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第507回 健やかな体と安らかな心を

2014年10月24日更新

掛川市こども希望部 参事兼健康統括官 岩附美恵子

市民のみなさんの健康を願い、いつのまにか35年を超えていました。この間に、健診や健康相談、家庭訪問、健康教育などをとおし、市民のみなさんから多くのことを教えていただきました。「結核検診の時に血圧が高いって言われ、治療を始め下がっただよ。あそこで血圧はからなきゃわからんかったもんね。助かったやー。」と笑顔で話してくれたり、乳児を持つおかあさんからは「教えてもらった方法で母乳を与えたら飲めるようになったし、体重も増えてきたよ。」と嬉しそうに声をかけていただくと、保健師冥利に尽きます。

しかし、このようなこともあります。何年か前、健康相談に若い男性が来所されました。血圧を測定したところ非常に高く、受診勧奨に加え食事や生活についての話もさせていただきました。しばらくたった頃、その方が、脳梗塞を発症され半身不随になったことをお聞きし、大変ショックを受け、自分の力のなさを感じました。また、血糖値の高い男性から相談がありました。このまま糖尿病の治療をしなければ、合併症を起こしてしまうという思いで受診勧奨を続けてきた矢先、腎不全を起こし人工透析を受けられることになりました。なぜ、重症化予防ができなかったのかと非常に悔やみました。お二人とも、予測できていた病気です。症状のない方に、生活を変えていただくことの難しさを痛感しました。一方、「病気になって初めて健康のありがたさを感じた。」と答えられる方も多いです。このように悔いることのないような生涯を送っていただきたいと願い、今後も市民のみなさんの「健康をつくる」ための支援をしていきたいと思います。

健康ということばの語源は、中国の古典「易経」にある「健体康心」からきていると言われています。すなわち、健康は、「体が健やかで、心が安らかな状態」を意味しています。最近、この「心が安らかな状態」を保つことの大切さを感じています。特に、心の安定のために、孤立感を感じさせない環境づくりが必要だと思います。今、人間関係の希薄化により地域や職場、そして家庭の中でも孤立し、孤独による不安や寂しさから生活が乱れ、病気を患ったり、中には子供や高齢者の虐待、孤独死などの事件につながっていることもあります。昔のように、子供から高齢者まで孤立することなく、家庭や地域、職場でのコミュニケーションを積極的に図り、支え合える関係が、再び必要になってきているように感じます。

また、健康は、子供の頃からの生活が基盤となります。これからの掛川市を担う子供達が、生涯にわたり健やかな体と安らかな心を保つことができるよう、地域の皆さんにも応援してもらえたらと思います。

終わりに、今後も市民の皆さまの健康を願うとともに、家庭や地域、職場が繋がりあい、自助・共助による健康づくりの推進が図られるよう健康支援に携わって参りたいと思います。
注 こころが疲れてきたときの参考に「こころと体のセルフケア」を添付させていただきます。

細長い風船で花や犬、剣を作ったバルーンアート

細長い風船で花や犬、剣を作ったバルーンアート

吹き出しのイラストに「子ども達の笑顔が見たくてバルーンアートの勉強を始めましたが、なかなか上達しません。いつか子ども達の前でお披露目ができたらなあと思います。これが、最近の私の心の健康に繋がっています。」というセリフが書かれている。

こころと体のセルフケアというタイトルと吹き出しのイラストに「自分のできる範囲で自分の面倒をみましょう!」というセリフが書かれている。

こころと体のセルフケア

1 体を動かす

運動には、ネガティブな気分を発散させたり、こころと体をリラックスさせ、睡眠リズムを整える作用があります。特に、効果的なのは、体の中に空気をたくさん取り入れながら行う散歩、軽いランニング、サイクリングなどの有酸素運動です。1日20分を目安に、体がぽかぽかして汗ばむくらい続けましょう。「ああ、スッキリした!」と思えるくらいの軽さを目標にして、継続しましょう。

2 今の気持ちを書いてみる

もやもやした気持ちを抱えているときは、それを「紙」に書いてみましょう。言葉でも、イラスト、マンガでも、実際に「手を動かして書く」ことが大切。書くことの効果は、(1)抱えている悩みを客観的に見られるようになること、(2)それまで思いつかなかった選択肢に気づけるようになること。

3 複式呼吸を繰り返す

不安や緊張している時は「深い呼吸」を心がけてください。やり方は、イスに腰掛け、おなかに手を当て、3秒かけてゆっくり口から息を吐き出します。同じように3秒数えながら、鼻から息を吸い込みます。5~10分くらい繰り返します。

4 「なりたい自分」に目を向ける

問題を抱えているときや悩んでいるときは、「こんなふうになるといいな」と理想を思い浮かべ、それが実現したとき、自分や周りの人がどんな風にかわっているかイメージしてください。そして小さな目標を立て、実行できたら自分を褒めてあげましょう!

5 音楽を聞いたり、歌を歌う

「音楽」は、ごく自然に人のこころと体を癒やしてくれます。その時の気分にあった曲を選んで、音楽にひたりましょう!

6 失敗したら笑ってみる

「笑い」はこころを軽やかにして、つらい日々を乗り越える力をつけてくれます。失敗しても自分を責めたり恥じたりするのではなく、「やっちゃった自分」を笑い飛ばしましょう!

注 厚生労働省「こころのメンテしよう」抜粋

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