市議会9月定例会の開会に際し、行政報告を申し上げます。
全国茶品評会の審査結果について
はじめに、先週発表された全国茶品評会の審査結果について、申し上げます。
このたび鹿児島県で開催された、全国茶品評会深蒸し煎茶の部において、掛川市は、全国最多、通算22回目となる産地賞を受賞し、その奪還を果たすことができました。同時に、掛川中央茶業株式会社が最高位の農林水産大臣賞を受賞いたしました。
昨年逃した産地賞は、掛川市にとって悲願であり、今年こそは受賞するという強い意志のもと、関係機関一丸となって取り組んでまいりました。
殊に、今年は新型コロナウイルスの影響により、三大品評会は、全国茶品評会のみの開催となったため、関係者の本品評会に挑む決意は並々ならぬものがありました。
その結果、産地全体として最優秀の成績を収めることができたことは、市内茶生産者の層の厚さを示すものであり、関係各位のご努力に深甚なる敬意を表するとともに、心よりお喜びを申し上げます。
今後も引き続き、品評会で優秀な成績が収められるよう、生産者の皆様にお願い申し上げ、掛川市としても最大限の支援を行ってまいります。
総合計画の改定について
次に、総合計画の改定について、申し上げます。
国内での新型コロナウイルスについては、大都市を中心に多くの新規感染者が確認されるなど、依然として予断を許さない状況となっています。
新しい生活様式の取組と同時に、これまでの効率を重視した東京一極集中の弊害が指摘され、集中から分散の動きが生まれつつあります。
第2次掛川市総合計画は、SDGsや人生100年時代などの観点を加え、今年、改定を行ったところであります。しかし、この新型コロナによる影響は、人々の健康のみならず、社会、経済、さらには人々の行動、意識、価値観にまで、多方面に波及しつつあります。また、通常であれば、10年、20年かかる大きな変革が、一気に進んでいることもあります。
ポストコロナ時代の新たなまちづくりについては、これらの社会情勢の変化を見据え、対応していく必要があり、現在、総合計画を改定する準備を進めているところであります。より迅速かつ効果的に検討を進めるため、今後、新たな組織として「新型コロナワクチン接触対策室」の設置を予定しております。
新型コロナウイルスの市内企業への影響について
次に、新型コロナウイルスの市内企業への影響について、申し上げます。
このほど、市内の製造業73社に対し、操業状況、雇用情勢等の聞き取り調査を実施いたしました。
7月の生産を中心とする「仕事量」は、前年同月比で73パーセント(53社)の企業が減少となっており、これらの影響により、全体の42パーセント(31社)が休業を余儀なくされています。
景気の動向では、「好調」の業種はなく、「不調」の業種は、自動車関連の輸送機器、金属製品、電気機械などの分野が厳しい状況となっています。また、化粧品や医薬品、半導体などの化学工業系は、今のところ大きな落ち込みはありませんでした。
雇用情勢については、33パーセント(24社)の企業が「雇用調整を実施した」と回答しました。主に非正規社員や派遣社員、そして、外国人技能実習生が、契約満了後に契約更新をしないことで調整される場合が多い状況が明らかになりました。
先日発表された4月から6月までの国内総生産は、年率でマイナス27.8パーセントとなり、リーマンショックを超える落ち込みとなっています。
コロナ禍の今、市内企業の情勢、動向を常に把握し、必要な対策を進めてまいります。
事業者支援などの経済対策について
次に、事業者支援などの経済対策について、申し上げます。
掛川市では、新型コロナの影響が地域経済に及んで以降、融資制度による企業の資金繰り支援、感染拡大防止のための休業協力金をはじめとして、様々な事業者支援を進めてきました。
その中心となる、売り上げが減少した小規模企業者や農畜産業者へ最大20万円を給付する「応援給付金」については、要件の緩和などを行い、これまでにあわせて1,200件を超える申請を受付け、1億4,000万円余りの給付を行い、事業者を支援してきています。
このコロナ禍においても、感染防止と平行して経済の活動レベルを上げていくことが求められています。
事業所等の3密回避対策に係る経費を助成する「ポストコロナ対応経済活動助成金」を創設し、7月から助成を行っているほか、感染予防対策のアルコール消毒液について、これまでに千件を超える飲食店や事業所に配布をしてきています。
今後は、8月の臨時会でお認めいただいた、全ての世帯を対象としたプレミアム付商品券「掛川ささえあい応援券」の準備を進めて、消費の喚起による地域経済の活性化と市民生活を支援してまいります。
