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第656回 今 掛川市の保育園事情は?

2017年4月7日更新

掛川市こども希望部長 高川佳都夫

平成29年4月1日土曜日、こども希望部長として3年目のスタートの日の朝。この日岡津に開園した「掛川あそび保育園」の入園式にお招きいただいたので、来賓として出席させていただきました。

お面を頭にした職員が前に並んでポーズをしているのを子供を膝にのせパイプ椅子に座り見ている保護者たち
掛川あそび保育園の入園式

この保育園は、掛川市としては初めてとなる、株式会社が運営する認可保育園で、特色ある教育・保育が行われることが期待されています。この日入園したのは、2歳児から3歳児を中心に56人。開園したばかりということで、少人数でのスタートです。
掛川市では、この4月にもう一つの施設、幼保連携型認定こども園「子育てセンターとものもり」が上屋敷に開園し、こちらは85人でスタートしています。いずれも定員は120人です。「とものもり」は、社会福祉法人天竜厚生会が運営しますが、天竜厚生会は、市内に幼保園の「ひだまり」、「さやのもり」と、昨年4月に第二小学校の西側に開園した、0歳児から2歳児専用の乳児保育園「すずかけっこ保育園」の3園を運営していただいており、「とものもり」が4園目となります。

さて一昨年、ぼくがこども希望部長になったばかりの4月1日、掛川市の国定義による待機児童数は56人でした。この人数というのは、ご存じの方も多いかもしれませんが、実は、政令市の浜松市、静岡市に次いで、県内第3位。一般市では、ワースト1でした。なんともまあ不名誉な数字なんです。

そこで新米部長に課せられた大きなお仕事は・・・『待機児童をゼロに!』

さあ、どうする??
どうする?といっても、増大する一方の保育ニーズに対応するには、その受け皿となる新たな施設を整備するしかありません。しかも、その当時の待機児童のほとんどが、旧掛川区域の1歳児から2歳児(56人のうち46人)でしたから、とにかく1歳児から2歳児の受け入れ枠を拡大するために、2歳児以下を専門に保育する乳児保育園の整備や子ども子育て支援新制度で、新たに制度化された小規模保育所(定員19人以下で、0歳児から2歳児専門の保育所)の整備が必要でした。

ということで、市内で幼稚園、保育園、幼保園などを運営する社会福祉法人や学校法人をかたっぱしから回って、新しい保育園をやってもらえませんか!ってお願いしたけれど、そんなに簡単にコトが進むわけないですよね。しかも短期間(1年以内)に施設も整備して、保育士も確保して、となると・・・やっぱり現実は厳しい。
とはいうものの、待機児童をなんとかしなくちゃならないということで、相当無理を言って、天竜厚生会さんに頼み込んで、なんとか乳児保育園の運営を引き受けていただくこになりました。こうして第二小学校西側に0歳児から2歳児専用で、定員72人の乳児保育園「すずかけっこ保育園」が開設されることになりました。

すずかけっこ保育園(鳥居町)のフェンスで囲われた園庭。手前にオレンジ色の遊具がある写真
平成28年4月オープンのすずかけっこ保育園
(鳥居町)

また、これとは別に、小規模保育所の整備についても、認可保育所への併設や認可外保育所からの転向、新たな参入などで、一気に7園が開設されるなど、1年間で0歳児から2歳児を中心に、保育定員を191人増員することができました。

その結果、平成28年4月1日現在の国定義の待機児童数をゼロとすることができました。しかしながらその陰で、いわゆる隠れ待機児童といわれる、認可保育所を希望しながら、認可保育所への入所が叶わなかった方が119人いらっしゃいました。このうち60人は、協働保育所(認可外保育所のうち市が定めた一定の基準を満たしている保育所)や幼稚園の預かり保育などを利用していただきましたが、59人の方は、育休延長などで、在宅での保育をしていただきました。

 

さて、乳児保育園や小規模保育所の整備により、0歳児から2歳児の受け入れについては、なんとかなりましたが、3歳になるときに、他の保育園へ転園しなければならいため、新たな課題として「3歳の壁」が出てきます。その対応と、さらなる保育ニーズへの対応のため、平成28年度には、最初にご紹介した「子育てセンターとものもり」と「掛川あそび保育園」の2園を整備し、市内全体の保育定員をさらに237人増員しました。これにより、今年の4月1日現在の国定義の待機児童は、2年連続でゼロとなる見込みですが、その陰では、昨年度と同じように107人の方が、隠れ待機児童となり、その内41人が在宅保育をしていただいております。

子育てセンターとものもり(上屋敷)の正門前から撮影した写真
今年4月オープンの子育てセンターとものもり
(上屋敷)

掛川あそび保育園(岡津)の正門前から撮影した写真
今年4月オープンの掛川あそび保育園
(岡津)

 

では、掛川市では絶対的な枠が足りないのかというと、今年度の申込み者数2,239人に対して、全保育定員は2,308人。定員にはまだ余裕があるものの、保護者が入園させたいと思う保育所と、実際に入園できる保育所が合わない、または歳児別の定員と入園希望者数がうまく合わないという、ミスマッチがたくさん起きています。これを解消するのは、なかなか難しい問題でもあります。

掛川市では、認可保育所への入所資格のある方で、認可外保育所へ入園された方については、保護者の負担の格差が出ないように、保育料の負担が認可保育所へ入所した場合と同等となるように、市独自の助成制度を設けています。
また今後も、企業内保育所の整備などを積極的に働きかけるなど、企業にも協力をしていただきながら、引き続き待機児童が出ないための努力を続けていきます。

さて、ここまで待機児童のことについて書いてきましたが、保護者の中には、在宅での子育てを選択されている方も大勢いらっしゃいます。歳児別の就園率をみてみると、3歳児以上は、ほぼ100%に近いお子さんが幼稚園や保育園などの施設に入園されていますが、2歳児以下の就園率は、0歳児が約10%、2歳児と3歳児が約40%となっています。ということは、0歳児では約9割、2歳児から3歳児では約6割のお母さんもしくはご家族が、在宅でお子さんの子育てをされているということですね。こうした在宅で子育てをされているみなさんへの支援も、もちろんしっかりやっていかなくてはなりません。これからも「掛川で子育てできてよかった」と言ってもらえるよう、子育て支援施策をより充実させるための努力をしていくつもりです。

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