたひと時代昔の日常生活道具を引っ張り出し、石臼と漬け物かめをメダカの住まいに、火鉢と漬け物かめを園芸用の鉢代わりに。これまではためらいも無く決めつけていた廃棄物に、いたずらで自分流の息を吹き返してみました。

石臼と漬物用のかめに水草を入れ、メダカを飼っている様子。
石臼と漬け物かめをメダカの住まいに

石臼と漬物用のかめに植物を植えている様子。
火鉢と漬け物かめを園芸用の鉢代わりに

 

ギャラリー事務所でも、今年の夏、爽やかな風を届けてくれた5台の廃棄物扇風機。「まだ捨てたもんじゃないゾ」と、誇らしげに存在感をアピールしてくれました。

環境資源を考えるヒントがあちこちに眠っているギャラリー。「たかがごみ、されどごみ」日々実感しています。

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