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第587回 我が家の一大事

更新日: 2016年2月12日
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掛川市健康福祉部参事兼健康統括官 岩附美恵子

 昨年の12月25日朝9時頃、救急隊の方から職場に電話が入り、慌てて病院へ駆けつけました。前日まで元気に働いていた父が、突然脳梗塞を発症し、母が気づいた時は呼びかけに応じない状態で救急車をお願いしたようです。突然の出来事で、家族としては「命を助けてほしい」という願いだけでした。この日から、父の入院生活が始まり、私たち家族の生活は一変しました。
 83歳の父ですから、いつかこんな日が来るのではないかと思っていましたが、備えのないままに、この日を迎えてしまったことを、今になって悔いている日々です。最も悔やんでいるのは、生命に関わる重大な判断を、事前に確認していなかったことです。今回、手術をするのか、温存療法にするのか、搬送されて数時間以内に選択しなければならず、どちらも生命の危険があり、重度の後遺症を残すことも考えられると医師から説明を受け、苦渋の選択でした。また、その決定を誰に委ねるかです。父の場合は、私が「温存療法」と決めました。しかし、「父は私の選択を了承してくれるのか」、選択結果について「手術をすればもっと回復が早かったんじゃあないか」など、今でも自問自答を繰り返しています。このことを思うと、妻である母よりも、血のつながりのある私が決定して良かったのかもしれないと思います。
 また、入院して間もなくのことでした。病院から「もしかしたら、延命治療について、医師より尋ねられるかもしれないので、考えておいてください。」と話がありました。「父は延命治療について、どのように考えていたんだろう」、「元気な時から父とこのようなことについて話題を交わしておけば良かった」と、悔やむばかりです。結局、延命治療について聞かれることはなかったですが、もし尋ねられたら、これまでの父の考え方を思い返し、判断しただろうと思います。しかし、伝えた後「これで良いのか」と悩み続けたとも思います。
エンディングノート

 現在、多くの「エンディングノート」が売られています。まだまだ遠いことと思っていましたが、今回のような突然の事態を思うと、この「エンディングノート」に、介護のことや医療のこと、判断を委ねる人などを書き記しておくことが、自分や残された家族のために大切だと思います。また、年齢に関係なく作成しておくことが、いざというときのために自分や家族を助けてくれるものになるとも思います。まずは、自分のものから作成したいと思います。
 入院して翌日からは、次の回復期病院を探さなければなりませんでした。生命の危険がまだ落ち着かず、どのように回復するのかわからない中、探すのは難航しました。将来、施設入所なのか、在宅介護にするのか、転院までの回復状況を伺ったり、病院の見学をして選定をしました。私は、在宅介護を念頭に置いて病院選定をしました。これについては、入院が長期にわたることや在宅介護になれば家族の協力が必須であることから、家族の意見もしっかり聞いて判断する必要がありました。しかし、十分に話し合わずに決めてしまったことが、後に家族へ大きな負担をかけてしまうことになりました。
 転院した今、環境になれない父は、家に帰りたい一心から、立位もできないのにベッドから降りようとして暴れ、転院翌日から付添いをすることになりました。早朝から母に車いすを押させて、病院の出入口を探しまわったり、危険だと言って禁止すれば暴言を吐き、暴力をふるうようになりました。父は、これまで多くのことを私たちに教えてくれましたが、今、私たちに何を教えようとしているのかと考えさせられます。
 以前、仕事で介護教室を開催していた時代があります。その時のタイトルが、「看かた看られ方教室」と言い、看る側の介護技術だけでなく、看られる側の学びの講座でもありました。その後、介護保険制度が施行され、介護サービスが充実し、介護力向上が図られてきました。しかし、看られ方については、学ぶ機会は増えていないと感じます。このような状況になる前に、父と介護される側の心構えについて話しておけば、病院の方々や家族に配慮した入院生活が送れていたかもしれないと思うと残念でなりません。今は、家族の協力で付添いが何とかできている状況ですが、家族の誰かが倒れたら、付添いの継続は難しくなります。そのため、主に付添いをしている母を中心に、家族の体調に気遣うようになりましたが、なかなか難しいものです。
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 国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁氏は、一つの家庭が円満に維持されていくためには、解決すべき7つの課題(7つのニーズ)があり、それは、「1健康、2日常生活能力、3介護者の負担、4家事、5経済、6家族関係、7社会との交流」であると言っています。今の介護が、どのニーズに対応し、どこの対応が必要なのか客観的に考えながら、そしてバランス良くニーズを解決できたらいいなあと思います。今は1,2,3かな。でも、現実はなかなか難しいですね。
 今、私を支えてくれているのは、病院の皆さんや職場の仲間です。疾病のこと、治療に関わること、介護のことなど、多くの悩みやストレスを受け止めていただいています。そんな自分は、恵まれている環境だとつくづく感じます。
 先日、父がリハビリを受けている時、リハビリの先生から「元気になったら、何かしたいことはありますか?」と聞かれ、父は「仕事をしたい。」と答えていました。父は、仕事を趣味としているような人。やっぱり、仕事をしたいんだなあと思いました。今は、介護の在り方を学びながら、父の夢の実現をめざし、ゆっくりだけど家族のできることを実施していきたいと思います。また、家族の時間を大切にし、お茶の間のコミュニケーションを積極的にとっていこうとも思います。そして、いつか、父を囲み、笑いながら入院生活を振り返る時期がきたら嬉しいなあと思っています。
 終わりに、この度の入院をとおし、お世話になった皆様に感謝申し上げますとともに、これからも多くの皆様のお力添えをよろしくお願い申し上げます。
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