市議会6月定例会の開会に際し、行政報告を申し上げます。
新型コロナウイルスについて
はじめに、新型コロナウイルスについて、申し上げます。
国内においては、国を挙げての様々な感染予防の取組、そして何より全ての人々の協力により、感染者は減少しており、これからは感染の第二波への備えを行いながら、経済活動を復活させていくことが重要となっています。
この感染症によって、人々の交流が減り、テレワークやウェブ会議が当たり前となるなど、私たちの生活、働き方が変わってきており、今後、産業構造、私たちの価値観の変化にもつながっていくと考えています。ポストコロナの掛川市のまちづくりについては、これらの変化を見据えた中で、対応していく必要があります。
また、この難局においては、行政の支援は元より、人々が助け合い、支え合い、役立ち合うという「協働」の精神と、さらなる連帯意識の向上が必要不可欠であります。このような時だからこそ「協働のまちづくり」が益々重要であり、必要だと考えています。
今後も、市民、事業者と一体となって様々な対策を講じ、この危機を乗り越えてまいります。
感染予防の取組について
それでは、一つ目として、感染予防の取組について、申し上げます。
国内でコロナの感染拡大が始まって以降、掛川市では、市民の健康と安全を守るため、感染拡大の防止と医療体制の充実に努めてきました。
具体的には、県の保健所の体制強化を支援するため、掛川市からも保健師の派遣を行いました。PCR検査については、感染拡大の第二波を防ぎ、市民が安心して生活を送るため、早急に検査体制を整える必要があります。菊川市、御前崎市との共同で進めてきた「小笠掛川PCR検体採取センター」について、小笠医師会のご協力をいただき、感染防護の対策も充分に考慮し、先週、開設をいたしました。
また、市民の皆様、事業者・各種団体の皆様から寄贈いただきましたマスクや掛川市が備蓄しているマスクを、不足している医療機関や高齢者施設、乳幼児施設等へ、これまでに約9万枚をお渡ししており、今後、妊婦の皆さんにも、国から提供される布マスクに追加してお渡しをさせていただきます。
特別定額給付金について
次に、特別定額給付金について、申し上げます。
家計への支援の柱となる一人10万円の特別定額給付金については、5月4日からオンライン申請、5月8日からダウンロード方式の受付を開始し、その後、郵送申請方式については、5月21日から5月25日の間で順次発送をいたしました。
6月8日現在の申請者数は、39,984件で、このうち、12,850件の支給手続きが済んでおります。引き続き、速やかな支給に努めてまいります。
この給付金は、全ての市民が等しく受給するものです。高齢者や障がいのある単身世帯など、ご自身での申請が困難な方について、地域にお住まいの区長さんや、民生委員・児童委員の皆さんに、声かけや申請の支援をしていただくようお願いをしたほか、今後、未申請の世帯に対しては、再通知をして申請の促進を図ってまいります。
事業者支援などの経済対策について
次に、事業者支援などの経済対策について、申し上げます。
掛川市では、コロナの影響が地域経済に及んだ3月には、市独自で無利子の融資制度「小口特別資金」を制度設計し、4月から静岡県との協調融資とあわせて、企業の資金繰りを支援してきています。
その後、外出の自粛などが本格化し、経済への影響が拡大した4月下旬には、売上が大幅に減少した小規模企業へ最大20万円を給付する応援給付金や、感染拡大防止のための協力金を創設し、おとといまでにあわせて869件の申請を受け、事業者支援を本格化しています。
5月からは、国の持続化給付金の申請が始まり、市内でも、24日から掛川商工会議所に申請の支援窓口が開設されました。
これからは、新しい生活様式による経済の復活が求められます。市内商工団体の実行委員会とPayPay(ペイペイ)株式会社の協力により、飲食店のテイクアウト、デリバリーの支援をするなど、今後も、ウィズコロナ、ポストコロナを見据えての対策を検討してまいります。
財源の確保と財政の健全化の取組について
次に、財源の確保と財政の健全化の取組について、申し上げます。
コロナへの対策は、収束に目処がつくまで市民の生活と地域経済を支える「緊急支援」と、地域経済を再起させる「経済回復」について、時機を逸することなく実施することが求められており、そのためには、財源の確保と財政の健全化が必要不可欠です。
これまで、特別定額給付金を除き、コロナ対策として予算化した金額は6月補正予算案に盛り込んだ経費を含み、約14億5千万円、一般財源ベースでは約7億9千万円となっています。
さらに今後、必要な対策として想定される、第二波への備えや、市民生活の安定と経済活動の活性化についても、相当な金額が見込まれています。
このことから、財源の確保と財政の健全化を進めるため、既決予算事業の見直しを進めています。特別職給料や職員の管理職手当の減、主要事業の見直しなど、取組の成果として、約8億円の削減、一般財源ベースでは約2億2千万円の削減を6月補正予算案に盛り込んだところです。
コロナによる影響は、市税や各種交付金の減収など、来年度の当初予算編成に向けても大変厳しい状況が予想されます。引き続き、新しい生活様式や価値観、地域経済の姿に対応する投資が可能となるよう、思い切った見直しを進めてまいります。
GIGA(ギガ)スクール構想について
次に、GIGA(ギガ)スクール構想について、申し上げます。
Society5.0(ソサエティー5.0)時代を生きる子どもたちにとって、ICTを基盤とした先端技術の活用は必須となります。
