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第522回 懐かしい味

2015年1月23日更新

掛川市監査委員事務局長 清水 眞佐臣

一本の先割れスプーンの写真
先割れスプーン

先日、食器棚から「先割れスプーン」を見つけました。小学生時代から約48年ぶりの再会で、コッペパンと脱脂粉乳(ユニセフからの援助品)の給食を思い浮かべました。ちなみに、現在はご飯と牛乳が主役の給食でお箸を使っています。
小学生時代は、自宅に帰ればもっぱらお米が主食でしたので、現在もご飯が大好きで、とっても大きくなりました。それでも、何年かは「ご飯が昔程美味しく感じられない」という時期があり、当時は煙草の吸いすぎとあきらめていましたが、あるお店で「お焦げ(おこげ)」のあるご飯を食べた時、「美味しい!懐かしい!」と昔の味と再会しました。そこでは、一気に茶碗7杯分を平らげ、若さが戻りました。現在も炊飯にこだわっているお店があるようで、炎を柔らかくするために広葉樹の薪を使っているお店があると聞きましたので、今度寄ろうかと思っています。お米の炊き方は、時代が流れ自動炊飯器へと変わり、「竈(かまど)炊き」が無くなったことが香りを少なくしているみたいです。

 

かまどでお米を炊いている様子
竈(かまど)

それからご飯のお供ですが、出汁(だし)が効いて「うま味」のある味噌汁や季節に沿った野菜の炊き合わせなどがあれば、私にとって至福の食卓なります。

ご飯のおかずに香の物をよそった小皿が4皿並べられている。
ご飯と香の物

レンコンやミョウガ、イモなど季節の野菜の炊き合わせが1つの大皿に盛られている。
季節の野菜の炊き合わせ

 

湯呑に注がれた緑茶の写真

現在は、一人当たりのお米の消費量(農林水産省資料より)が減り、昭和37年には1年間辺り118.3キログラムであったものが、平成24年で1年間辺り56.3キログラムと50年間で約半分となり、寂しいものです。今後は、平成25年12月に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたので、緑茶と併せて消費拡大を期待しています。

 

さて、平成25年3月に策定された「第2次かけがわ食育推進計画」では、年齢層別の目標が設定されており、壮年中年期(30歳から64歳)は、「仕事や育児が忙しく、自らの食についておろそかになりがちです。食に関して正しい知識を身につけ、食生活を見直すきっかけづくりをしましょう。」となっており、一生を通じては、「地場産の農産物をつかう」「和食を中心とした薄味の健康に配慮した食事を作って食べる」「規則正しく一日三食食べる習慣をつける」「毎日緑茶を飲む」「家族でコミュニケーションをとりながら食事をする」ことをポイントにあげています。私も食生活を見直して、春夏秋冬(四季)を楽しめる食事が出来ればと思っています。

四角いお皿に盛られた一匹のメザシの写真
メザシ

お皿に盛られた一口サイズに切ってある卵焼きの写真
卵焼き

 

最後に、大好きな時代小説家池波正太郎氏のエッセイ「私の歳月」より一部を掲載させていただきます。「私が書いている時代小説に、登場する人々の酒食のありさまが良く出てくるのは、一つには、季節感を出したいからなのである。いまの食物は、夏も冬もあったものではないけれど、戦前までは、四季それぞれの魚介や野菜のみを私どもは口にしていたのであって、冬の最中(さなか)に胡瓜や茄子やトマトを食べたおぼえは一度もない。それで、子供ごころにも夏が近づいてくると、夏の野菜を入れた冷やし汁が、「もうじき、食べられるな・・・」と、おもったり、「茄子の味噌汁(おみおつけ)も、もうじきだな」と、おもったりしたものだ。」

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