定例会の開会に際し、行政報告を申し上げます。
パラリンピックの掛川市出身選手の活躍について
はじめに、パラリンピックの掛川市出身選手の活躍について、申し上げます。
先週開幕したパラリンピックは、日本人選手の活躍が続いております。
パラ陸上の第一人者である山本篤選手は、28日に行われた走り幅跳びで、自らが持つアジア記録を更新する6メートル75をマークし、4位となりました。
また、今回がパラリンピック初出場となる杉浦佳子選手は、昨日の自転車競技のロードタイムトライアルで、見事、金メダルを獲得されました。
二人の選手とも大きな怪我を乗り越えて、いくつになっても挑戦できる姿を、私たちにみせてくれました。この姿は、掛川市民のみならず、すべての人に、勇気や希望、感動を与えてくれました。
明後日は、杉浦選手が出場するロードレースが行われます。さらなる活躍を期待しております。
新型コロナウイルスについて
次に、新型コロナウイルスについて、申し上げます。
この感染症は、現在、感染力が強いデルタ株への置き換わりが進み、全国で感染拡大が続いております。
静岡県の新規感染者は8月に入り急増し、緊急事態措置が適用されるに至りました。掛川市でも、新規感染者が相次いでおり、中東遠総合医療センターや療養ホテルのコロナ病床の空きが減り、自宅療養者が増えております。
感染対策の奇策はありません。ワクチン接種を進めるとともに、飛沫を避けるマスクの着用などの基本的な感染防止策を続けていくことが、収束に向けた近道となります。
大切な人の命を守るため、市長メッセージの発出などにより、市民の皆様と危機意識を共有し、協力し合って、この難局を乗り越えてまいります。
新型コロナワクチンの接種について
次に、新型コロナワクチンの接種について、申し上げます。
4月の医療従事者への接種開始以降、掛川市では、小笠医師会、小笠袋井薬剤師会、看護師の皆様などのご協力を得て、接種を進めております。8月からは、中東遠総合医療センターの支援により、エコパアリーナにおいて、袋井市と合同による集団接種会場を開設し、さらなるを加速を図っています。
この結果、これまでにのべ9万回を超える接種が終了し、12歳以上の方の約40パーセントが2回の接種を完了したこととなりました。
また、掛川市では、ワクチンの供給量に合わせ、国の定める接種順位を基本としながら、感染拡大にも考慮し、高齢者施設の従事者や基礎疾患のある方、さらにはエッセンシャルワーカーなどの優先接種も同時に進めてまいりました。先日、妊婦の方にも、安心して出産を迎えられるよう、優先的に接種券を交付することといたしました。
今後は、国から対象市民の約8割が接種可能なワクチンが確保できましたので、9月11日に30代以下の市民にも接種券の発送を行い、11月までに希望するすべての市民の接種が完了できるよう、努めてまいります。
第2次総合計画の改定について
次に、第2次総合計画の改定について、申し上げます。
ポストコロナ社会に合わせて、まちづくりの方向性を迅速に検討する必要があると考え、「ポストコロナ編」として、総合計画の改定を進めております。
コロナ禍が続く中、急速に変化する社会に対応し、持続可能な未来を実現するために、地域の歴史を尊重しつつ、新しいステージに挑むときであると考えております。生涯学習都市宣言や自治基本条例にある「希望が見えるまち・誰もが住みたくなるまち」の理念を実現するために、市民一人ひとりが輝き、いつでも、誰でも、何回でも、未来にチャレンジできるまちを目指してまいります。
今後、審議会や市民委員会、市役所内部の部会などを開催し、年度内を目途に改定を進めてまいります。
コロナ禍における生活支援及び事業者支援について
次に、コロナ禍における生活支援及び事業者支援について、申し上げます。
まず、低所得の子育て世帯に対する特別給付事業についてであります。この給付事業は、国と掛川市独自事業ともに、児童一人当たり5万円を給付するもので、5月に申請書を郵送して以降、子育て総合案内サイト「かけっこ」やホームページへの掲載を行うとともに、LINEでお知らせするなど、申請の促進を図ってまいりました。
この結果、8月末までに、国と掛川市の独自分をあわせて、延べ1,547世帯に、1億2,265万円を支給いたしました。今後も、受給対象者となる可能性のある方には、引き続きご案内し、申請の促進を図ってまいります。