生活に困窮する方々への支援について
次に、生活に困窮する方々への支援について、申し上げます。
掛川市では、「生活困窮者自立支援事業」として、新型コロナの影響を受けて、仕事が休業となり収入が減少した世帯や、住居を失う恐れが生じている世帯を対象として、家賃相当額を支給する「住居確保給付金」事業を実施しており、これまでに約110世帯、1,000万円余りの支援をしてきています。
また、社会福祉協議会においても、新型コロナの影響を受け、緊急かつ一時的な支援が必要な低所得世帯に対して、「緊急小口資金」や「総合支援資金」といった生活資金を貸付する事業を行っております。これまでに約500世帯、9,000万円を貸付し、支援をしてきており、約6割が外国人世帯となっています。
今後も、社会福祉協議会と連携を取りながら、生活困窮者の方々への、自立に向けた支援を図ってまいります。
特別定額給付金について
次に、一人につき10万円を給付する「特別定額給付金」について、申し上げます。
家計への支援の柱となる特別定額給付金については、5月に申請書を郵送して以降、すべての対象世帯の方に受給していただくよう、広報紙への掲載、自治会役員や民生委員・児童委員の方々を通しての声かけ、回覧文書による周知等を実施してまいりました。
未申請世帯に対しては、7月下旬に申請を勧奨する「はがき」を送付したのち、電話による申請依頼を行うとともに、8月上旬には申請書を再送付するなど、申請の促進を図ってまいりました。また、全ての高齢者の未申請世帯を訪問し、可能な限り申請の依頼を行い、8月25日をもって受付を終了したところです。
申請状況につきましては、世帯申請率99.5パーセント、個人申請率99.8パーセントとなりました。
受給していただいた特別定額給付金については、家計の一助や地域経済の活性化のために有意義に活用していただきたいと考えております。
PCR検体採取センターなどの感染予防の取組について
次に、「PCR検体採取センター」などの感染予防の取組について、申し上げます。
新型コロナの感染拡大の防止と医療提供体制の維持に資するため開設した「小笠掛川PCR検体採取センター」は、県内外の感染状況を踏まえ、7月末までとしていた開設期間を小笠医師会、菊川・御前崎両市と協議の上、10月末まで延長としました。今後の動向によっては、再度の延長についても検討してまいります。
なお、現在までにセンター全体で94件の検査を実施しております。
PCR検査は、感染拡大防止に大きな役割を果たしていますので、先日開催された県知事との意見交換会において、さらなる検査態勢の充実などについて、県の対応を直接求めました。
また、「新しい生活様式」等の感染対応策のポイントなど、市民が安心して生活を送れるよう、広報紙やホームページ・SNS等において、随時、情報を発信してまいります。
SDGs未来都市の取組について
次に、「SDGs未来都市」の取組について、申し上げます。
第2次掛川市総合計画では、SDGsの視点を踏まえて、すべての人に優しい、持続可能なまちづくりを目指しています。
その具体的な取組として、内閣府のSDGs未来都市に応募し、選定を受けることができました。
SDGs未来都市の中心的な取組としては、地域の再生可能エネルギーを利用した地域新電力事業を進めており、7月7日に掛川市を含む発起人4者の出資による「かけがわ報徳パワー株式会社」を設立しました。
この地域新電力会社により、地域の太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる電力を買い取り、地球温暖化をはじめとする環境問題の解決につなげ、買い取った電力を、公共施設や市民・企業で地産地消することで、地域経済をしっかりと循環させていきたいと考えています。
さらに、地域新電力事業で得られる収益を、地域の課題解決に使うことで、協働によるまちづくりの進化や持続可能なまちづくりを推進するなど、地域循環共生圏づくりを進めてまいります。
GIGAスクール構想の進捗について
次に、「GIGAスクール構想」の進捗について、申し上げます。
これからの時代を生きる子どもたちにとって、ICTの活用は必須であり、これに対応した環境整備として、小学校・中学校のLAN回線を大容量通信に対応したものに改修し、全ての児童生徒への一人1台の端末整備を進めています。
小学校・中学校のLAN回線の改修については、全国的に同様の工事発注がなされ、材料の調達に時間が掛かっておりますが、10月に工事着手し、来年2月下旬までに完了を予定しています。
