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第483回 災害から命を守るのは「お茶の間」から

2014年6月6日更新

掛川市危機管理監兼危機管理部長 栗田 博

一般には「メタボ検診」といわれている40歳以上を対象とした検診を受けるようになってからの日課として、「犬に引っ張られてのウォーキング」と「血圧・体重」を記録することで健康寿命を延ばすことに多少の努力をしています。
もう一つ日課が増えます。6月4日、名古屋地方気象台が、「東海地方が梅雨入りしたとみられる」と発表しました。平年(6月8日ごろ)より4日早く、昨年(5月28日ごろ)より7日遅い梅雨入りです。
勤務中は勿論のこと、出勤前や帰宅後に、気象庁・国交省・静岡県等のホームページから雨量、河川水位の現況・予測や台風の進路等の情報を収集することです。
これから大雨による河川の氾濫や山・崖崩れなどの土砂災害の危険性が高くなります。
このため、掛川市では5月25日に一級河川「菊川」において水防演習を行いました。水防演習を通じて水防作業技術の錬磨と消防団(水防団)、掛川警察署など関係機関と連携を密にして、水防体制を強化し減災することを目的としたものです。
今年度は特に「若杉理事長の協力を頂き大東町建設事業協同組合と水防団による、河川から水が溢れ出ることを防ぐため、重機による大型(1トンパック)積み土のう工法を実施することができました。また、チェーンソーの使用方法を消防署の指導で事前研修をした後、道路上の大量の流木処理を消防団が行いました。多くの関係者の協力のもと実効性ある訓練ができました。

菊川河川敷でチェーンソーで流木を切る消防団の人たち
水防団(消防団)のチェーンソーによる流木処理

ショベルカーで1トンパックの大型の土のう袋を積み上げる訓練
大東町建設事業協同組合による大型積み土のう工法

 

また、掛川市内の土砂災害の危険箇所は約1,000箇所あります。昨年は「集中豪雨、局地的大雨」により、掛川市と災害時相互応援協定を締結している秋田県仙北市や伊豆大島で土石流により多くの尊い命が犠牲となりました。
このため、土砂災害警戒区域に指定された地区を対象に「土砂災害防災訓練」を平成19年度から実施しています。
6月1日、大須賀地区の西大谷区の区長、自主防災会長さんの協力をいただき全66世帯を対象に要援護者の避難支援、黄色いハンカチによる避難確認、避難路での誘導などの実動訓練を行いました。避難場所は西大谷区公会堂としましたが、土砂災害や河川の氾濫においては、夜間や大雨時に避難が困難となる場合があるため、公会堂だけでなく次善の策として、近くの頑丈な建物の2階以上に緊急避難するか、それも難しい場合は家の中でより安全な場所(がけから離れた部屋や2階など)に避難することも考える必要があります。
土砂災害への心得として、「日頃の備え」「早めの避難」「防災情報の収集」が重要です。

日頃の備え

  1. 家の周辺のどこが危険か確認しておきましょう。
  2. どんな状況が前兆現象か知っておきましょう。

早めの避難

  1. 大雨・洪水警報が発表されたら、避難準備をしましょう。
  2. テレビ、ラジオなどで土砂災害警戒情報が発表されたら、自主避難をしましょう。
  3. 市からの避難勧告があったら避難しましょう。

防災情報収集

  1. 災害発生時にどの情報収集手段が使えるかはわかりません。あらかじめ複数の情報収集手段の体制づくりが必要です。
  2. 同報無線戸別受信機(家の中で聞くことができる受信機)を必ず設置しておきましょう。
  3. 同報無線メールマガジン(携帯電話メールで同報無線内容を受信できる)に登録しておきましょう。
  4. テレビ、ラジオの情報に耳を傾けましょう。
  5. 状況によっては、掛川市から自主防災会長、区長の携帯電話へメールでお知らせします。(登録者のみ)
  6. 地区内での情報伝達方法(電話等)を確認しておきましょう。

これは、土砂災害だけでなく全ての災害にあてはまります。

次に、地震についてです。静岡県第4次被害想定が発表されました。掛川市内では、揺れや津波により多くの建物が全壊・倒壊し、死者800人の想定となりました。このため死亡者ゼロを目指し、市民・地域・企業・市民活動団体・行政が協働して、ハード・ソフト両面の事業を組み合わせ、防災体制の充実強化を図り、どこの地域でも誰もが安心して住めるまちづくりを目指す「掛川市地震・津波対策アクションプログラム2014」を策定しました。
この中の命を守るための主な事業を紹介します。

  1. 木造住宅耐震診断・耐震補助事業
    耐震評点1.0未満の建物の耐震補強工事などを支援します
  2. 家具転倒防止事業
    家屋内の家具を5箇所まで掛川市建築大工組合員が実施します
  3. 防災ベッドや耐震シェルターの設置を支援します
  4. 雨水タンクの設置を支援します
  5. ブロック塀等耐震改修を支援します。

(注)なお、詳細は担当課にお問い合わせください。

壁と家具を転倒防止ベルトで固定しているイラスト
家具固定

アーチ状のフレームが付いたベッド
防災ベッド

寝室をシェルターで囲っているイラスト
耐震シェルター

 

地震、津波、洪水、土砂災害等の各種の災害があります。
各家庭の「お茶の間」で、避難方法、避難場所、非常持ち出し品、備蓄品など防災・減災について今一度、話し合う時間を持って下さい

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