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第616回 最近の車で感じること~ICTは交通事故の抑制に一役か~

2016年8月9日更新

掛川市危機管理課長 浦野正守

車が8年を経過し10万キロメートルを越えたことや次男が大学を卒業し就職したこともあり、妻が7月に車を買い換えた。
次の車を何にするかを決めていく中で、使い勝手や安全性など様々な観点から車を見ていると、いろいろなことに気づいたので、今回は、車の機能による交通事故の削減について考えてみました。

交通事故の状況

全国での人身事故件数は、平成15年の947,993件をピークに減少をしており、平成27年には536,899件となりました。また、交通事故による死者数は昭和45年の16,765件をピークで、平成27年には4,117件となっています。
掛川市の人身事故件数は、平成15年の1,167件をピークに減少し、平成20年からは横ばい状態となり、平成27年には921件となっています。また、交通事故による死者数は昭和39年の35人をピークで、平成13年からは10人前後で推移しています。
年代別で見ると高齢者と若者の事故が、非常に多く、増加傾向にあります。

全国の人身事故件数のグラフ 縦軸が件数横軸が年 平成15年をがピーク
全国の人身事故件数

全国の交通死者数のグラフ 昭和45年をピーク 平成27年まで緩やかに減少
全国の交通死者数

掛川市の交通事故件数の総件数と人身事故件数二本の折れ線グラフ 人身事故は総件数の3分の1
掛川市の交通事故件数
(総件数・人身事故)

掛川市の年代別事故件数のグラフ 高齢者と若者の事故が多く増加傾向
掛川市の年代別事故件数

自分が車を運転する時は

自分自身が車の運転しているときのことを振り返えると、20代30代の時と比べ、最近では運転中に「夜間、黒っぽい服を着た歩行者の覚知が遅れる」「安全確認で左右を確認するが、見ているようで見てていない場合がある」など「はっとする」時が多くなったかなと感じていました。
「ヒヤリ・はっと」は、結果として事故に至らなかったものであるので、見過ごされてしまうことが多く、ハインリッヒの法則では、「重大事故の陰には、29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」とされています。
仕事柄、様々な事故の事例を見る機会がありますが、あまり自分のこととして気にすることはありませんでした。今回、車を選定する過程で、事故の削減について見直す機会となりました。

ハインリッヒの法則。三角形の頂点を1件の重大事故災害、中央部29件を軽微な事故災害、下部300件をヒヤリハット

車を決めるときに、何を基準にするか。

今までの車がコンパクトカーでしたので、今回も1000から1200ccのクラスを前提に、シートアレンジや収納スペースなど「室内デザイン」を中心に検討を始めました。次第に検討は、ライト性能や燃費、カーナビ、最小回転半径などの「従来からの性能」に移り、次に、自動ブレーキや車線逸脱抑制、アクセルの踏み間違いによる飛び出し防止、停車時に近くで動くものの感知など、「ドライバーの運転支援機能」に選定基準が移りました。
最終的には、「自分達はこれから年を取り、様々な能力が低下していくので、車の機能が運転者を補助することで、事故に遭わないように気をつける」ことが、一番の車選びの条件になりました。

少しでも事故が減るかも!?

車が納車されたので、早速、慣らし運転をかねて長距離ドライブに行ってきました。
車を運転していていると、さまざまな運転支援機能が働き驚きました。今まで気付かなかったことも多く、今一度、自分の運転について、見直す機会にもなりました。

1「車線逸脱抑制機能」

疲れた時などの注意力の低下やスピード、ラジオ等の操作など様々な要因で、車側線やセンターラインを越えると警告音が鳴りました。運転操作は慎重・確実な運転操作や休憩の重要性を痛感しました。

2「停車中のセンサー」 

駐車場で停車中に、子供などが車の後ろを通ると警報音が鳴り、存在を知らせてくれました。駐車中の車の周りには、人がいることが意外と多いことに気付かされました。動き出しには特に気を付けなくてはいけないと再認識しました。

乗用車をのフロント部分を上から見た時のセンサー検知範囲を赤色で示している画像

車周り人を検知すると警告音が鳴りました。

3 駐車時の警報

車をバックさせる時、近くに障害物があると警告音が鳴り、距離を色で表示してくれます。非常に便利でした。

乗用車全体を上から見た時に後部のセンサー検知範囲を赤色と黄色で示した画像と、乗用車を後部から見た時の後部センサーの検知範囲を線で示した画像

距離により、色と音で警告してくれます。

4 その他

さすがに自分の車では実験しませんでしたが、「車や人を感知しての追突防止機能」「発進時の誤操作による飛び出し防止機能」なども付いており、少しでも運転者のミスをカバーできるようになってきています。
また、テレビなどでは、「自動で駐車してくれる機能」や「高速道路での自動運転」が実用化されつつあります。
近い未来、子供の頃テレビや映画の中で見た人が運転しなくてもよい自動車が実際に走り回る世界も近いと感じながら、慣らし運転を終えました。(慣らし運転自体が時代遅れのようですが)

自分の車は昭和時代のもので、このような新しい技術を搭載した車に触れることは今までなかったのですが、このような運転をアシストしてくれる機能には、びっくりすると伴に安心感がありました。交通事故を減らす可能性があると肌で感じました。
もちろん車の運転は、自分の目で直接確認して確実な操作をすることが、大前提ですが新しい機能をフルに活用することでも事故を減らしていくことが可能と思います。

交通事故や交通死亡事故を減らす一つの手法として、ドライバーの運転技術や注意力、交通モラルだけでなく、このような新しいハード技術を多くの人が活用することも考えていきたいと思います。

追伸、最近では「もらい事故」も多くなっている聞きますので、ドライブレコーダーも設置して、もしもの時に備えて記録を取ることにしました。
(原稿を書いているときに、ポケモンGOが発売されました。歩きながらや自転車を運転しながらスマホをしている学生や若者をよく見かけます。(スマホを操作しながらの自転車の運転は交通違反です)車の運転者は、これからは青信号でも気をつけて運転しなければならない時代になったと感じました)

車内から映したドライブレコーダーとカメラ
ドライブレコダー(左)、人と車を感知するカメラ(右)

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