総合トップ記事第532回 スローライフと般若心経

第532回 スローライフと般若心経

2015年3月27日更新

掛川市IT政策課長 松浦 伸弥

15年ぶり甲子園 必勝の願い届かず

観客席からマウンドを見下ろした写真。席は満員で、手には青いメガホンを持っている。

平成21年3月27日、第81回選抜高等学校野球大会に掛川西高の応援に出かけました。第66回選抜大会以来、実に15年ぶりの出場です。対戦相手は21世紀推薦枠で春・夏通じて初出場の宮城県利府高校とあって掛西の勝利を確信していました。しかしながら、掛西ナインが目覚める前に試合の体勢は決まり、4対10の完敗でした。私は、ガクッと気が抜けたのを覚えています。(この後、利府高校は準決勝まで勝ち上がりました。)

写真:掛川西高野球部父母会

掛川西と書かれたプラカードの後を更新する野球選手たち

応援席の写真。青い応援ユニホームを着たブラスバンド部と、青いメガホンで声援を送る生徒たち

京都 醍醐寺 如意輪観音像

如意輪観音坐像の写真

「如意輪観音坐像」 醍醐寺 重要文化財
像高さ50センチの木像 平安時代の作品 重要文化財 丸くてふくよかなお顔、6本の手であらゆる願い事をかなえる 如意宝珠と法輪を携える

後の予定もなく、妻の希望で京都方面をドライブすることにしました。世界文化遺産登録の京都醍醐寺に行き、私は興味もないままブラブラと仏像を見て回っていました。帰り間際、妻が如意輪観音様の前で「般若心経」の読誦を始めました。
その仏像は、ポッチャリとして、とても色っぽい体型の観音様でした。妻の読誦には大変感心したもので、私「そんなに信心深かったっけ?」、妻「唱えていると気持ちが落ちつくのよ」とのこと。
その頃少し仕事で悩んでいた私に、観音様は「何をつまらないことで、ぐちゃぐちゃ悩んでいるの?私が何とかしてあげるわよ」と心の中に優しく語りかけてくれました。
こういう気持ちが仏教なのでしょうか?そう言えば、ジョン・レノン(「イマジン・Imagine」の歌詞は有名)もアップル創設者スティーブ・ジョブズも「般若心経」を心の拠り所にしていたと本で読みました。

五重塔の外観
醍醐寺 五重塔


般若心経の1ページ
般若心経

262文字に込められた生活の教え

それから、1年半たった頃、NHKEテレ「100分で名著 般若心経」が放映されました。4回編成の番組で、解説では日本人にとって最もなじみが深いお経であり、今、改めて若い人達を中心にその価値が見直されているとのことでした。
膨大な般若経典のエッセンスを262文字にまとめたもので、このくらいの長さなら、決意さえすれば暗唱できますし、写経でも、このくらいの文字数なら一字一字丁寧に書くことができる気がします。

おまじないの始まり

般若心経はわずか262文字のお経ですが、その中の文字はとても奥深いものです。
般若心経の最後は、サンスクリット語の原文を音写した呪文とのことですが、とりあえず意味もわからない私ですが、唱えてみようと思っています。

「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶」
ぎゃーてい ぎゃーてい はーらーぎゃーてい はらそうぎゃーてい ぼーじーそわか
なにかありがたいような気がします。

ゆっくり、ゆったり、ゆたかな心で

定年後の人生をいかに生きるべきかは、定年間近になれば誰もが考える問題です。

そんなとき知人から松野宗純著『定年後は般若心経で悔いなく生きよう(亜紀書房)』を紹介されました。松野氏は昭和3年生まれで、元エッソ石油株式会社副社長を経て28年間勤めた同社を定年退職し、禅の道に。金沢の大乗寺で板橋興宗禅師より出家得度されました。

『人生80年の時代であり、時間にすると70万時間。働く期間を20歳から60歳とすると、一生の労働時間は7万2千時間。人生70万時間のうち、わずか10%が労働時間。仮に60歳で退職すると、80歳までメインテーマの仕事を失ったまま、なお20年生きねばならない。1日のうち、睡眠、食事、入浴などの時間を除き、自由に使える時間を仮に10時間とすると、20年間で7万2千時間、実に生涯の労働時間に匹敵する自由時間を持つことになる。60歳以後の人生は、この長い自由時間の過ごし方一つで、充実もし、味気なくもなる。

(中略)

その7万2千時間を「与生(与えられた人生だから、大切に生きる)」「預生(預かった人生だから、その利息を社会に貢献、還元する」「誉生(他人から誉めらなくとも、自ら誇りある人生を送る)」により生きていくべきだ』と書かれていました。

定年後は「与生・預生・誉生」によるライフスタイルで悔いなく生きていこうとの導きは、ものと心を大切にし、急がなく、ゆとりと質の高さで「ゆっくり・ゆったり・ゆたかな心で」というスローライフの考え方と多くの共通点があることを知りました。

掛川市は全国に先駆け、生涯学習運動を通じたまちづくりを進めてきたまちです。

今後とも、その集大成の一つとしてのスローライフ(ライフスタイル)を、実践していきたいと思います。

寸感ホット 旅のおまけ

永平寺の石像。地面には雪が残っている。
寛元2年(1244年)、道元禅師によって開創された永平寺

雪の残る階段の奥に永平寺唐門
まだ雪の残る永平寺唐門(平成27年3月14日)

金沢駅プラットホームに並ぶたくさんの人たちと新幹線
金沢駅プラットホーム

当日(3月14日)は、北陸新幹線金沢駅の開業日。
せっかくなので、足を伸ばして金沢駅へ。
昭和63年3月13日の掛川駅開業の賑わいを思い出しました。

このページと
関連性の高いページ