また、新型コロナウイルスの影響で売上げが大幅に減少し、経営に影響を受けている中小企業が数多くあります。
これらの事業者の事業継続と雇用の継続を応援するため、国から交付される臨時交付金を活用して、国の制度である月次支援金、県の制度である応援金と協調しながら、支援していくことを検討してまいります。
掛川市公式LINE登録者への特産品プレゼント事業について
次に、掛川市公式LINE登録者への特産品プレゼント事業について、申し上げます。
この事業は、コロナ禍での市内経済の活性化を図るとともに、掛川市公式LINE登録者の増加を促進することで、効果的な情報発信ツールの拡充を進めるものです。
市公式LINEアカウントを友だち登録され、9月10日までの応募期間中、アンケートに回答していただいた市民の中から抽選で4千人に、掛川市の特産品等3千円相当の賞品をお送りしています。
応募開始以降、友だち登録者は、およそ1万2千人増加し、2万5千人を超え、キャンペーン応募者も1万2千人に上っています。
今後の情報発信ツールとして、LINEの有効性を高めつつ、賞品の提供元である市内約70の店舗の売上向上に加え、市民の消費の活性化につながることを期待しています。
来年4月に向けての子育て施設の整備について
次に、来年4月に向けての子育て施設の整備について、申し上げます。
大東大須賀区域認定こども園化の4園目となる「おおぶちそよ風こども園」では、6月に掛川市ステンドグラス美術館名誉館長の鈴木政昭様から寄贈されたステンドグラスを玄関ホールに設置するとともに、空調設備や厨房機器などの更新、改修が順調に進んでおります。また、おおぶち保育園と大渕幼稚園の連携を深め、スムーズに再編できるよう、職員の交流研修や園児交流を実施するなど、開園に向けての準備が進んでいます。
また、社会福祉法人ゆにわ会が運営する「千羽すぴか保育園」では、7月から造成工事に着手し、今月には新築工事安全祈願祭が行われます。
今後も待機児童対策のほか、多様な保育ニーズに対応するとともに、安心して子育てできる環境を整え、保育園等を希望する子ども達が等しく入園できる体制を整えてまいります。
大坂・土方工業用地西工区の進捗について
次に、大坂・土方工業用地西工区の進捗について、申し上げます。
昨年5月に着手した造成工事は、8月20日現在、進捗率が80%となり、完成予定の令和4年6月に向けて順調に進捗しております。
北側区画では、興国インテック株式会社が、6月に地鎮祭を行い、令和4年10月の新工場操業開始に向けて、建設工事が進められています。
南側区画の企業誘致につきましては、複数の企業からの要望により現場視察を実施しているほか、ダイレクトメールやオンライン商談など、コロナ禍においても可能な誘致活動を実施しており、早期の企業誘致につなげたいと考えております。
ウォーカブル推進都市の取組について
次に、ウォーカブル推進都市の取組について、申し上げます。
居心地が良く歩きたくなるまちなかづくりに向けた第一歩として、公共空間を活用し、まちなかでの楽しい時間を体験していただけるように計画を進めております。
今年度は、「歩いて楽しめるまち掛川」に向けた社会実験として、NPO法人かけがわランド・バンクに委託し、「つくるプロジェクト」と「つかうプロジェクト」の二つのプロジェクトの準備を進めています。
「つくるプロジェクト」では、ベンチ等を製作し、公共空間の「三の丸広場」や「ねむの木学園のやさしいお店」前の歩道に設置するものです。このベンチは、先日の静岡理工科大学建築学科の学生によるデザインコンペで提案されたものが原型になっております。
「つかうプロジェクト」は、設置されたベンチの周辺に、民間事業者が、キッチンカー等を平日休日を問わず仮設店舗として出店するものであります。
今回の社会実験は、日常的にまちなかで過ごす場づくりや、民間事業者の出店のきっかけづくりを目的としており、今後、新型コロナウイルスの感染状況を見ながら実施時期を検討してまいります。
流域治水事業について
次に、流域治水事業について、申し上げます。
昨年度から、掛川市が構成員として参画している「菊川流域治水協議会」と「天竜川(下流)流域治水協議会」が8月5日に合併し、新たに「遠州流域治水協議会」として発足いたしました。
