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第446回 掛川市の新名所「菖蒲ヶ谷池記念公園」

2013年10月11日更新

掛川市管財課長 小林 隆

菖蒲ヶ谷池記念公園を空から見た写真。掛川城、掛川駅、掛川東高、菖蒲ヶ谷池跡、寺ヶ谷下池、新病院も映っている

先ずは、位置の確認です。

昨年の10月5日、今春5月1日に開院した「中東遠総合医療センター」の造成工事について本コーナーに投稿させて頂きました。今回は、その時にも触れました「菖蒲ヶ谷池(しょうぶがいけ)」というため池について投稿させて頂きます。
この度の新病院建設と菖蒲ヶ池工業団地の造成工事は、起伏のあるゴルフ場を平らにする大規模な造成工事であり、掘削した土砂を外に運び出さずに、開発区域内で処理をすることにより、工事費の抑制と工期の短縮を図ることを目的に、ゴルフ場の東側に満々と水を湛えていた菖蒲ヶ谷池というため池に土砂の埋め立てを計画いたしました。
当時は、この菖蒲ヶ谷池を水源として水田を耕作されておられる方もいらっしゃいました。その他にも、防災機能として又、市街地周辺に残された貴重な自然環境でもありましたが、新病院建設と言う大きな目的に、当時の下俣区長様をはじめ、多くの皆様にご理解を頂き、開発区域に取り入れることができ、安価で、予定期日までに工事が終了することが出来ました。
造成工事着手後に、地元説明会を幾度となく開催し、地元の皆様とお話をさせて頂く中で、先人の知恵と労力により築かれた、菖蒲ヶ谷池の西に隣接して一段高い寺ヶ谷下池というため池を繋ぐ隧道(すいどう)が話題となりました。その後工事が進み、池の水が抜かれ、池周辺の樹木の伐採が進み、隧道が出現すると、先人の偉業であるため池の築造と隧道が益々クローズアップされ、何とか、この歴史的な貴重な財産を後世に残したいとの気運が高まりました。
この様なことから、造成工事で埋まってしまう隧道を後世に語り継ぐためのモニュメントの建設が要望され、開発地南の高台に設置することで、モニュメントの形、モニュメントに刻む思い出の内容やデザインなどのついて、多くの方々のご意見を聞きながらモニュメント設置の計画が協働で進められました。

隧道前に立つ2人の男性
隧道前の筆者(奥)

水を湛える菖蒲ヶ谷池の様子
水を湛える菖蒲ヶ谷池

 

その後、造成工事が進むにつれ、開発地と掛川城天守閣をはじめ市街地が一望でき、遠方には富士山を望む、眺望抜群の場所に、公園の築造を計画しました。そこで、埋没した菖蒲ヶ谷池にも近いこの公園にモニュメントを設置し、公園名を「菖蒲ヶ谷池記念公園」といたしました。

公園建設では、色々とお力添えを頂きました関係者を代表して下俣区長様には公園名などの表示を自筆で書いて頂くなどのご協力をお願いさせて頂きました。
ここで、モニュメントに刻まれた「菖蒲ヶ谷池の思い出」をご案内いたします。

菖蒲ヶ谷池の思い出

平成22年(2010年)、掛川市・袋井市の新病院建設及び周辺の開発に伴い埋め立てられた菖蒲ヶ谷池は、水不足に苦しんでいた下俣地区を潤す水瓶として、安永元年(1772年)に築造されたといわれています。大正6年(1917年)にはより多くの水量を確保するため、松浦才次、大川原長吉、袴田銀蔵等によって、池の拡張と併せて寺ヶ谷下池より通する延長60メートルほどの隧道(高さ約120センチメートル・幅60センチメートル)が整備されました。
菖蒲ヶ谷池は、農業用水はもとより防火用水の確保にも寄与するなど、地域の生活を支える重要な役割を担い、人々にとって大切に管理されてきました。一方、子供達にとってはかっこうの遊び場であり、水がきれいなこともあり、夏には先輩より泳ぎを教わる場として利用されていました。また、年1回行われた秋の池干しには、魚やウナギを捕りに多くの人が集まり大変にぎわうなど、地域みんなのため池でありました。

高台から見た公園全景
公園全景(南から北)

人工の小山にトンネルがありその中を子どもが歩いている
噂の「隧道遊び」

次に、公園について説明いたします。

面積は約1,110平方メートル(約340坪)、二段敷地で当公園のシンボルとなる記念碑が1基、ベンチが7箇所、植栽樹木はシダレ桜が21本、6台が駐車できる駐車場、「隧道遊び」と称するトンネル遊びが出来る遊具が1基あります。

施設について、もう少し詳しく説明いたしますと、2段敷地とは、隧道で繋がっている上の寺ヶ谷下池と下の菖蒲ヶ谷池の地形差を表現しました。この二つの池は、モニュメントにも大きさを変えた石で表現してあります。公園内のベンチは富士山と掛川城を望める最高の眺望を活かして設置しました。樹木はシダレ桜を植栽しました。シダレ桜は掛川城公園に多く植えられており、掛川市を代表する掛川城と菖蒲ヶ池記念公園とが同じ桜で繋がる思いで植栽しました。公園の中央に位置する「隧道遊び」は築山にコルゲート管(強化プラスチック性の大きな管)が設置してあり、現存していた寺ヶ谷下池から菖蒲ヶ谷池に繋がる隧道をコルゲート管でイメージしました。

 

この公園は、その名のとおり菖蒲ヶ谷池にまつわる、先人の偉業を後世に伝えたいとの強い思いで築造いたしました。

是非多くの皆様に、掛川の新名所である「菖蒲ヶ谷池記念公園」にお出かけ頂き、最高の眺望をご堪能頂きたいと思います。

落成式の日に皆で集合写真
3月24日の落成式集合写真

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