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第627回 菖蒲ヶ池工業団地

2016年10月7日更新

掛川市管財課長兼公社担当専門官 平松 克純

まだ、開発されていない昭和37年頃の様子を上空から捉えた画像
昭和37年頃

掛川市には、「掛川市土地開発公社」という団体があります。この土地開発公社は、市から依頼を受けて公共事業に使う土地の先行取得を行うことと、工業団地などの土地造成事業を行うことの2つの業務を行うことを主な目的として、市が100パーセント出資して平成20年に設立された団体です。特に造成事業については、今まで「新エコポリス第2期工業団地」や「菖蒲ヶ池工業団地」の造成事業を行ったほか、現在も「上西郷工業用地造成事業」や「南西郷工業用地造成事業」を行っています。

 

平成21年、工事着手前の様子を上空から捉えた画像 木々が立ち自然のままの状態
工事着手前(平成21年)

このうち、「菖蒲ヶ池工業団地」とは、平成25年5月に開院した中東遠総合医療センター周辺の工業団地のことで、平成22年度から平成24年度まで「新病院建設用地等造成事業」として造成工事が行われました。私はその工事を担当させていただきましたが、この造成工事では、冬場は強風の西風が多く現場で巻き上げられた砂ぼこりが飛散して、周辺の住宅の方々には大変なご迷惑をお掛けしました。造成工事が完了して3年以上経過しますが、今でも鮮明に覚えています。この場をお借りして改めてお詫びいたします。 菖蒲ヶ池工業団地は現在、工場用地への進出企業が全て操業を開始しましたので、造成前後の航空写真を見ながら、造成工事を振り返ってみたいと思います。

 

1 中東遠総合医療センター建築工事

この造成工事での1番はじめのハードルは、中東遠総合医療センター建築予定箇所の造成工事を平成23年6月末までに完了し7月1日に建築部隊へ引き渡すことでした。造成工事を実際に開始したのが平成22年9月頃でしたので、実質10ヶ月で造成工事と調整池2箇所を完成させるというかなり厳しい工程の上、病院の設計も並行して行われていましたので、そちらと打ち合わせをしながらの造成工事で、大変な工事だったと記憶しています。

それでも、何とか6月中に完成できるよう進んでいた工事ですが、6月に入ると、予想していたこととはいえ雨が10日ほど続き、全く工事が進まなくなりました。こちらは、間に合わなかったら…と毎日心配で仕方ありませんでしたが、施工業者である鹿島・川島共同企業体の信定所長は、「間に合わせます」の一点張りでした。
それでも雨は降り続き、皆が内心「もう間に合わないか?」と思い始めた6月下旬、何と雨がぱたっと降らなくなり、10日ほど雨が降りませんでした。その間に造成工事が完了し、6月30日に検査を受け、約束どおり7月に引き渡すことができました。6月30日の検査終了後に見た夕日は、とてもきれいな夕日でした。

2 ガードマン

平成23年12月工事中の様子を上空から捉えた画像 木々などが撤去され更地となっている様子がわかる
工事中(平成23年12月)

工事には、ガードマンの存在が不可欠です。特に造成工事最盛期は、大型のバックホウやブルドーザ、ダンプトラックなど大型重機が動き回っています。機械が大きいため、関係者以外の方が現場に入っても機械から見えないため、大きな事故に繋がることがあります。それを防ぐために、ガードマンに門番をお願いしていました。 
この現場を担当していただいたガードマンの方は、造成工事実施中の約2年半同じ方で、雨の日も風の日も、夏の暑い日も冬の寒い日も、毎日現場の安全のために、現場入り口で門番をしてくれました。私もほぼ毎日現場に行きましたので、ほぼ毎日顔を合わせました。
業務に忠実な方で、造成区域内の他の工事の所長さんが、工事着手前に現場を確認するために現場内に入ろうとしたところ、「関係者以外は誰も入れるな」と言われているので誰であろうと入れられないと、しばらく押し問答をした後に門前払いをした、というエピソードもありました。 造成工事も完成に近づき、ガードマンの方がこの現場を去る日に挨拶に伺ったところ、涙を流しながら握手してくれました。
所長が言っていました。工事が順調に進み完成に近づいていくことは良いことだが、完成が近づくにつれ、一緒に働いていた仲間が一人一人現場からいなくなって、寂しくなっていく。そういう仕事だから仕方がないけど…。

 

3 農道

平成27年完成後の様子を上空から捉えた画像 建物ができている様子がみえる
完成後(平成27年)

工事中は、毎週水曜日の午後に工程会議というものがあり、工事の進み具合の確認や、これから工事を行う箇所についての細かな打ち合わせを行っていました。
造成区域内に、水道タンクや公園があり、そこへ行く道路について、あるときの工程会議で、現場の所長と「こうすれば、もっと土地の有効利用が図られるのではないか」などと、打ち合わせをしました。
翌日、「現場にきてほしい。」との電話があり、現場に行ってみると、前日打ち合わせしたとおりの道路の形が、ほぼできていました。所長が、打ち合わせをしたイメージで形を作ってみたとのことでした。通常は図面を描いて、それを基に現場に目印をつけ、工事に入るのですが、このときは、所長が私との打ち合わせ内容を重機のオペレーターに伝え、図面なしで現場を作ってしまいました。私のイメージどおりにできていましたので、所長の表現力と重機のオペレーターさんの技術力には驚かされました。
この他にも、土を掘っていたら突然横穴が出てきたり、元からあったトンネルの水路に思った通りに水が流れなくて、詳しく調べたら予想と全然違う構造だったり、思い出すと造成工事ならではの掘ってみないとわからないところが色々ありました。でも事故もなく工事が完成し、3年経った今でも悪くなったところ(斜面が崩れたり、道路が悪くなったり)はありませんので、良い工事だったのかな?と思っています。  
最後になりますが、多くの皆様のご協力によりましてこの造成工事が無事完了し、進出企業も順調に操業されていることに、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

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