一人1台の端末整備については、ipadを導入することとし、8月20日の入札において、導入業者が決定いたしました。今後、本契約を結び、市内31校に順次導入をしてまいります。
また、GIGAスクールに関連した新たな二つの事業として、ポケットWi-Fiの整備については、今後、インターネット環境がない家庭向けに、1,200台のポケットWi-Fiを整備し、必要な時に貸与を行うほか、教室の外で行う授業での活用も考えております。
もう一つは、学校からのインターネット回線の増強工事です。現在の市役所を経由してインターネット接続している環境を、外部のデータセンターを経由して接続することで、従来の約10倍の回線速度を確保してまいります。
端末とインフラの両方を整備し、子どもたちのより良い学びにつなげてまいります。
茶販売促進緊急対策事業について
次に、「茶販売促進緊急対策事業」について、申し上げます。
新型コロナによる、茶の売り上げの減少や在庫の滞留が生じていることから、農林水産省の補助事業を活用した取組を、掛川茶振興協会において進めています。
事業の概要は、国庫補助金5,000万円を原資として、掛川茶振興協会構成員が抱える滞留在庫を購入し、深蒸しで高品質という掛川茶の強みを前面に出した、PR用の試供品を製造します。掛川市と包括連携協定を締結しているソフトバンクが展開する店舗において配付することで、新たな消費者層を掘り起こし、消費拡大の基盤づくりを図るものです。
事業の進捗状況ですが、約9トンの原料茶を10万個の試供品に製造する計画がほぼ固まり、9月から製造を開始する予定となっています。ソフトバンクでの配布開始は、12月からを予定しています。また、試供品を受け取った方に、QRコードで回答いただくアンケートも実施し、掛川茶に対するイメージや感想についての情報を集め、今後の販売戦略に反映いたします。
また、JA掛川市も本事業の採択を受け、掛川茶ひろめ隊がPR活動を行った自治体において、住民向けの試供品の配布や、学校給食への活用計画を進めております。JA遠州夢咲でも、関東地方の関係機関、飲食店、旅行業者等へ試供品を配布する予定です。
本事業をコロナ後における消費拡大の起爆剤とするため、関係者と一致協力して事業を推進してまいります。
下垂木地区まちづくり事業の進捗状況について
次に、下垂木地区まちづくり事業の進捗状況について、申し上げます。
下垂木地区まちづくり事業は、約60戸の宅地造成と商業施設を誘致する開発面積4.9ヘクタールの個人施行による土地区画整理事業と併せて、掛川市の道路整備、河川改修、公園整備を含む、総合的な生活基盤の整備を図るもので、下垂木地区まちづくり委員会と合意形成を図りながら進めてまいりました。
本年度は、第一期5ヶ年計画の最終年度となり、現在、都市計画道路「桜が丘通り線」「杉谷家代線」の整備、普通河川「一色川」の改修、「ゆうゆうパーク」の整備を進めております。
また、土地区画整理事業については、住居エリアの分譲が進み、現在26区画が分譲済となったほか、その中核施設となる商業施設「スーパーセンターオークワ」も、今月4日にオープンすると伺っております。
この下垂木地区まちづくり事業が、生活利便性の向上と快適で活気あふれるまちづくりとなるよう、掛川市としても協力して事業を進めてまいります。
菊川流域治水協議会設立と地域ぐるみの治水対策について
最後に、「菊川流域治水協議会」設立と地域ぐるみの治水対策について、申し上げます。
国土交通省は、令和元年東日本台風をはじめ、近年の気候変動による水害の激甚化・頻発化に対し、すべての一級河川において、河川管理者が主体となって行う対策に加え、住民や企業などあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる「流域治水」への転換を進める方針を示しました。
この方針に基づいて、菊川流域では、7月20日に、国土交通省、静岡県、掛川市、菊川市を構成員とする、全国で2番目となる「流域治水協議会」を設立いたしました。
今後は、掛川市の与惣川流域、菊川市の黒沢川流域の住居誘導地域をリーディング地区として、河道掘削等の河川における対策、雨水貯留等の流域における対策、避難等のソフト対策を検討し、菊川流域全体で緊急的に実施すべき流域治水の全体像を「菊川流域治水プロジェクト」として、本年度末までに策定・公表し、「流域治水」を計画的に推進してまいります。
以上、行政報告とさせていただきます。
令和2年9月1日