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令和7年6月所信表明

2025年6月9日更新

 令和7年6月市議会定例会の開会にあたり、市長として、これからの市政運営に向けての基本姿勢と所信を述べさせていただきます。

市政運営の基本姿勢

 はじめに、私の市政運営の基本姿勢について述べさせていただきます。
 四年前、生まれ育った故郷、掛川の市長に就任しました。
 対話とチャレンジという二つのキーワードを大切にしながら、100回以上の対話を積み重ねる中で、「人」と「環境」の持続可能性が最も重要であると考え、市民の皆様と共にまちづくりを進めてまいりました。
 その四年間の活動に対し、今回の選挙期間中、市民の皆様と直接対話をさせていただく中で、期待の声だけでなく、厳しいご意見もいただきました。
 二期目の市政運営をスタートするにあたり、いただいた意見を真摯に受け止め、より良いまちづくりの実現に向け、更に前へ進めていかなければならないと強く決意した次第です。
 掛川市は本年、市制20周年を迎えるとともに、今後、10年のビジョンを定める第三次総合計画の策定年度でもあります。
 掛川市の明るい未来を創造する総合計画の策定にあたっては、これまでどおりの考え方に縛られず、未来思考で知恵を絞り、市民の皆様との対話の中で、お約束した持続可能なまちづくりの実現に向けた計画を練り上げてまいります。

変わらぬ政治姿勢

 二期目においても、変わらぬ考えがあります。これは、私が政治を志すこととなった経験から生まれたものです。
 14年前に発生した東日本大震災において、大津波により甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市で四年間復興の仕事に関わりました。
 その時、津波により家族や友人を失ったある方から、「生かされた私は、命を亡くした方の分まで頑張っていかなければならない、一度きりしかない人生を悔いの残らないようにチャレンジして生きていかなければならない」ということを教えていただきました。
 このチャレンジという言葉が、私が政治を志すきっかけであり、原点にもなる言葉です。
 二期目の市政運営においても、引き続き「チャレンジ」というキーワードを大切にしながら「対話志向」、「未来試行」、「柔軟思考」という三つの「しこう」で市政の舵取りを担っていく所存です。

誰もが何度でもチャレンジ出来るまちを目指して

 次に、私が思い描く掛川の未来について申し上げます。
 現代は、掛川市だけでなく、日本全国の地方自治体が、人口減少や高齢化の影響により、働き手や地域の担い手不足、文化、伝統、産業の継承や存続など、数多くの課題を抱えております。そして、このような状況は、残念ながら今後も続いていくと推測されます。
 しかし、このような厳しい状況だからこそ、何でも縮小していくのではなく、知恵を集め、テクノロジーを活用し、力を合わせて明るい未来を切り拓いていかなければなりません。

 私はこれまで、様々なチャレンジを行う市民と出会いました。
 障がいを抱えながらも進学の夢に向かって、大学受験に合格し、親元を離れて大学生活を送り始めた若者がいます。
 75歳以上のメンバーで構成する野球チームで活躍する元気な皆さん。
 将来の大きな夢に向かって、勉強やスポーツ、芸術活動に打ち込む小中学生。
 伝統文化のお祭りで、大切な役割を担っている外国人。
 大きな病気を患っても、家族の支えに感謝しながら前向きに生きていく人。

 こういったチャレンジを、年齢、性別、国籍が違う、多種多様な全ての人が、一度ではなく何度もチャレンジできるまち、こういったチャレンジを、市民みんなで応援出来るまちを作ることが出来れば、困難な状況を乗り越え、限界を突破し、掛川は今よりもっと素晴らしいまちになると確信しています。
 チャレンジには勇気が必要ですが、人生においては、誰にとっても、今この瞬間が最も若く、未来に向かってチャレンジできるタイミングであります。
 掛川市は、全力を挙げて、こういったチャレンジが出来る環境の整備や御支援を進めてまいります。

