第505回 河川の種類と河川管理者

掛川市土木課長 山下 甫

近年、世界的な異常気象が話題になるなか、台風や集中豪雨による浸水被害や土砂災害が頻繁に発生しています。掛川市に於いても平成16年10月の台風22号・23号に拠る浸水被害が発生したほか、平成24年8月14日や平成25年4月6日の集中豪雨により被災を受けています。

掛川市でも昔から治水・利水等を目的に河川改修が行われていますが、現在でも多くの河川に於いて何らかの改修の必要が残っています。河川改修については、それぞれの河川の管理者が、直接の施工者か許可者かは別にして、改修方法等の決定に大きく関わっています。しかし、河川管理者と一口で言っても、河川の種類により河川管理者は国・県・市と別れており、河川の種類は河川法等により規定されています。

まず、河川法による河川として一級河川、二級河川と準用河川が有ります。「一級河川」とは、『国土保全上または国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川で国土交通大臣が指定したもの』と河川法では規定されています。「二級河川」は『一級河川以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で都道府県知事が指定したもの』をいいます。また、「準用河川」は『一級河川及び二級河川以外の河川で、市町村長が指定する』こととなっています。

市内では一級河川で国が直接管理している直轄河川が菊川水系の菊川、牛淵川、下小笠川の3河川13,180メートルあります。また、一級河川の内国土交通大臣が都道府県知事に管理を委託した指定区間に当たる河川として、高松川、新田川、与惣川、下小笠川、畑ヶ谷川、谷本川、亀惣川、佐束川、小貫川、上小笠川、栗原川、五百済川の12河川28,900メートルがあります。

二級河川は都道府県知事の管理となり、市内では竜今寺川、東大谷川水系2河川、弁財天川水系7河川、太田川水系13河川の23河川129,250メートルあります。（表－1参照）

準用河川は市町村長が管理し、河川法中の二級河川に関する規定を準用することとなっています。市内では75河川118,450メートルがあります。（表－2参照）

これ以外にも河川法によらない河川とし普通河川が掛川市普通河川条例により規定されております。掛川市普通河川条例では公共の利害に関するものであれば、湖沼、溜池、用排水路、貯水池等も普通河川と規定しています。主要な普通河川だけでも220河川280,179メートルあります。

それぞれの河川の改修については、前記の河川管理者によるほか、河川管理者以外の者が河川管理者の許可を受けて、河川の形状の変更や河川付属物の新設、変更を行う場合があります。

これまで述べたように河川の管理者としては、国、県、市が有り、それぞれ実際の河川の管理改修は国土交通省浜松河川国道事務所、静岡県袋井土木事務所、掛川市役所が行っています。しかし、河川環境の維持については河川周辺にお住まいの皆さんによる、奉仕作業や河川愛護事業に拠っているのが実情です。掛川市では安全安心な住環境の保持のために、河川整備をすすめておりますので、河川環境の維持について今後ともご理解ご協力をお願いいたします。

表1 掛川市内の県管理河川

（表2）掛川市内の市管理河川