総合トップ記事第664回 掛川市の財政状況について~平成27年度決算における他の自治体との比較から~

第664回 掛川市の財政状況について~平成27年度決算における他の自治体との比較から~

2017年6月2日更新

掛川市総務部付参与兼財政課長 高柳 泉

財政課では、掛川市の財政状況について、県内自治体や掛川市と人口や産業構造が類似している団体31市(注)と比較し、ホームページに掲載しています。

今回は、その中からいくつかの項目をピックアップしてみます。
なお、他団体と比較するため平成27年度決算数値にて比較しています。また、平成27年度類似団体の数値が前年度と比較し大きな変動があるのは、平成27年度より類似団体の基準が変わったことによるものです。

(注)類似している団体とは(平成27年度基準)
人口
10万人以上15万人未満
産業構造
第2次・第3次人口が90パーセント以上、かつ第3次人口が65パーセント未満
該当団体
静岡県掛川市、藤枝市、焼津市、富士宮市(31市)
愛知県小牧市、刈谷市、瀬戸市、半田市、東海市 ほか22市

グラフ凡例。赤線 掛川市。黒線 類似団体平均値。上下矢印 平成27年度類似団体内最大・最小値

1. 財政力指数0.91(類似団体内順位 高い方から6番目、全国平均0.50、静岡県平均0.79)

標準的な行政活動を行う財源をどのくらい自力で調達できるかを表す指標。
この指数が高いほど財政力が高い。

財政力指数をグラフに表している。平成23年から平成27年まで。・当市は0.91と他団体と比べると比較的高い数字となっています。・しかし、平成21年度までは「1」を超えていましたが、リーマンショックの影響により市税収入が減少したことから平成21年度以降からは「1」を下回っています。・市では、企業誘致を積極的に進めるとともに定住人口増を目指し、市税収入の増加を目指します。

平成23年 掛川市0.93・類似団体平均0.72
平成24年 掛川市0.90・ 類似団体平均0.70
平成25年 掛川市0.91・類似団体平均0.71
平成26年 掛川市0.91・類似団体平均0.71
平成27年 掛川市0.91・類似団体平均0.80

  • 当市は0.91と他団体と比べると比較的高い数値となっております。
  • しかし、平成20年度までは「1」を超えていましたが、リーマンショックの影響により市税収入が減少したことから、平成21年度以降は「1」を下回っています。
  • 市では、企業誘致を積極的に進めるとともに、定住人口の像を目指し、市税収入の増加を目指します。

2. 経常収支比率82.8パーセント(類似団体内順位 低い方から7番目、全国平均90.0パーセント、静岡県平均86.6パーセント)

財政構造の弾力性を測定する指標。
これは人件費、扶助費(注1)、公債費(注2)などの経常経費に、市税・地方交付税(注3)などの経常一般財源(注4)がどの程度充当されたかを見る指標。
比率が低いほど、普通建設事業費(注5)等の臨時的経費に充てる一般財源に余裕があり、財政構造が弾力性に富んでいることとなる。

注1 扶助費
社会保障制度の一環として、児童・高齢者・障がい者・生活困窮者などへの支援に必要な経費
注2 公債費
過去に借り入れた市債の元利償還金等
注3地方交付税
本来は地方税だが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての団体が一定の行政水準を維持できるよう、国が代わって徴収し、一定の合理的基準により地方に配分する交付金
注4 経常一般財源
毎年決まって入ってくる収入のうち、特に使い道が決まっていない収入。主に市税や地方交付税
注5 普通建設事業
道路・橋梁や学校など社会資本の整備に要する経費

経常収支比率をグラフに表している。平成23年から平成27年まで。

平成23年 掛川市82.2・類似団体平均85.0
平成24年 掛川市84.7・類似団体平均86.4
平成25年 掛川市82.8・類似団体平均86.0
平成26年 掛川市84.2・類似団体平均85.7
平成27年 掛川市82.8・類似団体平均87.9

  • 当市は82.8パーセントで、他団体と比べると比較的高い数値となっております。
  • 市では、子育て支援にチカラを入れていることや、高齢化等により経常経費は増高していく見込みのため、この比率は今後、上昇することが予想されます。
  • 税収の増のほか、事業の見直しによる経費節減、市債の借入額抑制による公債削減を目指します。

将来負担比率80.0パーセント(類似団体内順位 高い方から6番目 全国平均38.9パーセント 静岡県平均25.3パーセント)

将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高が、市税や地方交付税などの通常経常的に収入される収入の、何倍にあたるかを表す指標。
将来、財政を圧迫する可能性の度合いを示すもので、この指標が350パーセントを超すと、早期に健全化すべきとして「財政健全化計画」の策定が義務付けられる。

将来負担比率をグラフに表している。平成23年から平成27年まで。

平成23年 掛川市91.1・類似団体平均60.5
平成24年 掛川市123.5・類似団体平均55.4
平成25年 掛川市102.7・類似団体平均42.2
平成26年 掛川市94.2・類似団体平均33.3
平成27年 掛川市80.0・類似団体平均15.8

  • 当市は80.0パーセントで、基準となる350パーセントを大きく下回っていますが、他団体と比べると高い数値となっております。
  • これは当市は面積が広く、また公共下水道など遅れていた社会資本整備を「市債」を活用し整備してきていることや、新病院を建設したことなどによるものです。
  • 引き続き、市債の新規借入額を抑制するとともに、市税収入の増を目指します。

平成27年度の決算指標でみると掛川市の財政は、他市と比べると「財政力は比較的高く、弾力性も比較的ある。」といえます。

ただ、将来世代に対する負担は、イエローカードを示す国の基準である350パーセントを大きく下回るとはいえ、他市と比べると「比較的高い。」ものとなっています。

掛川市第2次総合計画では、1 掛川への新しいひとの動きをつくる 2 掛川にしごとをつくり安心して働けるようにする 3 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる 4 明日の掛川をつくり豊かで潤いのある安心な暮らしを守るの4つの戦略を柱として、「希望が見えるまち・誰もが住みたくなるまち」の実現を目指しています。

そのためには、安定した財政運営が必要となってきます。
企業誘致や定住人口を増やすことによって安定した市税収入の確保を図るとともに、将来世代の負担軽減・新たな市民ニーズ等に応えるための財源確保のため、既存の事業を見直すことが必要となってきています。

なお、今回の指標を含め、掛川市の財政状況につきましては、財政状況資料集に掲載しておりますので、ご覧ください。

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