世界に誇る持続可能なまちをめざして

 これまで積み重ねた対話の中で、「現在の暮らしや生活がこれからも続けていけるのか」という不安の声を多くいただきました。
 誰もが何度でもチャレンジできる社会の実現には、環境面だけでなく、地域活動や自治会活動、茶業・農業や経済活動など、あらゆる面において人の担い手の点でも持続可能なまちである必要があります。
 持続可能なまちは、何でも縮小するまちではありません。新たなアイデアを生み出し、テクノロジーを活用し、知恵を絞ることで、はじめてそのようなまちが実現できます。
 誰もが将来にわたって持続可能に暮らせるからこそ、それぞれのチャレンジに安全で安心して取り組むことができるのです。
 掛川市を世界に誇る持続可能なまちにするため、引き続き市民の皆様との「対話」を大切にしながら、未来を見据え、柔軟な思考でまちづくりを進めてまいります。

 次に、私が思い描く掛川市の未来の姿の実現のための、5つのテーマとプロジェクトについてお話させていただきます。

未来型の新たな公共交通の導入

 一つ目は、テクノロジーを活用した新たな公共交通の導入です。
 持続可能なまちづくりを進める上で、子どもから高齢者まで安心して暮らせる都市基盤の整備は必要不可欠です。
 中でも、人々の日常生活において、買い物や通勤・通学、あるいは通院といった移動における公共交通の整備は、車を持たない市民にとっては非常に重要です。
 しかし、公共交通の一つである自主運行バスは、利用者数の減少や、赤字収支の拡大といった課題に直面しています。
 このような状態を改善するため、AIを活用したオンデマンド交通を導入し、新たな地域公共交通体系を構築してまいります。

空き家の利活用促進と子育て世代の住まい取得支援

 二つ目は、空き家の利活用促進です。
 人口減少により、空き家の増加が懸念されています。野村総合研究所の推計によれば、13年後の2038年には、全国の空き家が2303万戸となる予想です。
 これは、三軒に一軒は空き家となる状況であり、お住いの両隣の家のどちらかが空き家となってもおかしくないという状況です。
 私は、一期目の任期中からも、この課題の解決に向けて取り組んでまいりました。
 空き家を財産と捉え、経済的負担の大きい若者・子育て世帯の住まい取得支援等に活用し、子育て世代に選ばれるまちを目指してまいります。
 さらに、移住相談会や移住体験ツアーにおいても、空き家を活用することで、集合住宅だけでなく、一軒家の選択肢を広げることにより、子育て世代やペットを飼いたい方などニーズに応え、掛川市への移住促進を図ります。

誰もが楽しめる賑わいの場創出

 三つ目は、誰もが楽しめる賑わいの場の創出です。
 掛川という場所であるからこその都市開発を実施し、掛川の魅力、活力、賑わいを高めることで掛川愛による定住・関係・交流人口を増加させます。
 具体的には、花鳥園に隣接する南西郷地区の土地利用を地域の皆様と共に検討し、立地や地形を活かした「ここにしかない」商業・レジャー施設の誘致によって、市内外から多くの来訪者を呼び寄せます。
 また、中心市街地にあっては、掛川城三の丸広場の整備活用案を検討することや、市内各所と相互に連携し、活発な交流を促すことで、掛川の魅力を多くの方に感じていただき、関係人口の増加につなげてまいります。

歴史観光資源の活用による南北の均衡ある発展

 四つ目は、歴史観光資源の活用による南北の均衡ある発展です。
 掛川には、掛川城・高天神城・横須賀城の掛川三城や、松ヶ岡といった多くの国・県・市の指定等文化財があり、こういった文化財を保存・活用することで、歴史観光資源を活かした賑わいづくりを進めてまいります。
 特に南部地域においては、三熊野神社大祭祢里行事が、令和7年4月に静岡県指定無形民俗文化財の指定を受け、さらに、国の重要無形民俗文化財指定を目指していくことや、横須賀城築城450周年を契機とし、掛川市南部の魅力を発信することで、地域振興を図り、南北の均衡ある発展を進めてまいります。
 また、掛川の歴史文化を愛し、誇りをつなぐまちを目指すため、これらの伝統と誇りを次世代に継承する担い手育成にも取り組んでまいります。

