総合トップ記事第521回 我が家の年末の恒例行事"餅つき"

第521回 我が家の年末の恒例行事"餅つき"

2015年1月20日更新

掛川市南消防署長 松井 務

新年を迎えてから寒い日が続いていますが、皆さんは年末年始をどう過ごされましたか?

我が家では毎年の恒例行事として、年の暮れには今でも、杵と臼を使っての「餅つき」を欠かさずに行っています。我が家では、日本の伝統文化である本格的な餅つきは、まだまだ現役です。みんなで額に汗してついた出来たてのお餅の味は、また格別です!この年末の一大イベントに、親類一同がそろっての正月前の和気あいあいとした団らんとなります。

昨年は、12月28日にお餅をつきました。餅つきにも「しきたり」があって、御存知の方もいるかも知れませんが、餅をついてはいけない日があります。12月29日に餅つきをすると苦がつくからいけないと言われて餅つきを避けています。(9餅:苦餅 29日餅:二重の苦持ちなどと言い伝えられている。)地方によって考え方も異なるようですが、一般的には、餅つきに最も適した日が12月28日だそうです。その他には、餅を手返しする時に使う手水(バケツの水)は、足りなくなってきたら全部替えるのではなく水を足すという習わしがあるそうです。

親類一同が一致協力して交代でつきます。つく合間に餅を返す人を「合い取り」とか「手返し」といい、三回ついたら、一回返すというように、つき手と一緒に声を出し息を合わせながら、タイミングよくつきます。手返し水を使いすぎると腰のない餅になるので、臼に餅がへばり付かないように水加減に気をつけながら手返しします。餅の表面にてかりが出て、まさに「もち肌」のようになってきたら、つきあがりです。こうして各世帯分の12から13臼分の餅をつきます。昔は、実家の庭で早朝の暗いうちから餅をついたもので、この日が来るのが楽しみで子供心に待ちわびたものでした。

餅つきの様子。男性が臼を目掛けて杵を振り上げていて、近くには赤ちゃんを抱いた女性がその様子を見ている。
我が家の恒例行事「餅つき」

セイロで新米を蒸している様子。火箸を持ち、近くで座って火の番をしている大人と幼児。
セイロで餅米を蒸します。

 

お餅は、昔からとても贅沢であり神聖で縁起のいい究極の食べ物のようで、お祝い事や晴れの場で用いられ、正月などには、食べる機会も多く、今年も無病息災を願い皆さんも食べたことと思います。

餅にきなこやアンコをまぶしている大人と、近くで見ているこども達。
きな粉やあんこに付けて食べます。

昔は杵を握るのは、一家の主の役割だったそうですが、時には子供達に杵の振り方を手ほどきしたりします。
餅つきは、力任せにつくのではなく、杵の重さを上手く使って振り下ろすだけで長く効率的につくことができ、餅の温度が下がらないように手早くつくことが大切です。まさに、「昔とった杵柄」の言葉どおり、若い時に身に付けた腕前は今でも衰えていません。このことわざの如く、柄を上手にあやつって、餅をしっかりつくという意味から、昔は、餅がとても重要な食べ物であったことが想像できます。
餅つきの合間には、子どもたちは大人と一緒に縄跳びやボール遊びに興じたりして一時を楽しんだりします。お昼時を見計らって、つきたての一臼の餅をみんなで手でちぎって、きな粉をまぶしたりあんこや大根下ろしにつけて味わいます。昔は、神棚に飾る鏡餅も作りました。また、出来たての餅を近所にも振る舞います。

 

餅つきにまつわる儀式の中に、生まれたばかりの子供を臼に入れて、健康に育つようにと祈願する儀式があります。母親にこの習わしのいわれを聞いたところ、昔から伝えられてきた事(おまじない)で、子どもが健康で丈夫に長生き出来るようにと願うものだそうです。そう言うことで、昨年に生まれた我が家の初孫も、この「おまじない」に与るように臼に入れて祈願してみました。

玄関先にて記念撮影。臼に入れた初孫を囲み、笑顔の家族たち。
初孫を臼に入れて祈願しました!

昔は、多くの家庭では年の暮れになれば自宅で餅をついていましたが、最近では、地区の行事やイベントなどで行うくらいです。・・・そこで、このような行事で地域住民と交流する場を積極的にたくさんつくっていき、「地域の絆」をもっとつなげていけば、災害などの「いざ」というときにも対処できる「自助」・「共助」の地域防災力の向上にもつながっていくものと思います。この良き日本の伝統文化である餅つきを、後生に末永く残していってもらいたいと思います。
これから、まだまだ厳しい寒さが続き空気も乾燥してくるにあたり、火の取り扱いには十分に気を付けて下さい。

このページと
関連性の高いページ