新たに公開した掛け軸を説明する図書館職員(左)
平成14年に南郷地区の名家・河井家が市へ寄贈した「河井文書」の中から、明治時代の日本初の公害事件といわれる足尾鉱山鉱毒事件を告発した政治家、田中正造と、同時期に佐久間村(現浜松市)で起こった久根鉱山鉱毒事件の解決に尽力した河井重蔵との交友を示す資料などを紹介する特別展が10月4日から、大東図書館郷土ゆかりの部屋で始まりました。
鉱毒事件などを通じて交流を深めた正造が重蔵へ送った書簡をはじめ、今回初めて公開される掛け軸や書など約60点を展示。掛け軸には、全財産を社会運動に使い果たした正造らしさのうかがえるものや、河井重蔵の妻が多忙な夫に宛てた手紙の中に正造の活躍を報告するものなど、二人の関係を伺い知ることのできる資料が初披露されました。
また、二人が尽力した鉱毒事件の現場となった鉱山を、当時の資料や写真、絵はがきで振り返るパネルの展示もあり、郷土の偉人の活躍を身近に感じることができます。
特別展は11月20日まで開催。月曜休館(10月28日は特別休館)。開館は午前9時から午後5時(木曜日は午後7時)。入場無料です。
- 田中正造
1841年、下野国安蘇群小中村(現栃木県佐野市)に生まれる。県議を経て衆議院議員となる。6回当選。日本初の公害事件といわれる足尾銅山鉱毒事件を告発。議員辞職後の明治34年、同鉱毒事件を明治天皇に直訴。最後まで事件解決に奔走した。1913年没。
- 河井重蔵
1854年、上張村(現南郷地区)に生まれる。村議や県会議員を経て衆議院議員を3期勤める。県議時代、佐久間村(現浜松市)の久根鉱山の鉱毒事件の解決に取り組む。東海道線誘致や南郷小学校建設に尽力。1925年没。
2016年10月5日