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第698回 掛川市の水道料金はなぜ高い?

2017年11月24日更新

掛川市水道課長 杉本幸俊

市民の皆様から、「掛川市の水道料金は高い」という話を時々お聞きします。これにはいくつかの理由がありますが、その説明の前に、掛川市水道の歴史と現在の状況について触れたいと思います。

掛川市水道の歴史は、旧掛川区域が大正10年に、県内では熱海市に次いで2番目に、また大東区域では昭和51年に、大須賀区域では昭和63年に、一般家庭への給水を開始しましたが、当地域は県内の他地域と比べ、自己水源に乏しく、昔から水不足で大変苦労してきた歴史があります。その後、昭和63年の大井川広域水道事業による給水開始や、平成14年の長島ダムの完成により、安定した給水が行われるようになり、現在市内で使用される水道水は、その約9割を、大井川広域水道企業団からの送水で賄われています。

又、市の水道事業は、この企業団からの受水費(水を買っている)以外に給水事務、施設の更新工事、施設管理、漏水事故対応といった業務に係る費用を、市民や企業の皆さんからの使用料収入により賄う、独立採算の公営企業会計により運営されています。

一方、掛川市の水道事業を取り巻く環境はというと、少子高齢化の影響、節水意識の高まり、節水機器の普及といった理由により、水の使用量は減少していて、水道経営は年々厳しさを増しています。また、市の水道施設は高度経済成長時代に拡大整備されたものが多く、特に水道管(掛川市の水道管総延長L=1,041キロメートル)の老朽化が進んでいて、その対策や発生が予想される東南海地震に備えるための耐震化費用を、この水道会計から生み出していかなければなりません。

さて、本日のテーマである「掛川市の水道料金はなぜ高い?」について、ご説明します。

水道料金は、水源の状況、水道施設の維持管理や設備費などの経営条件の違いで、自治体ごとに差があり、掛川市の水道料金3,240円(1か月使用あたり20立法メートル)は、全国平均(3,215.3円)と同水準ですが、わき水や井戸などの自己水源に恵まれている県内の自治体と比較(県平均2,339.9円)すると高めになります。これには主に、次の3つの理由があげられます。

  1. 自己水源の不足
    水道水の88%を大井川広域水道企業団から受水しています。この費用が年間約14億円で、年間費用の47%を占めています。
  2. 水道施設の老朽化
    掛川市水道の創設(認可)は、大正9年と古く、老朽化した水道施設や水道管の修繕などに多くの費用がかかります。
  3. 給水区域が広い
    導水管・送水管・配水管の総延長が1,041キロメートルと、これは新幹線で掛川駅から熊本駅までの距離に相当するほど長く、人口集積都市に比べて投資効率が悪くなっています。

このような理由により、掛川市の水道料金は高めとなっています。

さて、掛川市の水道経営は、今後も水需要の減少や施設更新費用の増加により一層の厳しさが予想されますが、水道事業は365日休みなしであり、市水道部は、今後も市民の皆さんに安全・安心で良質な水道水の供給を行うため、より一層の経営改善に努めてまいります。

添付資料(掛川市ホームページ内:水道)

  • 掛川市新水道ビジョン
  • 掛川市新水道ビジョン(概要版)

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