この協議会は、天竜川、菊川、太田川などの5水系を対象として、流域の9市町村と国、県などで構成されています。
対象の5水系は、それぞれプロジェクトを策定済みですが、河川管理者による改修、農家の協力によるため池や水田の貯留活用など、共通の課題も多いため、好事例の共有を図りながら、プロジェクトを推進してまいります。
今年度の取組では、国土交通省の主導により、菊川水系において「田んぼダム」の実証実験を開始しました。これは、与惣川流域の水田13ヘクタールで、8月から11月の大雨の際に雨水を一時的に貯留し、時間をかけて排水するものとなり、洪水被害の軽減につながるものと期待しております。
下垂木地区まちづくり事業の進捗について
次に、下垂木地区まちづくり事業の進捗について、申し上げます。
この事業は、下垂木地区52.1ヘクタールにおいて掛川市が行う、道路整備、河川改修、公園整備と、個人施行による開発面積4.9ヘクタールの土地区画整理事業をあわせて行い、総合的な生活基盤の整備を図るもので、下垂木地区まちづくり委員会と合意形成を図りながら、第一期計画を平成28年度から5ヵ年計画で進めてまいりました。
第一期計画では、都市計画道路「桜が丘通り線」「杉谷家代線」などの整備、普通河川「一色川」の改修、都市公園「ゆうゆうパーク」の整備を行いました。「ゆうゆうパーク」は、7月にオープンし、防災機能も備え、近隣住民の憩いの場となっております。
この事業は、今年度より第二期計画として、さらなる生活利便性の向上を目指し、都市計画道路「桜が丘通り線」、市道「神田一丁田線」南工区などの整備を進めてまいります。
地域おこし協力隊の委嘱について
次に、地域おこし協力隊の委嘱について、申し上げます。
都市部からの若い人材を受け入れ、まちづくりへの支援と新たな視点や発想によりまちの活性化に取り組むため、掛川市としては初の地域おこし協力隊として芳川翠(みどり)さんを採用し、8月5日に委嘱を行いました。
隊員の活動期間は最長3年間で、中山間地を中心に誘客や地域活性化による関係人口の増加を目指す取組を行います。
また、隊員自身の才能や能力を活かした活動として、芳川さんの得意分野である写真撮影やSNSの活用を通じた掛川市の魅力発信にも期待を寄せております。
今後、市民と交流する中で、地域の資源や課題を見つけ、地域を元気にする新たな取組の企画、地域課題の解決に向けた提案、掛川市の情報発信など、「よそ者、若者」の新しい感覚で地域に新しい風を吹き込み、掛川市全体のまちおこしに取り組まれることを期待しております。
被災地の熱海市への支援について
次に、被災地の熱海市への支援について、申し上げます。
人的支援については、7月3日の発災直後から8月3日までの約1ヶ月間、消防応援隊として延べ59名の消防職員を派遣し、行方不明者の捜索活動を実施いたしました。
また、静岡県市長会による応援派遣として、掛川市から5名の一般職員を派遣し、国民健康保険業務や、被災者給付金事務等に従事いたしました。
義援金募金箱については、7月6日から昨日まで市内7箇所へ設置し、最終的な総額については、集計中でありますが、およそ100万円の義援金をいただいたことに、心から感謝申し上げます。今後、集まった義援金については、熱海市へお届けさせていただきます。
また、その後、西日本においても豪雨災害が発生したところであり、佐賀県武雄市へも危機管理の職員一名を派遣しております。
早期の復興を願うものであります。
遠隔操作による自動運転の実証実験について
最後に、遠隔操作による自動運転の実証実験について、申し上げます。
静岡県が実施する自動走行の実証事業について、東急株式会社が受託し、実証実験が始まることとなりました。この実証実験は、伊豆高原駅近くに自動運転車両を監視・操縦可能な「遠隔コントロールセンター」を設置し、県内の松崎町、伊東市、沼津市、掛川市の4都市で複数の車両の遠隔監視・操縦を行うものです。これにより、駅から観光地への交通課題の解決や観光のコンテンツに向けた検証を行うこととなります。
なお、自動運転を夜間に行うことは全国で初の取組となります。
今後、10月から実証実験が行われ、掛川市では12月に駅前通りを中心に遠隔型の自動運転が計画されております。掛川市としても、この実証実験の機会を通じて、未来の市民の移動手段について検討してまいります。
以上、行政報告とさせていただきます。
令和3年9月1日