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第675回 カメラと車と一人旅と

2017年7月28日更新

掛川市議会事務局長 栗田一吉

1. 旅立つきっかけはカメラ

私がデジタル一眼レフカメラを使い始めてから3年が経つ。大きな変化といえば、カメラを介した自らの撮影衝動が、結果として私の行動範囲を広げてくれたことだ。実はここ1年・2年、忙しさに紛れ、外出するのが億劫になり、いわゆる「出無精("デブ症"ではありません!)」となっていたのだ。

長いレンズのついたペンタックスのカメラの写真。隅には「我が愛機」と書かれている。

しかし、せっかっく大枚をはたいてカメラを購入したのだから、何かしら満足な1枚を残したいと思うようになっていたのも事実。同時に、写真雑誌等に載っている絶景にも出会いたいという欲求が、自分の重い腰を上げさせた。
当然ながら、時間と金もそれなりに必要だ。しかし、齢50を過ぎて、急激に進行した老眼や諸々の身体のガタガタと苦闘するうち、「元気で動けるのは、今しかないかもしれない!」と思い、旅を決断した。
なお、自家用車にこだわる理由は、第一に撮影機材を重量等気にせずに乗せられること、第二に、思いつくままの機動的なルート選択が可能だからである。

 

2. 2017年夏旅の行き先

地図アプリの写真。ルートが青い線で塗られ、10時間、856キロメートルと表示されている。

今年の7月中旬、旅の初日は午前10時にスタートした。日頃の行いの悪さからか、大雨であった。それでも、一念発起して夏休みをもらった以上、普段行けない場所に行くしかない!

そこで、新東名-圏央道-東北道を使って、憧れの地、青森県の「奥入瀬渓流」を目指すこととした。グーグルさんの見立てでは、宿がありそうな周辺都市まで約850キロメートル、10時間もかかるらしい。途中最低限の休憩を入れれば11時間はかかる勘定だ。自分自身、どこまでたどり着けるか皆目見当もつかなかったので、宿泊先も、それ以後の旅程も、全く白紙のまま行動に移した。気楽な一人旅だからこそ「行き当たりばったりもまた楽し」である。

 

3. 2016年は四国への旅だった

松山城内の石段が、らせん階段のように伸び、その先には城が見える
山あいの川に掛かる屋根付きの橋。奥には民家が見える。

昨夏の旅も、車にカメラ機材一式を積み込んでの旅だった。参議院選挙の頃、松山-倉敷-熊野を3泊4日で巡り、総走行距離1,800キロメートルを走破した。初日は伊予松山まで、片道約620キロメートル、8時間かかるとグーグルさんが言うところを約10時間かけてたどり着いた。そういえば、昨年も往路は大雨だった。

ちなみに、石段の写真は、伊予松山城のもの。屋根付きの橋は、「田丸橋」と言って、松山から1時間ほど西に行った内子町にある。いずれも自分が大好きなあるドラマに触発されて撮ったものだ。

 

4. 雨中の850キロメートルドライブ

長距離トラックの運転手でもない限り、850キロメートルという長さは半端ではない!しかし、自分は、昨年夏の経験から、割と楽観して臨んだ。しかし、雨の日の運転は、精神的に疲れる!

そうこうして、ようやく岩手県に入った頃、完走への確信が持てるようになり、急きょ秋田県鹿角(かづの)市の宿を予約した。午後9時に現着したが、疲れからすぐに眠ってしまった。

ところで、秋田県まで高速を乗り継いできて驚いたことが2つあった。1つは、野生動物注意の看板が、静岡県内ならせいぜい狸であるのに、東北では普通に熊となっていること。2つ目は、高速なのに一部区間では道路照明も無く、真っ暗だったことである。前方のトラックを追い抜いた瞬間、目の前が漆黒の闇となり、吸い込まれそうになる恐怖心から思わずブレーキを踏んでしまった程である。

5. 奥入瀬渓流はマイナスイオンたっぷり

峠から見下ろす十和田湖の写真。湖の向こうの山々まで見渡せる。

2日目は快晴!「本当の俺は、晴れ男なんだ。」と自分に言い聞かせながら、十和田湖に向け山道をひたすら上り続けた。約1時間半後、峠から一瞬海かと錯覚するような水面を見つける。十和田湖だ!夏の湖畔のドライブは、木漏れ日のシャワーが心地良い。

 

奥入瀬渓流「銚子大滝」付近の写真。木々の間の渓谷を流れる川がしっとりと美しい。
湖畔にたつ高村光太郎作の「乙女の像」。湖には観光船がみえる。
赤い壁が目を引く青森駅前再開発ビル「アウガ」の写真

奥入瀬渓流への入り口は、湖の北東である。渓流沿いの国道も、まだ午前9時過ぎだったので、「銚子大滝」という場所に、数台の自家用車駐車スペースがあり、そこに駐車した。有り難いことに無料だ。ここは、バス停になっていて、次から次へと観光客が降りてくる。狭い渓流沿いにあって、駐車スペースと見どころがセットになった数少ない場所のひとつなのだろう。
ちなみに、渓流は全長14キロメートルもあるそうだが、カメラと三脚を抱えた自分は、数キロ歩いただけでギブアップとなった。それでも、水と緑と苔に囲まれた別世界で、お気に入りの1枚が撮れて大満足だった。

その後、湖畔の高村光太郎作「乙女の像」を見てから、青森市街地へと向かった。青森の市街地へは午後3時過ぎに着いたため、早めにチェックインして、青森駅周辺を散策した。再開発の失敗例として悪名高い「アウガ」も覗いたが、1階から4階は全て空きとなり、今年度末までに市役所機能が入居するとのことであった。

