総合トップ記事第364回 街路事業と土地区画整理事業を組み合わせた柔らかい発想のみちづくり

第364回 街路事業と土地区画整理事業を組み合わせた柔らかい発想のみちづくり

2012年4月27日更新

都市計画道路下俣二瀬川線街路事業・二瀬川地区沿道整備街路事業
(街路事業施行者:静岡県、沿道整備街路事業同意施行者:掛川市)

掛川市企画政策部 参与 新堀 光男

掛川市の土地区画整理事業は、昭和35年の「掛川第一土地区画整理事業(公共団体施行)」が始まりで、公共団体施行5地区、組合施行21地区(内2地区は個人施行)により整備され総面積は643.8ヘクタール、総事業費875億5,000万円が費やされ、名実共に「土地区画整理事業は都市計画の母」の言葉を実践し、掛川市の発展と共に都市基盤の一役を担ってきました。
現在、公共団体施行1地区、組合施行1地区、が施行されており、本年3月には個人施行の二瀬川第二地区沿道整備土地区画整理が完了しました。この沿道整備土地区画整理事業は従来の街路事業と区画整理事業をミックスした沿道整備街路事業として平成11年度に制度が創設されました。今回は、この二瀬川地区の事業をご紹介をします。
二瀬川地区沿道整備土地区画整理事業は、平成16年度の事業開始時点では、掛川市を含め全国の6市が事業化に踏み切りました。本地区は、国道一号線二瀬川交差点から北進し七日町・上屋敷・大池公園さんりーな体育館方面に向かう都市計画道路下俣二瀬川線(県道原里大池線)の名称で、昭和47年に都市計画決定されました。本地区の前後の道路区間は区画整理事業や用地買収事業により道路整備が進んでいましたが、約200メートルの区間は道路幅員7メートルと狭小で、国道1号に接していたこと、さらに住宅密集地区であったことから道路改良が行われず交通渋滞が慢性化していました。
平成5年度から未整備区間の道路改良するため「区画整理による面整備・用地買収方式や廃川敷(静岡県有地)の処理」を絡めた事業推進を図るため、事業手法の調査検討に入りました。
平成11年に敷地レベルの区画整理手法を活用した「沿道整備街路事業」が創設されたことを機に、道路改良工事を推進するよう道路管理者である静岡県と協議を開始し、平成11年度・12年度には沿道周辺の二瀬川地区内230世帯全体に拡大し住民意識調査(アンケート調査)を実施しました。
この住民意識調査の分析により、事業の可能性を広めつつ実施範囲の絞り込みを行い、沿道整備街路事業による道路整備の手法が決定され、平成16年度から事業着手に至りました。家屋移転戸数(27戸)も多い地区のため、工区(第一・第二)を分割し事業実施となりました。

二瀬川地区の区画整理内容
二瀬川第一地区二瀬川第二地区
施行面積0.39ヘクタール0.69ヘクタール
事業期間平成16年度から18年度平成19年度から23年度
事業費153,009千円515,000千円
移転戸数6戸21戸

「従前の土地」の概要の換地計画(案)平面図
換地計画(案)「従前の土地」の概要

「換地処分後の土地」の概要の換地計画(案)平面図
換地計画(案)「換地処分後の土地」の概要

 

第一・第二地区には、共に旧逆川廃川敷(県有地)があり、廃川敷用地を土地区画整理の手法である換地方式(飛び換地)で道路用地に付け替え、用地確保を図りました。
平成18年には、出来形確認測量・換地計画・換地処分を行ない、静岡県の発注による道路改良工事も完成し、第一地区の事業が完了しました。
引き続き第二地区の事業に入り、平成19年度から平成23年度までの5ヶ年事業として、第一地区と同様の事業手法により、第二地区21戸の家屋移転・区画道路築造・宅地整地工事等を実施し、本年3月に換地処分をおこないました。現在、関連工事として国土交通省浜松河川国道事務所で国道1号線の右折レーン化工事を施工中ですが、本地区の事業検討から19ヶ年・事業着手から9ヶ年の歳月をかけ、全ての工事が完了間近となっています。
住宅密集地区における都市計画道路の整備手法として、街路事業と区画整理事業をミックスした沿道整備街路事業は、地権者の意向(売却転出・土地の集積化等)に添える事業であったと思います。
長年の懸案であった当地区の道路改良には、関係地権者の皆様を始め、区歴代役員・区民の皆様方のご理解とご支援をいただきましたこと深く感謝を申し上げます。

二瀬川地区の整備前の道路のようす
二瀬川(第一・第二)地区沿道整備街路事業 整備前の様子
(写真中程から遠方が施行区域)

二瀬川地区の道路整備中のようす
二瀬川(第一・第二)地区沿道整備街路事業 整備中の様子
(写真手前側:第一地区、遠方:第二施行地区を望む)

 

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