掛川市企画政策部参与 佐藤 益男
幾つになってもデビュー戦は、ドキドキ、ワクワクと緊張感と高揚感を伴う。
一昨年の秋にチェーンソーで玉切りにし、筋肉に訴え苦労して斧で割った薪を、慣らし炊きを終えたばかりのストーブに投入する。
ちょろちょろと頼りなげで恥ずかしそうに燃えていた火が、やがてゆらゆらと楽しそうに踊り、ぱちぱちと薪が口ずさむ。
暖かな空気が少しずつ部屋を溶かし始め、からだと心をやわらかくしていく。
庭に出て屋根の煙突を見上げると、温度を上げた空気が陽炎となり雲を揺らす。
木の燃える匂いが、ほのかに漂う。
この匂い、懐かしいなぁ~。
懐かしい匂いとともに昔がよみがえる。
そうだ。
子供の頃、楽しんで『かまど』で火をおこしていたんだ。薪でお風呂も沸かしたしね。
鉄釜のお風呂を薪で焚けば、じんわりと体の芯まで温まる。
ボタンひとつで何でもできる時代。
寒いなと思えば、エアコンのスイッチを一押しするだけ。
便利で楽ちんだけど、なんとなく味気ない気もする。
手間もかかり、それなりの苦労と努力と忍耐を求められるけど、薪ストーブは面白い。
ほら、「手のかかる子ほどかわいい」って昔からいうでしょ。
スローでエコロジーで、そして何よりも心のゆとりを感じられる暮らしを、薪ストーブとともに送っていきたいと思っています。
汗の結晶、一昨年割った薪
友だちからのプレゼント。
感謝、感謝の軽ットラ満載の薪の山。
期待の新人、我が家に登場。寒い冬を暖めてね。