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第504回 趣味

2014年10月3日更新

掛川市学務課長 中根 純一

私が35年間夢中になっている趣味、「鮎の友釣り」をご紹介します。
友釣りは、名前のとおりオトリ鮎に糸をつけて泳がせ、同種である鮎(友)を針に掛ける釣りで、古来から伝わる日本特有の釣法です。
特徴は、一般的な釣りが魚の捕食活動を利用した釣法であるのに対して、友釣りは鮎特有の縄張りをもつ習性を利用し、野鮎の縄張りに侵入したオトリ鮎に攻撃をしてくる野鮎を針に掛ける釣りであることです。
友釣りの歴史は古く、記録によれば、今から三百年ほど前の京都八瀬川でのものが記録としては最も古いとされています。それよりも百年ほど後、伊豆の大仁で「友釣禁止の訴え」が代官所に出されるほどの漁果を得る友釣釣法が伊豆狩野川で開発されたという記録も残っているようです。以降、伊豆狩野川より利根川、長良川へと伝播していったと伝えられています。
この釣りのおもしろさは、一般的な釣りは魚が餌を食べるのをじっと待つ、いわゆる「待ちの釣り」に対して、友釣りは縄張りを持った野鮎のテリトリーへオトリ鮎を誘導していき、野鮎を挑発してオトリ鮎に対して攻撃させる「攻めの釣り」であること。さらには針に掛かった野鮎は次には元気なオトリ鮎になり、ローテーションさせることからゲーム性が非常に高いこと。研究し練習すればするほど上手になり、上手い下手が大きく釣果に現れるため、いわゆる「ビギナーズラック」が極めて少ないことがあります。

気田川の澄んだ水が流れている様子。奥には山も写っている。
ホームグランドの気田川の清流

後方の荷台を開けた四輪駆動車とバンが2台停めてある様子。
鮎釣りの必需品 四輪駆動車と大容量の荷室

 

私が友釣りを始めたきっかけは、波乗りに明け暮れていた20代半ばのころ、体力と度胸が勝負の波乗りは年齢的に何才まで続けられるだろうか、早いうちに80才位まで楽しめる趣味を探した方が良いのではと考えていたころのことでした。
ある時、知人に友釣りに誘われた。元来、釣りはあまり好きでは無かった。魚はくさいし餌も触りたくない、釣りは見た目も地味でかっこよくないと思っていた。が、誘いを断る理由も見つからず、とりあえず塩焼きが食べられると思いついて行った。ところが友釣りは餌を使わないし、魚体もスイカの香りがして臭みも無い。しかも釣りに使う仕掛けはほとんどが手作りで、趣味としての奥が深く一生涯の道楽になり得るだけの容量がある。
また、釣行のたびにお土産が付くのも魅力の一つで、新鮮な天然鮎は塩焼き良し、甘露煮良し、マリネ良し、ひもの良し、燻製良しでどれも美味。
さらには、現実社会から離れて清流に身を置き、ヒグラシを聞きながら気のあった仲間と酒を酌み交わし一日を過ごす。この趣味なら80才まで続けられると思い、始めてから既に35年が経ちました。

日除けの下でミニテーブルを囲い、食事をする男性達の様子。
楽しい昼食タイムと後半の戦略会議

テラスのようなところで、食事をしたり、お酒を飲む男性達の様子。
夜は山紫水明の館で釣り談義と美味しいお酒

 

友釣りの良い所だけを紹介しましたが、趣味をお探しの方は候補に入れていただけると良いかもしれません。
そういえば今は亡き作家の著書に、中国のコトワザとしてこんな記述があったことを思い出しました。
1時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい。
3日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。
8日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。

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