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第528回「きれいな川を未来へ!!」

2015年2月27日更新

掛川市下水整備課長 鈴木 勉

最近、市内の川がきれいになってきています。数年前からは、中心市街地内の逆川でアユが確認されるようになりました。

アユは、河川の下流域で生まれ、海に流れ出て、遡上期まで海域で過ごします。そして、早春から初夏にかけて、海から河川へ生息場を移し、河川の中流域、稀に上流域まで遡上するといわれています。

逆川は、粟ヶ岳を源として、掛川中心市街地を流れ、袋井市で原野谷川、太田川へと合流し、磐田市で遠州灘にそそぐ2級河川です。

静岡県から公表されている「静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果」などにより、逆川から下流域の水質を分析してみると以下のようになりました。

平成4年から平成25年までの、「逆川、曙橋」「原野谷川、二瀬橋」「太田川、豊浜橋」の水質汚濁の経年変化の折れ線グラフ

グラフ中の「BOD(生物化学的酸素要求量)単位:ミリグラムパ-リットル(水1リットルの中に物質(溶質)が1ミリグラム)」は生物化学的酸素要求量の略称ですが、河川等の水質汚濁を示す代表的な指標で、有機物量のおおよその目安として使われ、水の有機物汚染が進むほどその値は大きくなり、アユの生息域はBOD3ミリグラムパ-リットル以下(水1リットルの中にアユの生息域が3ミリグラム以下)といわれています。

グラフからは、逆川曙橋から下流域が全てBOD3ミリグラムパ-リットル以下になったのは平成20年度以降であり、逆川のアユの目撃時期との関係があることがわかります。

一方、汚水処理状況の指標のひとつに汚水衛生処理率というものがあります。これは人口のうち、すでに汚水を下水道や合併浄化槽などで処理している人数の割合で、
汚水衛生処理率(パーセント)=水洗化人口(人)÷住民基本台帳の人口(人)×100で表します。
(汚水衛生処理率(パーセント)は、水洗化人口から住民基本台帳の人口を割ったものに100を掛けた数値で表します)

掛川市の平成17年度以降の汚水衛生処理率の経年変化は以下のとおりですが、水質汚濁の経年変化のグラフと比較すると、汚水処理と河川の水質汚濁、アユの生息との相関関係が見て取れます。

逆川のアユの遡上についてはさまざまな要因が考えられますが、逆川などが生活排水処理の改善によりアユが棲める水質の河川になったことは明らかです。

平成17年から平成25年の汚水衛生処理率の経年変化グラフ

私たちは、日常生活や社会活動のなかで、たくさんの水を使います。日常生活で発生する汚れの量は、1人1日当たり約40グラムになり、その量のうち約70パーセントが生活雑排水(生活排水のうちトイレの排水を除いたもの)によるもので、特に台所から出る汚れは生活排水全体の45パーセントを占めているといわれています。

この汚れた水を流し続けることによって、川は自然の浄化作用をなくし、魚の棲めない汚れた川になってしまいます。

そのため、家庭や工場から排出される汚水を処理施設で浄化し、河川に放流することにより、水質の保全が図られ、水環境の改善がされ、自然の保護と潤いのある生活が達成できます。

掛川市内では、河川や排水路等の水質浄化のため、公共下水道、農業集落排水、コミュニティプラント、浄化槽などで汚水を処理しています。その一方で、まだ約4割の方は単独浄化槽などにより生活排水を未処理の状態で流しているため、川や海の水を汚していることになります。

このような方のうち、既に下水道への接続が可能になった方は下水道への接続を、また、当面下水道の整備が見込まれない地域の方は合併浄化槽への転換をお願いします。

そして、生活排水を適切に処理することで豊かな自然を守り、快適な生活環境を未来に伝えていきましょう。

松尾橋から見た逆川の様子(掛川市内)
松尾橋から逆川(掛川市内)

曙橋から見た逆川の様子(袋井市内)
曙橋から逆川(袋井市内)

 

二瀬橋から見た原野谷川の様子(袋井市内)
二瀬橋から原野谷川(袋井市内)

豊浜橋からみた太田川の様子(磐田市内)
豊浜橋から太田川(磐田市内)

 

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