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第676回 愛が伝わる

2017年8月7日更新

女の子の赤ちゃんがハイハイして手にマラカスを持っているイラスト
すくすくジャパンより

掛川市会計管理者 松下きみ子

現在は、会計管理者ですが3月まで「こども希望課」で子ども関係の業務に携わっていました。そのような関係から、お子さんの声が聞こえると、そわそわしてしまいます。

最近「あやすって何?」と聞かれることもあり、辞書で調べると「機嫌をとってなだめ、すかす」「赤ん坊や幼児が機嫌を取り戻すように、うまくなだめる」とありましたが、だっこや軽くトントンや撫でることにより、不安を取り除き、落ち着かせることで、「愛す」が語源だそうです。
弟、妹や近所の子をお世話したことがないママさんには、初めての子育てがご自分の子という方がほとんどで、あやすことに奮闘している姿をよく見ます。先日公表された市内高校生の意識調査でも、自分を含めた兄弟数は1人が12パーセント、2人が49.9パーセント、3人が29.6パーセント、4人以上が7.1パーセントでしたから、6割以上が一人っ子か2人となっているので当然かもしれません。

職業柄(実は保健師なのです)、長期に渡り多くのお子さんやママさんそして家庭、子育てを見てきました。3世代の子育てを見ることもあり、お子さんは姿形のみでなく、育て方も親に似ていると感じることがあり、育てられたように育つ、そして育てると実感したことが何度かあります。
教えたわけではないけれど、育ててくれる人の背中を見ていたからか、刷り込まれているのでしょうか?いつの間にか、口癖までも似てきます。ただ、他にお手本や支援者もいますから、母親が子育ては責任重大と思いすぎなくても良いと思いますが。

今、愛着という言葉をよく聞きます。
「愛着とは、ある特定の他者との間に形成される情緒的な絆であり、人間早期に限らず生涯にわたる人間発達において重要な心理的意味を持つ関係性」と久保田まり氏(東洋英和女学院大学大学院博士)は言っています。愛着により愛情の器に、「ここにいてもいいんだ」「幸せ」というエネルギーがたまり、心の安定が生まれ、10年後・20年後につながるといいます。
愛着は、生後間もない時期からの心地よい肌の触れ合いやスキンシップ(愛着行動、あやす)により形成されます。しかし、この時期のママさんは、お子さんを産んだばかりで慣れない育児に疲労困憊、さらに、ちょっとうつっぽい気分になりやすく、十分なスキンシップを求めるのは大変ではないかと思います。
そんな時は、手助けしてママさんを支えることが大切です。『共育』という共に育てるという考え方です。

テネシー・澄子さん(東京福祉大学名誉教授社会福祉学博士)の著書「子を愛せない母・母を拒否する子」という本があります。
テネシーさんとは一度お会いしましたが、とても柔らかで暖かな印象の方でした。この本の中に愛着を深める癒しのステップがありました。

  1. 目を合わせる。子供の目線の高さで、子供の目を見ながら話す。 目を見ることは、相手の表情を読み取ること。
  2. お互いに微笑みあい、笑顔に応える。笑顔は心を和ませる最大の宝物
  3. 年齢に合わせて、子供を抱く、抱擁する、抱きしめる。子供はいくつになっても抱きしめる。「抱き癖」は心配しなくてよい。
  4. 親子が同じリズムを感じる、一体感を持つ。子供を抱いて揺する。
  5. やさしく軽く、体に触れる。幼児期は頭、顔。学童、青年期は肩、二の腕、背中
  6. 癒し目的のマッサージ
  7. 明るく、静かに語りかける。
  8. お説教でなく質問形式で
  9. 行動を描写して叱る。きっぱり諭すのは、自分や他人を危険にさらす行動をしたとき
  10. ありがとうの言葉を忘れずに
  11. 良いことをしたときに誉める
  12. 子供が自分の誇りであることを伝える。自己肯定感を育てる。  

でした。

もう一つ、子育てで今大切にしたいものは、「誉める」ことと言われています。日本の子育ては叱る、注意して反省、改めさせる場合が多いように思います。

誉めるタイミングは、

  1. やり始め「お~ 始めたね」
  2. 続けているとき「がんばっているね」
  3. 返事をしたとき「いいお返事」
  4. 結果「よくできたね」と誉め時があります。
    誉められると、子供は「にっこり、満足、私(僕)ってすごい♪♪」と自己肯定感は高まり、また誉めてもらおうとよい行動につながります。

器用な子供はすぐに指示通りにできるのですが、不器用な子供こそたくさん誉めてやる気を出させると、コツが身に付き、できるようになります。このコツは、一生ものになります。

私自身、点数を付けたら不可としか言いようがない子育てでした。愛情のシャワーを十分に与えればよかった、あの時叱らずにこんな声掛けをすればよかった、仕事に目が行って子供の思いは二の次で寂しい思いをさせた、もっともっと誉めて自己肯定感を高めてあげればよかったなど、反省点ばかりです。娘が思春期になった時に車の中で「あの時お母さんを待っていた。私寂しかった。」と言われた言葉が今でも気になっています。過ぎてしまった日々は、塗り替えることはできません。子供たちには、申し訳なく思っていますが、私自身精一杯仕事と子育てをがんばりました。言った当人は、大人になり「そうだったかな~???」とすっかり忘れていますが、本音だったに違いありません。子供たちは、どんな子育てをするのでしょうか?気になります。
後輩たちには、「子供が待ってるよ。仕事は代わることができるから、今日は子供のところへ行って。」とよく言いましたが、皆でキャリアと子育ての両立を応援する言葉をたくさんかけ、一生懸命のママさんを誉めてほしいものです。また、成長したお子さんもパパさんも誉められるとうれしいもので、決して嫌な気持ちにはなりません。行動も気持ちも変わります。
みんなで誉め合って、ほめほめで掛川市、静岡、日本そして世界中の子供たちが幸せを感じられる時代になるとよいですね。

そして、私の尊敬する先生からお薦めされた、くすのきしげのり・石井聖岳著「おこだでませんように」の本を多くの方に読んでいただきたいと思います。きっとたくさんの気づきが得られます。
もの言えない子供の気持ちも大切にしてほしいと思っています。

幼児の男の子が小太鼓を首から下げて叩きながら歩いているイラスト

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