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第655回 「生物循環パビリオン」

2017年3月31日更新

掛川市下水整備課長 鈴木勉

生物循環パビリオンは、掛川市衛生センターの別称で、市役所本庁舎西側に隣接してあり、掛川市のうち掛川区域のし尿と浄化槽汚泥の処理施設です。平成6年4月に供用を開始しましたが、近年の合併浄化槽の普及により処理能力が不足しはじめていることから、このたび処理能力を増強する工事を行い、施設が生まれ変わりました。

生物循環パビリオン正面側の外観写真
外観

生物循環パビリオン裏側の外観写真
外観

 

この「生物循環パビリオン」というユニークな名称は、建設当時の「全市想像の図書館化計画」の中で、衛生センターも、単にし尿を処理するだけの施設ではなく、この世の中は、植物が生産者、動物・人間が消費者、微生物が消費する際に出る廃棄物(し尿)の分解者、そして水と土に返り、再び植物が生まれるという生物環境(エコサイクル)の学習展示施設として、この生産・消費・分解の働きを短時間に濃縮・集中処理する施設が衛生センターですから、生物循環パビリオンで生涯学習して、多くの人が地球環境や河川浄化に関心を持ち、その活動に参加してくれることを願って命名されたものです。

さて、掛川市内のし尿と浄化槽汚泥は2つの施設で、そのうち合併前の掛川市内分については生物循環パビリオンで処理をしています。当施設で扱う平成27年度末の処理人口は66,431人で掛川区域の総人口85,901人の77.3%をカバーし、年間処理量は43,435キロリットルで、これは県内にある36のし尿処理施設の中では11番目(平成25年度実績)の処理量となります。施設の処理方式は生物処理で当初は高度処理後、河川放流をしていましたが、平成13年からは公共下水道の供用開始にあわせて、隣接する掛川浄化センターへ処理水を放流しています。施設の水処理能力は日量119キロリットルでしたが、近年の浄化槽汚泥量の増加に伴い、処理能力を向上する必要が生じたため、平成27年度から2ケ年で1.26倍の日量150キロリットルに施設を増強しました。

ところで、前述のように、この施設はし尿を衛生的に処理することはもちろんですが、し尿処理過程に関する学習施設としての役目も担っています。施設開館以来、平成27年度までに小中学生をはじめ、市内はもちろん、県内外から合わせて43,351人の来館者がありました。市内の30歳代までの方でしたら、小中学生のころに環境学習などで一度は見学に来られた方もいらっしゃると思います。しかし、開館後22年が経過して、展示施設としては古くなってきていることや、ほかにも新たな環境体験学習施設などができたこともあり、入館者数は下のグラフにあるように年々減少していて、ピーク時に年間6千人以上いた入館者は平成27年度では200人程度となっています。

年度別入館者数を表した折れ線グラフ

平成6年度から平成27年度までの年度別入館者数を表した折れ線グラフ。
青色は合計人数、赤色は小学生、黄緑色は中学生、紺色は高校生、水色は一般の入場者数を表しています。
平成8年度がピークで年間6,500人以上いた入館者は翌年からは年々減少していて、平成27年度では200人程度となっています。

このような中にあっても、小中学生の環境学習や、遠く県外からの視察で来館していただけることは、大変うれしく思っております。とりわけ、小学生のみなさんが見学した後には、見学の感想が書かれた寄せ書きなどをいただくことがあり、「微生物が水をきれいにすることがわかった。」、「もっと水を大切にしたい。」などのご意見が多く寄せられ、ありがたく受け取っております。

市内小学生が見学時にホワイトボードの前で説明を受けている様子
市内小学生の見学の様子

市内小学生の見学で展示物を見ている様子

 

中央小学校4年2組からいただいた寄せ書きの写真
小学校からいただいた寄せ書きの一部

見学させていただいてありがとうございました。と書かれたイラスト付きメッセージカードの写真

 

私たちの住む地球と水・水と生命の関係や、し尿処理と生物循環のしくみについて、小学生はもちろん大人の方でも楽しく知っていただくことができますので、施設が新しくなった生物循環パビリオンにぜひいらして下さい。ご来館をお待ちしております。

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