世界一のごみ減量都市、ゼロ・ウェイストのまちを目指して

 五つ目は、世界一のごみ減量都市、ゼロ・ウェイストのまちを目指してです。
 掛川市は、環境の持続可能性に向け、限りある資源を大切に使う資源循環社会への転換を進めています。
 一人ひとりが、資源の消費を抑え、環境にやさしく、無駄なく豊かに暮らす地球にやさしい生活を実践してきたことで、環境省が実施する実態調査でごみ排出量の少ない自治体全国2位を獲得し、すでに国内トップレベルの水準であります。
 掛川市の環境政策は、日本国内において進んでおりますが、「もったいない」の考えをさらに進め、製品プラスチックや使用済み紙おむつの資源化等を次のステージへステップアップし、世界一のごみ減量都市を目指してまいります。
 また、令和12年4月の供用開始を目指す新たな廃棄物処理施設についても、市民の理解をいただきながら、衛生施設組合を構成する菊川市と連携し、施設整備に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

人口減少社会への対処、世界に誇る持続可能なまちを目指して

 掛川市の人口は、日本全体の人口の約千分の一です。
 日本全体の年間出生数は、100万人台から減少を続け、直近では70万人を割り込み、過去最低水準を記録したところです。
 掛川市もそれに合わせるように、1,000人を維持してきた出生数が、令和6年度に、700人を割り込む結果となりました。
 このような人口動態において、掛川市は、いわば日本の縮図と言えます。
 今、日本全体が直面している、少子・高齢化による人口減少は、喫緊の課題であります。
 掛川市においても少子化は進んでおりますが、人口減少率で見た時、減少率の低さは、県内市町の中で、上から3番目、合計特殊出生率では、高い方から4番目に位置しており、善戦していると言えるかもしれません。
 これは、これまでに進めてきた、認定こども園の整備や、医療費の無償化等の成果であると承知しております。
 今後は、こどもの居場所の確保・充実事業や、こども家庭センター創設によるワンストップ相談窓口での切れ目ない支援の充実といった子育て施策や、特色ある小中一貫校の整備、全国に先駆けた部活動の地域展開など、すべての子どもが夢を描ける未来に向けた教育施策を進めると共に、移住施策や、企業誘致を通じて雇用を確保し、転入者増加を加速させることで、人口減少を最小限に抑え込むように全力を尽くしてまいります。
 私は、人口減少対策や、先ほどお話した五つのテーマ・プロジェクトを含む様々な取り組みを市民の皆様と共に進めていけば、他の街が真似したくなるような、世界に誇る持続可能なモデル都市が作れると確信しております。
 持続可能なモデル都市の実現には、私一人のチャレンジだけではなく、市民ならびに議員の皆様、そして掛川市全職員の協力が必要です。
 市民と行政が力を合わせ、様々な取り組みに果敢に挑戦することにより、世界に誇る持続可能なモデル都市を目指してまいります。

終わりに

終わりに、掛川市は、かつて、このような宣言を行いました。

「掛川市民は
少しでも多く幸せを実感するために
健康で生甲斐をもって生きていくために
いろいろな職業や
コミュニティー活動、文化・スポーツを通じて
自分はなんだ、お互いは何をなすべきかと
いつも問いかけ合いながら
一生涯学びつづけていこう」

 これは今から18年前、合併後の平成19年に行った「掛川市生涯学習都市宣言」の一節です。
 私が目指す、「チャレンジ」の中身は、先ほどのコミュニティー活動や文化・スポーツ活動を含むものですが、この生涯学習や、その根幹にある報徳思想が根付いている掛川市だからこそ、この困難な時代にあっても、個人レベルでも、また地域社会や行政のレベルでも様々なテーマに挑戦することが出来ると信じています。
 市制20周年を迎える本年、これまでの掛川市を創り上げてきた全ての皆様に感謝するとともに、これまで進めてきたまちづくりの原点に立ち返ったうえで、新たな知見を加え、前向きに、明るい未来へ向かって、市民の皆様と力を合わせ、理想のまちづくりを進めてまいります。
 以上、私の市政運営の基本姿勢や所信を述べさせていただきました。

 市民並びに議員の皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、2期目の所信表明といたします。

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