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第615回 消防団へ入ろうⅡ~地域と協働した消防団を目指して~

2016年8月5日更新

掛川市消防総務課長 今駒 敏雄

昨年、第563回 消防団に入ろうでは、自らの消防団時代の経験を思い出しながら、消防団の良さを書かせていただきましたが、今回は、続編として「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」(以下、「消防団充実強化法」という。)の施行と、掛川市の取り組みについて触れさせていただきます。

「消防団充実強化法」は、平成7年の阪神淡路大震災で大きな被害があり、平成23年の東日本大震災も大変な被害になりました。多くの方が亡くなり、一生懸命活動した消防団員、消防職員までも 300人近く死亡・行方不明になったと伝えられました。その後も各地で大きな地震が起こり得ると言われていました。(そのとおり本年は熊本地震が発生し、これも大きな被害と、依然として避難所生活を強いられている方がたくさんいます。)
また、台風や集中豪雨、竜巻、大雪などが次々に起こっていますし、建物の火災や土砂災害、津波など、これまででは考えられないような災害が起こっています。

街を巨大な津波が襲い掛かる画像
東日本大震災時と同様の津波が私たちのまちを襲うかもしれません

屋上に白い布でSOSの文字を書いた画像
大災害時には多くの市民が助けを求めます

 

そのような中、一人一人の生命を守るためにどうするか、その方法を明らかにして、みんなで実行していこうというのがこの法律の目的です。
災害が起こると消防署や消防団が出動して消火や水防、救助救急などをしますが、大きな災害になるととうてい人手が足りません。そのため、「緊急消防援助隊」という全国的な応援体制を作っていますが、被災地に到着するまでにどうしても時間がかかってしまいます。災害発生直後は、地元の消防、地元の人々しかいません。地元の人々でなんとかするしかないのです。

消防団は地元の中心となって活動しています。しかし、東日本大震災などの教訓から、消防団員の装備をもっと充実させ、団員を十分確保したりして、もっと強化しなければならないことがはっきりしています。
いざというときには、老いも若きも、男も女もひとつにまとまらなければなりません。そのためには、日頃から、地域のみなさんが自分の地域の災害のことについて、一緒に学習、訓練してひとつにまとまることが大切です。

消防自動車に乗る消防団員たち
掛川市の消防団は常に訓練を重ね万全の体制を整えています

救助訓練のためチェーンソーで板を切る消防団員
消防団のみなさんには最低限必要な装備を配備し
倒壊家屋からの救助訓練にも励んでいます

 

この法律は、それらを実現するため、行政がやらなければならないこと、住人のみなさんにやっていただくこと、それに対する行政からの支援などを定めています。
この中から、消防団に関わることを抜き出して紹介させていただきます。

消防団員の処遇の改善

消防団員は、もともと多額の報酬を期待しているものではありませんが、それにしてもあまりに低額でした。この法律では、国と地方公共団体は、処遇改善のため、適切な報酬等が支給されるよう必要な措置を講ずるものとしています。

消防団員の装備の改善

これまでの装備があまりにも不十分であったことから、団員の安全確保のための救命衣、安全靴、作業用革手袋、ゴーグル、ヘッドライトの全員への貸与(当市では救命衣は全員ではありません)、無線機、救出用のチェーンソー、エンジンカッターの各分団への配備など、消防団の装備の改善と相互応援のため、必要な措置を講ずるものとしています。

自主防災組織等の教育訓練における消防団の役割

自主防災組織、女性防火クラブ、少年消防クラブ等、地域の防災組織の教育訓練において、消防団が指導的な役割を担うよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

事業者の協力

世の中の就業構造が変わって、自営業者が減少し、サラリーマンと言われる被雇用者が大幅に増えています。これからの消防団員を確保するためには、被雇用者の入団が不可欠です。それには、消防団への入団、訓練、災害現場への出動について会社経営者などの使用者のご理解をいただく必要があります。
今回の法律では、「事業者」は「従業員」の消防団への入団や活動について、できる限り配慮することとしています。
消防団活動に理解のある事業者で、従業員に一定数の団員がいる事業所には、税制上の優遇措置、入札時の優遇措置等があります。

まだ挙げれば多くのことがありますが、このように消防団の重要性を鑑みて、国、県、市は、消防団の充実強化を目指し、多くの施策を講じることが法律で定められることになったのです。

掛川市においてもこの法律に基づいて、環境整備や個々の条件整備などを手がけ、装備の改善などに力を注いできました。まだまだ十分とは言えないまでも、昔に比べればずいぶん改善してきました。
市役所の職員にも勧誘を繰り返し、30名を越える団員を確保しています。
20代前半から30代のみなさんには、ぜひ消防団に入団していただき、いざという時は、活動に参加し、安心安全な掛川市となるよう力を貸していただきたいと思います。

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