全ての小中学校のLAN(ラン)回線を、大容量通信に対応したものに改修し、全ての児童生徒に一人一台タブレット端末の整備を行い、個々の学習状況に応じた指導や、創造性を育む教育を実現してまいります。
具体的には、ネットワーク整備は、校内LAN(ラン)回線をこれまでの10倍の通信速度に対応したものに改修するとともに、全ての普通教室から、無線でネットワークにつながる環境整備を行います。端末については、全ての児童生徒分となる約9,800台を整備いたします。
学校におけるICT環境を整え、活用することで、個々のレベルに応じた適切な教育を行うとともに、子どもたちの情報活用能力や探究心の向上と、主体的な学びを支援してまいります。
掛川の未来を担う子どもたちが、最適な環境で学ぶことができるように、今後も検討を重ね、子どもたちや学校にとってより良いICT環境の整備を進めてまいります。
来年度に向けた子育て施設の整備について
次に、来年度に向けた子育て施設の整備について、申し上げます。
来年4月の開園を目指し(仮称)横須賀認定こども園と、(仮称)智光認定こども園の起工式が5月に行われました。
(仮称)横須賀認定こども園は、南部地域の認定こども園化の3園目となり、大須賀区域で初めての認定こども園となります。定員は230人、たくさんの木に囲まれた園舎の遊戯室には鈴木政昭様から寄贈いただいたステンドグラスを飾り、子どもたちが本物の芸術や文化に触れることのできる施設となります。
(仮称)智光認定こども園は、社会福祉法人泉洞会により運営されるもので、掛川市中心部で65年の伝統を有する智光幼稚園を、今回の園舎新築に合わせ、認定こども園へ移行するものです。定員は210人、新たに子育て支援センターが併設されるとともに、今までの伝統を活かし、質の高い教育・保育が提供されるものと期待をしております。
今後も、待機児童対策など、様々な子育て支援策を展開し、安心して出産、子育てができる環境づくりに努めてまいります。
産業基盤整備の取組について
次に、産業基盤整備の取組について、申し上げます。
「大坂土方工業用地」の安全祈願祭が、5月12日に行われ、開発面積約12ヘクタールの造成工事が始まりました。造成工事の完了は、令和6年2月を予定しておりますが、興国インテック株式会社が取得する北側区画を先行して工事を行い、一部を令和4年9月までに完成させる計画です。
「上西郷工業用地」については、造成工事の設計から施工、その後の企業誘致を含めて民間企業が代行する新たな方式により事業の進捗を図るため、調整を続けております。開発面積約38ヘクタールという大規模な開発となりますので、年度内の公募実施に向けて慎重に準備を進めてまいります。
「新エコポリス第3期工業団地」については、現在、東山口まちづくり委員会と連携して取り組んでいくための基本協定締結に向け、協議を進めております。基本協定締結後は、計画の実現性とリスクの確認、事業協力者の公募の方法等について意見交換を行いながら、基本計画の策定を進め、事業の透明性の確保と推進を図ってまいります。
海岸線地域ビジョンの策定について
次に、海岸線地域ビジョンの策定について、申し上げます。
市議会からも一般質問や政策提言をいただいている海岸線地域の活性化については、昨年秋、この地域の活性化策を含めた地域ビジョンを策定するため、庁内検討組織を立ち上げ、地域資源の調査を行ってきております。
この結果、近年、海岸線地域は、掛川潮騒の杜の進捗や太陽光や風力発電施設の開設により、その様相が大きく変化していること。多くの有望な事業所や、観光・スポーツなどの施設、様々な地域資源が存在し、高いポテンシャルがあることを改めて認識いたしました。
その一方で、東日本大震災以降、津波の被害が想定されることや、大東温泉シートピアのあり方など、大きな課題があることも事実です。
今後、これらの課題も含めて、海岸線地域の資源などの整理を行うとともに、活性化策を含めた夢のある地域ビジョンを地域の皆様と一緒になって検討してまいります。
ごみ処理非常事態宣言について
次に、「ごみ処理非常事態宣言」について、申し上げます。
ごみ処理施設「環境資源ギャラリー」において、5月末に1号炉・2号炉が立て続けに故障し、ごみ処理が出来なくなりました。このため、掛川市・菊川市共同で「ごみ処理非常事態宣言」を発令し、処理が出来ないごみの一部、週にして350トン分について、静岡市に処理をお願いしています。
宣言期間中の6月5日から8月3日までの60日間、市民の皆様にごみの減量に取り組んでいただくため、同報無線や区長会を通じて回覧を依頼するなど、市民への周知を行っています。また、集積所等へごみの減量を依頼する通常の掲示に加え、英語版、ポルトガル語版を作成しました。
この危機を市民の皆様のご協力により、一日も早く乗り切ってまいりたいと思います。
地域循環共生圏に向けた取り組みについて
最後に、地域循環共生圏に向けた取組について、申し上げます。
昨年7月から、再生可能エネルギーの地産地消による、温室効果ガス削減と、地域内経済循環を目的に、一年間をかけて、地域新電力会社設立に向けての調整を進め、来月には、会社設立の運びとなりました。
この地域新電力会社は、人、モノ、資金、資源を循環させることにより相乗効果を高め、地域循環型再生可能エネルギーの小売電気事業の収益によって、地域課題の解決を進めていくものです。
将来の脱炭素社会、SDGs(エスディージーズ)未来都市を見据えての地域新電力会社は、ポストコロナの掛川市の地域社会、地域経済の光明となってくれるものと考えています。
以上、行政報告とさせていただきます。
令和2年6月10日