掛川市こども政策課長 山﨑 浩
掛川市では、長年の課題となっている大東大須賀区域の幼稚園・保育園を再編して認定こども園として整備する事業を進めています。今年度、大坂地区から整備が始まりましたので、その概要をお知らせします。既にお知らせしている内容もありますが、おさらいと思ってお付き合いください。
大東大須賀区域の現状(背景)
(1)少子化の進行
現在の幼稚園保育園が整備された頃の昭和55年(1980)と平成27年(2015)を比べると、ほぼ半減しており、この区域でも少子化が進行しています。
大東区域子ども人口の推移(単位:人)
大須賀区域子ども人口の推移(単位:人)
(2)幼稚園の小規模化
平成9年(1997)と平成29年(2017)を比較すると、平成13年に3歳児保育が始まり1学年増えましたが、定員の半分ほどまで減少し、ほとんどの幼稚園が単学級になっています。
大東区域
大須賀区域
(3)保育園の定員不足
少子化により子どもの数は減ってきていますが、保育園希望者は増加しており、定員を超えて入園している園もあります。平成29年4月現在で、大東区域で325人(定員310人)、大須賀区域で200人(定員210人)の園児が在籍しています。
大東区域
大須賀区域
(4)施設の老朽化の進行
ほとんどの園が昭和50年代に建てられており、平均で38年が経過しています。
認定こども園について
(1)認定こども園とは
幼稚園と保育園の機能や特長を併せ持ち、教育と保育を一体的に行う施設で、親の就労の有無にかかわらず0歳から就学前までのすべての子どもを対象に保育・教育の提供を行います。掛川市には、平成29 年4月1日現在、公立1園、私立5園、計6園の認定こども園があります。
(詳細は、内閣府ホームページ )
(2)認定こども園での1日の流れ
朝は、保育園希望児が順次登園し、午前9時頃に幼稚園希望児が一斉登園します。
3~5歳児(幼稚園希望児+保育園希望児)は、おおむね午前中は同じカリキュラムで教育を受け、共通の時間を過ごします。お昼の給食後、おおむね午後2時頃に幼稚園希望児は一斉に帰宅し、保育園希望児は家庭の代わりとして保育を受け順次降園していくという流れになります。
これまでの検討の経緯
合併前の大東町・大須賀町の時にも、幼保一元化について検討していましたが、将来的な展望にとどまっていました。
合併後に、南部地区乳幼児教育検討委員会や乳幼児教育振興計画策定委員会でも検討され、平成24年2月には幼保園化の提言もされました。国の子ども・子育て支援新制度のスタート等を踏まえて、将来の乳幼児教育・保育のあり方を見通し、全体の枠組みなどを検討するため、大東大須賀区域認定こども園化推進委員会が設置され、平成28年8月5日に、検討結果をまとめた提言が市長へ提出されました。
認定こども園整備の概要と実施計画
(1)開設の基本理念(建園の精神) 「えがおいっぱい! 何かを発見する園」
大東大須賀区域認定こども園化推進委員会から提言された「認定こども園のめざす姿」を具現化していくために、法人や保育園・幼稚園職員、教育委員会指導主事などと共に、5つの園の共通理念として定めました。(最終ページ参照)今後、各法人がこの「建園の精神」に基づき、運営方針や各園の園目標を定めていきます。
(2)認定こども園整備スケジュール
既存の公立幼稚園8園と私立保育園5園を民営の認定こども園5園に再編整備し、以下のスケジュールで整備・開園していく予定です。
開園時期 | 開園する認定こども園 | 設置場所(案) |
---|---|---|
平成31 年(2019年) 4月 | (仮称)大坂認定こども園 | 大坂幼稚園、大坂保育園敷地(決定) |
平成32 年(2020年) 4月 | (仮称)千浜認定こども園 | 千浜幼稚園、千浜保育園敷地 |
平成32 年(2020年) 4月 | (仮称)横須賀認定こども園 | 候補地1:大須賀中学校周辺 候補地2:大須賀運動場周辺 候補地3:横須賀高校周辺 |
平成32 年(2020年) 4月 | (仮称)大渕認定こども園 | 現在のおおぶち保育園周辺 |
平成33 年(2021年) 4月 | (仮称)城東認定こども園 | 候補地1:城東保育園周辺 候補地2:城東中学校周辺 |
(3)運営法人
(仮称)大坂認定こども園、(仮称)千浜認定こども園、(仮称)城東認定こども園は社会福祉法人大東福祉会に、(仮称)横須賀認定こども園、(仮称)大渕認定こども園は社会福祉法人大須賀苑に決定しました。両法人と市で締結した「認定こども園整備に関する基本協定」に基づき、協働して進めていきます。
認定こども園開園に向けて
(1)認定こども園に期待されること
認定こども園には、「建園の精神」を基に、園や地域の温かなまなざしの中で、大勢の仲間と元気に遊び、共に学び、助け合いながら生活することで、心も体も豊かな、たくましい子どもに育てていくことや、同年齢の子どもたちへ同じカリキュラムによる教育を提供すること、幼稚園ニーズや保育園ニーズへ柔軟に対応することなどが期待されています。
(2)決定していかなければならないこと
大坂以外の4園の設置場所や園舎の設計のほか、保育教育のカリキュラム・行事など認定こども園での保育教育の具体的な中身や園運営に関すること、園服や用品、PTA等の保護者組織の活動内容や運営、地域との連携など、開園までに決めていかなければならないことがたくさんあります。
(3)現在の取り組みや今後の予定
- 市民ワークショップや地区への説明会等を開催し、認定こども園の周知や、意見交換を行っています。以下の2つのワークショップの開催が決定しています。
- (仮称)城東認定こども園ワークショップ 7月23日(日曜日)午前9時30分から正午 大東北公民館
- (仮称)横須賀認定こども園ワークショップ 7月30日(日曜日)午前9時30分から正午 大須賀市民交流センター
- 幼稚園、保育園職員、法人、市での園運営についての打合せやPTAや保護者会の役員との打合せを始めました。また、保護者への説明会も順次始めています。
- 認定こども園整備の検討状況などをまとめた通信を発行しています。近々、第5号を発行予定です。
- (仮称)大坂認定こども園の設計と認可手続きを進めています。
設計の概略がまとまったら、説明会等でお知らせする予定です。
結び
短期間で5つの認定こども園を整備することになりますので、厳しいスケジュールですが、子どもたちの笑顔やのびのび遊ぶ姿を想像しながら取り組んでいます。
地域の子どもたちを地域全体で育成していく拠点、地域の誇りとなる施設とするためにも、保護者の皆様、市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いいたします。