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第715回 大井川源流視察記

掛川市お茶振興課参事兼緑茶効能研究担当専門官 後藤 直己

趣味の渓流釣りが高じて、本格的ではないが2年ほど前から山岳渓流釣りに行き始め、昨年夏にはここで紹介する大井川の源流部、二軒小屋や早川源流の広河原をベースキャンプに上流部へ入りイワナ釣りを楽しんでいる。昔はウナギがここまで遡上していたと聞いた。木の切り出しで生計を立てていた伐採小屋の人たちもきっと食べていたであろう。そこに発電のための堰堤やダムを建設し魚類の遡上ができないようにしてしまったのは、便利な生活を求めた私たち自身の責任か。

前置きはこのくらいに、昨年10月「大井川の源流を学ぶ視察会」に参加し、感じたことを書くことにしました。
二軒小屋に泊まれて参加費も安い!お気楽な気持ちで、「将来渓流釣りができなくなるのは困るなあ」とのよこしまな思いから参加した。しかし、現実は甘いものではなく、私達の飲み水を提供する源流部が危機的な状態になりつつあることを目の当たりにしました。

大井川の源流は田代ダムの上で東俣、西俣に分かれ、上流に向かうと西俣堰堤、東俣堰堤が見えてきます。この間にリニア新幹線が建設されます。その計画路線が二軒小屋と東俣堰堤、西俣堰堤の間の地下に建設され、静岡県内はわずか10キロメートルだけリニア本線がかすめる予定です。そして問題は、工事に伴い最大で毎秒4.99トンに加え毎秒2トンの水が大井川源流から消え長野県、山梨県へ流出してしまい、私たちの生活用水を脅かすことになるようです。川勝平太静岡県知事が怒り心頭となりJRに抗議していることも、至極全うであると改めて思いました。

東京電力の職員4人が住民に説明している
東京電力職員による発電システムの
説明の様子
水が勢いよく流れている滝
二軒小屋直近にある田代ダム
取水口横から勢いよく流れ出す
大井川本流

大井川水系のダムは14箇所、大井川の水を利用した発電所は全部で16箇所あり、そのうち、東電の発電所は2箇所、中電が13箇所、東海パルプが1箇所となっています。ここで、なぜ東電の発電所があるのか不思議ですよね。
実はこのダム、大正10年(1921)に早川電力(後に東電に吸収)が着工し昭和3年(1928)に完成したもので、当時は川の占有権は先取特権として、作った者勝ちだったんですね。そこで、大井川本流から田代ダムに引き込まれた最大で毎秒4.99トンの水は導水管を通じて静岡県境を超え、田代第1、第2ダムで山梨県内の一般世帯8万戸弱の1年間分の使用電力をまかない、早川へ放流され富士川へ・・・私たちの目にすることのない最上流部で、大井川の水が消えて行っています。

 

緩やかに水が流れている沢
田代ダムに流れ込む沢

豪雨の時には一晩でこのように州ができてしまうくらい土砂が堆積します。
この下に導水口があり最大毎秒4.99トンの水が山梨県に流れ込んでいます。

 

ここで、リニアの話になりますが、前述の毎秒4.99トンの取水に加え、リニア工事によりさらに毎秒2トンの水が山梨県、長野県に流れ出すような工事計画になっており、川勝知事は全量大井川に戻すよう訴えているわけです。しかし、JR側の言い分は新幹線ひかりの停車も増えるという、論点がずれた良い訳が新聞紙上に掲載されました。毎秒2トンの水ってピンと来ませんよね。具体的には、50メートルプールが10分足らずで満水になる量で、焼津市から掛川市までの世帯の生活用水を賄っています。
すごい量だと思いませんか。

砂利が溜まっている様子、大きな石もある
元は川だったのに、土砂が堆積して
しまった場所川水は地下を浸透している

砂利が溜まっている様子

 

今回の視察では、発電するために川から汲み上げ、下流の発電所に運び発電する。その発電所が16もある。取水堤から放流場所までの間の川は水枯れしてしまう。そんな現場や山の崩落により土砂が堆積し、底まで100メートル以上あった谷がここ何年かで道路と同じ高さまで川底が上がってしまった場所。リニアの残土処分場となり自然の景色がすでに人工的に変わってしまった燕沢など、とても考えされられました。
この研修会は『大井川の清流を守る研究協議会』により毎年秋に源流域、中流域、下流域と分けて開催されています。構成市町の5市2町にお住まいでしたら参加できます。是非皆さんも参加してみてはいかがでしょう。
『大井川の清流を守る研究協議会』
構成市町:島田市、御前崎市、牧之原市、掛川市、菊川市、吉田町、川根本町

大人の人が溜まった砂利等を撮影している様子
燕沢(左)と燕沢残土処理場の様子

残土処理場。砂利で出来た道がある

素人目には、たったこれだけの面積で残土処理がまかなえるかは疑問
他にも残土処理に予定されている場所あるそうな・・・

 

手前に広い芝生の広場椅子もある。奥に大きな家がある
宿泊先となる二軒小屋

食事、風呂ともに満足度”高”
ただし、山荘なんで相部屋、二段ベッドです。

 

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