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第651回 子どもたちの未来を Pepper導入への期待・・・プログラミング教育の推進・・・

2017年3月3日更新

掛川市学校教育課長 佐藤嘉晃

Pepperの周りで生徒たちが笑顔でコミュニケーションしている写真

私が生まれた1960年代の子どもの頃の雑誌等には、大人も子どももワクワクするような感じの21世紀未来予想図が描かれていました。リニア、電気自動車、腕時計型携帯端末等々……、電気自動車や携帯端末はすでに存在し、リニアもいよいよ開業に向けて動き出しています。車の自動運転もある程度まで実用化されてきましたし、宇宙開発事業も進んで、お金持ちなら一般人でも宇宙旅行ができる時代になってきました。このような科学技術が発展した礎となるものが「半導体ICの高性能化・超小型化」であり、コンピュータによる電算技術の高速化や端末を制御するアプリケーションの最適化・高機能化も伴い、あらゆる物がデジタル環境へと移行してきています。

ここ数年のインターネット接続環境を見ても、世の中が大きく変わってきています。インターネット接続端末は、時計・メガネ等のウェアラブル端末など、制御プログラムが開発されれば様々な端末で使用できるようになってきています。最近、驚いたのはストレスによる過食を防ぐ下着型端末がすでに製品化されていることです。女性にとっては画期的で喜ばしいお話かもしれませんが、よくよく考えてみれば、IT・ロボット産業が活発な動きを見せ、産業用機械ロボットや人工知能を備えたキャラクターロボットが活躍している様子をテレビCM等で日常的に見ることから、そのような製品が世の中にあっても不思議なことではないと改めて感じました。このように、コンピュータの進化とは生活のデジタル化(人工頭脳化)で、さらにIoT化がものすごい勢いで進んでいます。世の中の仕組みがスピードアップしてデジタル化・IT化されていく中では、その仕組みの理解や自分のリスク管理にプログラミングの知識はとても重要となります。また、Web(ウエブ)やSystem(システム)は生活に欠かせないものであり、その礎となっているプログラミングを学ぶ過程で、21世紀型スキルでもある論理的思考力や問題解決能力など様々な普遍的な力が養われていくことも「学習」として大きな意義があります。ですから、私だけかもしれませんが、他に遅れをとらないように「掛川市ならではのプログラミング教育」を推進していかなければならないと、少々焦りを感じているところです。

 

将来的に、プログラミングの仕事がなくなることはないでしょうし、プログラミングを通して学んだことは生活に役立つものとなるでしょう。このような時代だからこそ、変化を前向きに受け止めることにより、私たちの社会や人生、生活を、より豊かなものにしたり、現在では思いもつかない新しい未来の姿を構想し実現したりすることができるのではないかと思います。

文部科学省の設置している中央教育審議会が取りまとめた「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」においては、将来どのような職業に就くとしても、論理的に考える力を育てるプログラミング教育を、発達段階に応じて位置付けていくことを求めています。そのような中、タイミングよくソフトバンクグループ株式会社がプログラミング教育を推進するために起こした「Pepper社会貢献プログラム『スクールチャレンジ』」があって応募したところ、掛川市が選ばれ、人型ロボットの「Pepper」だけでなく操作端末やプログラミングソフト(コレグラフ)など、3年間無償で提供されることになり、プログラミング教育が一挙に前進することができるようになりました。

では、「Pepper」を導入してどのようなプログラミング教育を実践するのか、その様子について簡単ですが説明します。まず、「Pepper」を動かすためのプログラムは「コレグラフ」というものが用意されており、「ボックス」と呼ばれる機能部品を並べてつなぎ合わせることにより、子ども自身が、目の前で動く「Pepper」の動作を確認、改善し、自分たちの意図した動きに近づける学習をしていきます。つまり、「コレグラフ」というプログラミングソフトを使ってプログラミングの基礎をわかりやすく学ぶというものです。言葉での説明ではわかりにくいと思いますから、次に示す動画をご覧ください。

いかがでしょうか。子どもたちがどのような「学習」をするのかイメージできたでしょうか。では、「Pepper(ペッパー)」を先行導入した北中学校で、このようなプログラミング学習を実際に行いましたので、その様子についても動画でご覧ください。

いかがでしたでしょうか。子どもたち自ら考えたプログラミングにより、「Pepper(ペッパー)」を動かしていましたが、このようなロボットとの会話などによるコミュニケーションを楽しんだり、様々なプログラミングを思考することなどにより、問題解決力や論理的思考力を育むことは勿論、最先端の科学技術への関心を高めることもできると考えています。

このHP(ホームページ)をご覧になって興味をもたれた方は、今年の5月から掛川市内の各中学校で、「Pepper(ペッパー)」を使用したプログラミングの授業を実践していく予定でおりますので、ぜひ一度その様子を参観してみてください。

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