 

6. 北海道新幹線で函館へ

走行中の新幹線の中から撮影した線路の写真。青函トンネル内のレールは3本(広軌・狭軌併設)と書かれている。
終点の新函館北斗駅のホームから、まっすぐ伸びる線路を撮影。
函館山からの景色。多くの観光客と少し霞がかかった函館の街が写っている。

3日目は、新青森駅に車を置いて、北海道新幹線で函館まで足を伸ばした。実は、自分は、まだ北海道に行ったことがなかったので、話題の北海道新幹線乗車で一石二鳥を試みたのだ。新青森から新函館北斗までは148.8キロメートルで、新富士から東京までとほぼ同じ距離。しかし、料金は片道(全席指定)で7,690円と高い!その理由は、この区間は特急料金が東海道新幹線の5割増しなんだそうである。所要時間は66分で、うち青函トンネル部分が約25分と半分近くを占める。その他にもトンネルが多いので、感覚としては、ほとんど地下鉄である。

青函トンネルを抜け、北海道側に出たら、隣の線路に貨物列車が停まっていてビックリ!そう、青函トンネル内の線路は3本敷設されていて、新幹線用広軌と在来線用狭軌の併用線路となっているのだ!この線路を見たとき、24年の歳月をかけたトンネル工事の大変さが少しだけ分かったような気がした。そういえば、昔映画館で健さんの「海峡」を見たっけ。

新函館北斗から函館までは、快速「はこだてライナー」で2駅、19分で着く。函館では、お約束の函館山にロープウエイで登り、お決まりの写真を撮る。しかし、夏はガスっていて、景色がクリアとならない。やはり、夜景とセットで撮るには、もう一度寒い時期に来るしかないと思った。

 

五稜郭タワーから撮影した、五稜郭の写真。「中央が函館奉行所」と書かれている。

次に、もう一つの定番である五稜郭までは、路面電車に揺られて向かった。五稜郭タワーから美しい五角形を見下ろし、平成22年に再建されたという箱館奉行所等を見学した。

 

7. 大雨とたんぼアートと・・・

青森県鶴田町の鶴の舞橋の写真。三連に連なった太鼓橋のアーチが美しい。
2017年に行われた青森県田舎館村の田んぼアートの写真。桃太郎と犬が鬼に立ち向かう様子が創られている

4日目は、青森市内の別のホテルからスタート。余談だが、金曜日のホテル代は4千円だったのに、土曜日というだけで1万円。本当は函館に泊まりたかったのだが、そちらは最低でも2万円近くかかるため断念した。

肝心の天気は、再び雨、それも大雨の雲が迫って来ているという。今日は、2ヶ所から3ヶ所見学したら、雨雲を突っ切って南下せねば、明日のうちに帰れなくなってしまう!そこで、青森県内では鶴田町の「鶴の舞橋」と田舎館村の「たんぼアート」、それから岩手県で「中尊寺」の3つを目標と定めた。

いずれも、雨のため良い写真とはならなかったが、こういった機動力が自家用車で行く最大のメリットである。未知の地なので、ナビは必須だが、スマホとグーグルさんの組み合わせでも十分である。

 

岩手県平泉の中尊寺金色堂の写真。雨の中傘をさした多くの観光客が見られる。
大雨で十和田湖インターチェンジが閉鎖されたときの様子。道路巡回車が電光式の標識で出口を知らせている。
前を走る車の先には屋根のついた歩道橋が見える

しかし、大雨によるインター閉鎖には参った!「雨で高速が通行止めになるなんて、あまり聞いたことが無い!滝ノ谷の県道じゃああるまいし。」と思ったが、こればかりはどうしようもない。たかが数キロの道が大渋滞で、1時間かけてやっとの思いで抜けることが出来た。渋滞中、歩道橋に屋根がかかっているのを見つけ、さすが豪雪地帯と感心した。

中尊寺から先の道路状況は、福島県内までは良かったが、栃木県内で事故渋滞らしかったので、今夜は白河で泊まることにした。日曜日の宿泊料は、土曜日の約半値らしく5千円で済んだ。

 

8. 鉄道博物館て凄え!

大宮の鉄道博物館の広い館内にはいろいろな車両が展示され、多くの人たちで賑わっている

最終日の5日目は、行き先を欲張ることなく、早く自宅に帰りたいと思った。そこで、以前から行きたいと思っていた大宮の鉄道博物館のみを目指した。白河を午前8時に出て、現地には午前10時30分に着いた。午前10時開館のはずだが、既に駐車場は一杯、館内は多くの子ども連れでごった返していた。
自分は、鉄道マニアではないが、自分が実物を見たことがない車両、特にビジネス特急こだまタイプの「ひばり」、「とき」の形には惹かれる。思わず夢中でシャッターを切っていた。
他にも運転シュミレーター等があるので、乗りもの好きな小中学生にはきっと大受けだと思うが、各アトラクションは待ち時間も半端ないので、行かれる方は、ディズニーランド並に気合いを入れてどうぞ。

 

帰り道、首都高本線の外環状三郷付近に十文字の交差点があり、信号待ちを体験させられたのには驚いた。こうした経験や新しい発見というのは、旅をしたからこそ得られたものなのだと思うと、また来年も無茶をしそうである!?

旅の記録

  • 4泊5日総移動距離2,386.4キロメートル(うち自家用車使用2,053キロメートル)
  • ガソリン代22,428円、171.93リットル(燃費1リットルあたり11.9キロメートル)
  • 北海道新幹線料金14,860円
  • 通行料33,900円
  • 宿泊費27,860円
  • 各種入場料等6,580円
  • その他27,156円
  • 合計132,784円

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