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第661回 高齢者の交通安全運転相談窓口を開設しました

2017年5月12日更新

危機管理監兼危機管理部長 中村克巳

自動車と杖を持った老人の衝突イラスト

高齢者は交通弱者と言われていますが、昨年は、高齢ドライバーによる交通事故のニュースが後を絶たなく、高齢者の軽トラックが子供たちの登校の列に突っ込んで男児が亡くなるなど本当に痛ましい事件のニュースなどがありました。
ニュースからは、突然事故に見舞われた被害者のことを思うと本当に痛ましい事件と言わざるを得ません。また、加害者となるドライバーとそのご家族のことを思うと、痛ましい悲惨な事故状況にいたたまれない気持ちになります。

そもそも高齢者は、今までの自分の運転技量を過信する傾向があり、ある調査では、「自分の運転技術なら十分危険回避できる」と思っている人は、30代で回答者の10パーセントだったのに、70代前半で46パーセント、75歳以上では53パーセントに上ったそうです。
実際には、運動機能の低下や反応が鈍くなっているので、運転操作が危うくなりがちと言われています。

 

雨が降っている夜間に傘を差した歩行者を看板に見間違える高齢者運転手

こうした高齢者による事故を減らそうと、認知症の疑いがある75歳以上のドライバーに医師の診断を義務づける改正道路交通法が平成29年3月12日に施行されました。
交通手段が少ない地方都市の生活では、車が無ければ生活に困る人が多くいることから、その取扱いは本当に難しいことだと思います。

 

さて、私の父親は、主にお茶や水稲を栽培している農家でした。
軽トラックやトラクター、コンバインを自由に乗り回して、農業を営んでいました。
5年前に亡くなりましたが、亡くなるまでハンドルを手放すことはしませんでした。
6年前の当時、自損事故を何回かしていたので、車の運転は控えるように話をしましたが、全然聞いてくれませんでした。それでも、車で市外へ出ることは、少なかったように思います。ある時、自動車販売会社の人から、車検が切れているから運転しないように言ってくださいといわれ、びっくりしました。まさか車検切れの車に乗っているとは思ってなかったので、直ぐに父親に乗らないように話したところ、「近くのお店にたばこを買いに行くだけだから大丈夫だ。」との返事なので、それがだめだと車の鍵を預かりました。
父親からは、「たばこやビールを買いに行けないじゃないか。」と言われましたが、車検を受けないのは父親の意思なので、何を言ってるかと思ってました。

横断歩道のない道路を渡ろうとしている老人

しかし、農家です。軽トラックがなくてもトラクターがあるとセブンイレブンへたばこやおでんを買いに行っていました。
これもびっくりしました、まさかトラクターで買い物に行くとは思ってませんでした。今まで、自損事故だけですんでいたことが奇跡なくらいで、他人様に怪我をさせたら大変なことになると、これまた鍵を預かりました。
病気がちで、もう寝ている時が多かったので、致し方ないことだと思いましたが、気軽に買い物に行けなくなったと言われると可哀想なことをしたかなという気持ちがありました。

 

車は大変便利なものですが、交通事故のニュースを見聞きするたびに、危険なものでもあると強く思うわけです。
昨年のように高齢者による交通事故では、突然被害者となる方々は、大変な状況になりますが、加害者はもちろんその家族の方々にも大きな影響があると思います。
80歳近くまで無事故無違反だった方が、突然交通事故を起こしてまうことが、どこにでもある事故になってしまう。
このようなことが無いように、あらかじめの対策が本当に必要だと思います。
家族が話してもなかなか聞いてくれないことが、専門の方からの話であれば受け入れてくれることが考えられます。

掛川市では、高齢者本人の相談はもちろん、家族との相談にも応じる高齢者の交通安全運転相談窓口を新たに設置することとしました。専門の方にいろいろ相談することでよりよい方法が見つかることがあります。また免許返納した場合の移動手段の確保として公共交通を利用できるようにも考えました。今年度から下記のような制度を始めましたので、是非、気軽に利用していただきたいと思います。

  • 最近、自分の運転に自信が無いなどの悩みを持つ本人や家族に対し、専門の相談員が、様々な安全運転等の相談を受け付けます。
  • 運転免許証を警察署に自主返納し、「運転経歴証明書」の交付を受けた75歳以上の市民に対し、交付手数料(1,000円)を補助します。 
  • 平成29年4月3日以降に運転免許証を自主返納した75歳以上の市民に対し、公共交通助成券(10,000円分)を交付します。

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