掛川市理事兼総務部長 釜下 道治
「地方債」とは、市や町、県などの地方公共団体が収入の不足を補うために行う長期の借り入れのことで、いわゆる、市などによる借金のことですが、この掛川市の地方債(借金)残高等について、合併をはさみ、現在どのようになっているかお知らせします。
表1 地方債と財政調整基金の状況
人口 | 地方債残高 | 一人当り額 | 財政調整基金残高 | 一人当り額 | |
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掛川市 | 81,547人 | 320億3,630万円 | 392,857円 | 14億1,421万円 | 17,342円 |
大東町 | 20,939人 | 88億806万円 | 420,654円 | 9億272万円 | 43,111円 |
大須賀町 | 12,265人 | 84億3,961万円 | 688,105円 | 1億800万円 | 8,805円 |
計 | 114,751人 | 492億8,397万円 | 429,486円 | 24億2,493万円 | 21,132円 |
68市町村平均 | 55,497人 | 209億8,746万円 | 378,170円 | 10億5,897万円 | 19,081円 |
人口 | 地方債残高 | 一人当り額 | 財政調整基金残高 | 一人当り額 | |
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掛川市 | 115,074人 | 524億8,752万円 | 456,120円 | 29億2,904万円 | 25,453円 |
42市町平均 | 89,902人 | 342億53万円 | 380,418円 | 17億7,021万円 | 19,690円 |
注 合併に伴う1市2町設置一部事務組合の解散により、地方債残高 37億4,273万円が加算されている。
人口 | 地方債残高 | 一人当り額 | 財政調整基金残高 | 一人当り額 | |
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掛川市 | 117,609人 | 465億7,911万円 | 396,050円 | 45億6,397万円 | 38,806円 |
35市町平均 | 107,731人 | 408億7,780万円 | 379,440円 | 37億4,256万円 | 34,740円 |
表1にありますように、平成17年4月の合併前、16年度末の旧1市2町の地方債残高と、これに対する人口一人当たりの額は、旧掛川市が320億円余で一人当たり39万2,857円、旧大東町が88億円で一人当たり42万654円、旧大須賀町が84億円余で一人当たり68万8,105円となっており、旧1市2町の残高を合わせた額は493億円弱となり、一人当たりでは42万9,486円となっていました。このうち、旧掛川市の一人当たりの残高は、当時の県内23市中において、多い方から10番目に位置していました。
また、一方で、借金に対して、困ったときに使える蓄え(貯金)としての「財政調整基金」の残高については、旧掛川市で一人当たり1万7,342円、旧大東町で4万3,111円、旧大須賀町で8,805円となっていました。
合併後の17年度末における地方債残高は524億8,752万円となり、一人当たりの残高は、県内23市中において2番目に多い45万6,120円となりました。合併後、年度末残高が増えている主な要因としては、合併以前に1市2町を構成員として設置されていた一部事務組合が解散となり、これらの組合の地方債残高が掛川市の残高となったことがあげられます。また、財政調整基金の残高は、一人当たり2万5,453円となりました。
平成27年度末におけるこれらの数値は、地方債残高が465億7,911万円で、一人当たり39万6,050円となり、また、財政調整基金の残高は、一人当たり3万8,806円となっています。
一人当たりの残高は、県内23市中において未だ6番目に多い額ですが、合併直後に比べ、地方債残高で59億円余、一人当たり額でも6万円の減額となり、改善がはかられました。地方債残高を減らす取り組みについては、いずこの市町においても進められているところですが、合併に伴う道路等諸施設の整備に充てる財源としての「合併特例債」の借り入れ(掛川市では27年度末残高76億円余)や、地方交付税の財源不足を埋め合わせるために制度化された「臨時財政対策債」等の借り入れ(掛川市では27年度末残高233億円余)などにより、思いきった削減には至っていない状況です。
ちなみに、26年度末と年度はずれますが、静岡県の地方債(通常債)残高は1兆7,182億円で、県民一人当たり46万3,126円となっており、国においては公債残高が約780兆円で、国民一人当たりでは619万円となっています。
表2 将来負担額の状況
項目 | 平成19年度 | 平成27年度 | 27年度から19年度をひいた金額の増減額 |
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地方債の在高 | 498.9億円 | 465.8億円 | マイナス33.1億円 |
債務負担行為による支出見込額 | 106.3億円 | 77.4億円 | マイナス28.9億円 |
公営企業会計等の繰入見込額 | 185.3億円 | 162.2億円 | マイナス23.1億円 |
一部事務組合等への負担額 | 49.3億円 | 80.0億円 | プラス30.7億円 |
その他 | 67.8億円 | 72.0億円 | プラス4.2億円 |
将来負担額(計) | 907.6億円 | 857.4億円 | マイナス50.2億円 |
市町村が将来的に支払っていくことになる負債としては、前述の地方債(長期の借入金)のほかに、借入金ではないものの契約等により将来の支払いを約束したもの(債務負担行為額)や、下水道事業などの借り入れに対する繰り出し基準額、病院や衛生施設など近隣市との一部事務組合により整備した施設に係る地方債の負担分、職員への退職金などがあり、これら実質的な負債を集計したものを「将来負担額」といいます。
掛川市の将来負担額は、表2のとおり、「財政健全化法」による報告が始まった平成19年度末に907億円、27年度末では857億円となっています。地方債や債務負担行為における削減が進んだものの、新たに中東遠総合医療センターの開設に係る地方債の負担が生じたことなどもあり、8年間で50億円ほどの減少となっています。
以上、掛川市の地方債残高と将来負担額等についての状況を述べました。
将来の世代が有効に使える物(資産)づくりは大切ですが、将来の世代に借金(ツケ)を回すことはできるだけ避けて、健全な財政状態を引き継いでもらう責任があります。
これまでも、新規の地方債の借り入れや債務負担行為の抑制などにより、これらの負債の削減を図ってまいりましたが、引き続き、予定されている事業や財源の精査をしっかりと行いながら、今後の財政需要に対応してまいります。