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第586回 地方都市における道路整備

2016年2月5日更新

掛川市土木課長 山下甫

これから地方では人口減少に伴い消滅都市が発生すると言われているが、将来的にも地方に生活基盤を置き一生を終える人、子々孫々地方に生活基盤を置くだろう人は沢山いる。これらの人たちの生活を考えたときに医療、福祉、教育などの、充実した環境が望まれる。それにもまして生活費の確保はそれこそ重大な課題となる。活発な産業活動が無ければ生活費の安定的な確保は難しい。行政として企業誘致、生産基盤の整備、流通ルートの確保等対応しなければならないことは山ほどある。

安全安心な生活には、災害に強いまちづくりが必要になる。地震、津波、大雨、干ばつ。災害にもいろいろあるし、それぞれ対策が図られるべきである。
とは言うものの、道路整備に対する要望、苦情は大変多く、今後人口減少に伴い、交通量は減少する予測があるにもかかわらず。

地方都市の財政は税収の伸び悩み、民生費の増化により土木費は縮小されていく。将来的に道路整備は必要最低限の中で進めることになる。そうなると必要最低限の整備とはどんな整備か?これもいろいろな考えがあると思われるが、日常生活道路はある程度の機能は必要と思われる。まずは、緊急車輌(消防車や救急車)の進入には困らないようにしたいし、道路周辺の排水機能は持たせたい。つぎに学校や福祉施設の周辺での、歩行者や自転車が安全に通行できるぐらいの整備は必要だ。
地方では公共交通機関が不十分だ、公共交通を充実したくても需要量が少なく採算を考えたら十分な整備は不可能だ。病院に行くにも、買い物に行くにも自動車は必須だ。
また、災害時には避難路や輸送路の確保が必要だ。これもなかなか大変だ。災害も地震だけじゃない。地震があれば原発もある。近年の異常気象を見れば、降雨災害もある、降雨災害と言えば、浸水だけじゃない。土砂災害も頻発している。それらに備えるには、橋の落橋防止(耐震化)も必要だ。
道路整備はこれだけじゃ無い、先に書いた企業誘致、生産基盤の整備、流通ルートの確保のためには道路整備は必要だ。道路が整備されていなくては企業も来てくれないし、生産基盤や流通ルートも確保できない。さらに現在の広域的な産業体制では、まだまだ幹線道路の整備は必須だ。
幹線道路の整備は国道、県道それぞれ国や県で実施してくれてはいるが、やはり予算の確保は難しく、それが維持管理費の減少や地方への補助金・交付金の減少に繋がっている。(国一掛川バイパスを走っていただくと、かつては余り見られなかった事が起こっています。それは、路面の舗装補修が十分でなかったり、路肩に草が多く茂っていたり)
具体的に掛川周辺の道路整備を見てみたい。

まず、広域的な流通ルートの確保や災害時の緊急輸送路の整備としては、広域幹線道路として新東名高速道路の整備が中日本高速道路株式会社により進められており、現在未供用の浜松いなさJCTから豊田東JCTまでが2015年度末には開通予定となっている。また、国道一号線では国土交通省により磐田袋井BPの4車線化工事が実施され、平面部(掛川市領家~袋井市国本)の改良が本年度完了予定で進められている。引き続き島田金谷BPの4車化が進められる予定となっている。

次に県による幹線道路整備としては、現在(主)掛川川根線(萩間、上西郷)、(一)袋井小笠線(入山瀬、上土方)、(主)焼津森線(倉真、五明)等がすすめられ、今後は(主)掛川浜岡線や(一)磐田掛川線等の整備が望まれている。
このような国県で進めている幹線道路整備と合わせ、市でも補助幹線的な道路として(都)掛川駅梅橋線や市道桜木中横断線、市道掛川高瀬線等の整備を進めている。

次に、主に市で整備を進めている道路とし、地域内の連絡道路や地区と地区を結ぶ道路とし市道郡道坂線や市道三井幹線を。産業道路とし、企業や病院やショッピングセンター等へのアクセス道路として市道国一富部線、市道長間線、市道西大渕174号線の整備が行われている。

また、日常の生活に密接した道路整備として、50路線前後を進めている。特に小中学校の通学路の整備として市道西郷東側線、細谷家代線、新川西線、一ノ坪二ノ坪線など、交通量の多い路線、新たな住宅地の造成により通学する児童生徒が増えた路線等については、重点路線として整備を実施している。

以上のような道路整備は、そこに暮らす人たちにとっては、まだまだ進めなければ安全安心な生活基盤が整った街とは言えず、住みやすい魅力的な街にはなり得ない。新たに住宅を取得する人の多くは、安全安心で住みやすい場所を選ぶし、道路整備もその条件の一つだとすると、まだまだ地方の道路整備は必要になる。

広い畑の真ん中にコンクリートで舗装された道路の写真
整備途中の西大渕174号線

道が綺麗に舗装され車道や歩道が広く自転車や自動車が通っている様子
歩道の整備された新川西線

 

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