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第620回 誰もが暮らしやすいまちを目指して 『障害者差別解消法』スタート

2016年8月30日更新

掛川市福祉課長 寺田雅志

平成28年4月1日から障害者差別解消法がスタートしました。
この法律は正式名称を「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」といい、障がいのある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら、共に暮らせる社会をつくることを目指しています。

1「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」

(1)「不当な差別的取扱いの禁止」とは

この法律では、国・県・市、また会社やお店などの事業者が障がいのある人に対して、正当な理由なく障がいを理由として差別することを禁止しています。これを「不当な差別的取扱いの禁止」といいます。

【具体例】
(例1)お店側が車いすを使っていることを理由に入店を断る
(例2)保護者や介助者が一緒に居ないと入店を断る
(例3)アパートなどを借りようとしている障がいのある人に対し、障がいを理由に契約をしない
(例4)災害時の避難所で、聴覚障がいがある事を伝えたが必要な情報提供を音声でしか行わない

困っているしている様子の女性に対し「どうしましたか」と声をかけている男生のイラスト

どうしたらいいのかわからなくて考え込んでいる男の子のイラスト

(2)「合理的配慮」って何?

障がいのある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要とするとの意志が伝えられた時に、負担が重すぎない範囲で対応することが求められるものです。重すぎる負担があるときでも、障がいのある人に、なぜ負担が重すぎるのか理由を説明し、別のやり方を提案することも含め、話し合い、理解に努めることが大切です。
例えば、従業員が少ないお店で混雑している時に「車いすを押して店内を案内して欲しい」と伝えられた場合に、話し合った上で負担が重すぎない範囲で別の方法を探すなどが考えられます。その内容は障がい特性やそれぞれの場面・状況に応じて異なります。

【具体例】
(例1)視覚障がいのある人に、レストラン等でメニュー等を読み上げながら説明する
(例2)聴覚障がいのある人に、メニューを指さしてもらい注文をとる
(例3)聴覚障がいのある人に、筆談や手話といった方法をつかう
(例4)車いすを使っている人に、段差がある場合、スロープを使ったりスタッフが手助けをする

手話や筆談をつかってコミュニケーションをとっている様子のイラスト

注)合理的配慮とは決して特別な事ではありません。皆さんのちょっとした心遣いが合理的慮だと思います。
また事例が内閣府のホームページにあります。「合理的配慮サーチ」で検索してください。

2 日常生活に制限を受けている人全てが対象者

この法律に書いてある「障がい者」とは、障害者手帳を持っている人のことだけではありません。身体障がいのある人、知的障がいのある人、精神障がいのある人(発達障がいのある人を含む)、その他の心や体のはたらきに障がいのある人で、障がいや社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に制限を受けている人すべてが対象です。

3 サークルなども「事業者」に入ります

この法律に書いてある「事業者」とは、会社やお店など、同じサービスなどを繰り返し継続する意志をもって行う人たちです。ボランティア活動をするグループも「事業者」に入ります。

4 法律の精神の普及に向けた掛川市の取り組み

掛川市では以前からボランティアの皆さんの御協力の下、広報かけがわを「声の広報」として視覚障がいがあり希望される人にお分けしています。
その他にも今年度中に、視覚障がいがあり希望される人に市役所からの通知などを点字や拡大文字にして送付することとしました。
また、市役所職員が適切に対応するため、不当な差別的取扱いや合理的配慮の具体例を盛り込んだ「対応要領」を作成してこの法律の精神の普及に努めます。

5 ちょっとした心遣いで「共に生きる社会」に

障がいのある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会」って、文字にすると難しくなってしまいますが、実際には決して難しい事、特別な事ではありません。普段の生活の中で、ひと言声をかけたり手を貸したりといった、ちょっとした心遣いが「共に生きる社会」を創り上げていくのだと思います。

腕にけがをした男の子、車いすの子供とそれを介助する人、盲導犬を連れている女性、つえをついたおじいさん、お年寄りから子供まで助けあってともに生きる社会をイメージしたイラスト

メニューをふたり仲良く見ているイラスト

注)このページでは「障がい(障がい者)」と「障害(障害者)」との表記が混在しています。
掛川市では原則として「障がい」と表記しています。ただし法令等の名称、団体の名称、学術用語等、著作物の表記を引用するような場合には「障害(障害者)」と表記しており、この文章もそれに従っています。

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