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第690回 図書館と本屋さん

2017年10月13日更新

掛川市学校教育課長 杉浦雅美

掛川市の市民意識調査で「掛川市が住みやすい」と答えた市民が80%に上った一方、大須賀、大東地域では60%前後にとどまり、地域差があることが浮き彫りになったと報道されました。商店閉店などが影響したとみられると記載されていました。私はさらに南部地域には本屋さんがないことも住みやすさを感じにくい一因であると思っています。

また、全国世論調査では漫画と雑誌を除いた本を1ヶ月に読む冊数が「0冊」の人が33%と3人に1人の割合に上ることが報告されています。

掛川市内の小中学校には平成18年度に1名の学校司書が配置されたことを皮切りに、徐々にその数を増やし、今年度には13名の学校司書が配置され、それに伴い学校図書館も整備され、きれいに配架された学校図書館となり、子どもたちの読書冊数も2倍3倍と飛躍的に伸びてきています。

先ほどの世論調査によると図書館にそろえてもらいたい本の第1位は「現在のベストセラー本」で41.7%で他を引き離してトップでした。このことに関しては、数年前に書店組合から「新刊本を1年間は図書館には売らない。」という発言があり物議を醸しました。

それでは図書館と本屋さんはライバルなのか?共存共栄ができないのか?という疑問がわいてきます。

図書館のホームページから新刊ベストセラーの予約状況を見ると、何十人もの人が予約待ちをしています。新刊ベストセラーを予約してもなかなか手にして読むことができないので「もっと新刊ベストセラーの購入冊数を増やして、早く読めるようにしてほしい。」という要望が出ることになり、図書館は自ずと新刊が出たとたんに複数冊の本を購入することになります。

立花隆さんの著書の「宇宙からの帰還」に次のように書かれています。
「民主主義が健全なのは、有権者が、自分たちの投票行動いかんによって、政府資金から多くのものを引き出すことができるということを発見できるまでの間だ。この原理を発見してしまうと、有権者は、政府資金からより多くのものを約束する候補者に投票するようになり、従って候補者たちは競ってより多くのものを約束するようになる。その結果、民主主義は必ず放漫財政におちいって、財政的に破綻する。そこまで行くともう民主主義ではもうどうにもならなくなる。」

図書館と本屋さんはライバルなのか?共存共栄できないのか?という疑問にもどります。私個人の考えでは共存共栄できると思います。新刊を読みたい人は本屋さんに行けばいいし、調べごとがある人は図書館でじっくり調べたらいいと思います。新しい本や雑誌などは本屋さんで購入し、個人で購入するには高価な専門書や新刊本でなくても名著と思われるものは図書館で借りて読むのが良いでしょう。使う人次第で十分に共存できると思うのです。

私は市役所の職員としての期間より中学校教員としても期間の方が圧倒的に長いので、子どもたちによりよい日本、静岡、掛川を残してあげたいと思っています。図書館と本屋さんはほんの一例です。よりよい掛川を残す方法をみんなで考えていきましょう。

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